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アオリイカの卵の孵化(ハッチアウト)
6月20頃に産卵を終えたアオリイカの卵はそまま静かに時を過ごします。
白い透明な袋(卵鞘)に包まれた卵は他の魚に襲われる事なく自らの成長を待ちます。

やがて白く綺麗だった卵鞘の表面に茶色い藻のようなものが着き全体が錆色に変わる頃、卵の孵化(ハッチアウト)が始まります。
ハッチアウトは7月10日
その時期は毎年7月10日前後
錆色に変わった卵鞘の中には8~10個ほどの卵が入っていて水面に透かして見ればイカの形をした赤ちゃんが見えます。

成熟した卵は波に揺られたり刺激があると卵鞘の先端からハッチアウトが始まります。
卵の膜が破れて1匹づつ広い海の世界へ旅立ちです。
産まれて直ぐに墨を吐く
産まれたてでも直ぐに墨も吐きます。
赤ちゃんは既にイカの形をしていて丸い玉を抱えています。
アオリイカの赤ちゃん
この玉はしばらくの間の栄養のような気がします。
水面へ向かって泳ぐ
ハッチアウトした赤ちゃんは全て水面へ向かって泳いでいきます。
ピューッ!ピュー!と2~3回泳いでは少し休み、また泳ぎます。

ハッチアウトが始まる頃、産卵場の上にはネンブツダイなどの沢山の魚が集まってきます。
産まれてすぐ無くなる命
ハッチアウトした赤ちゃんは大抵の場合、水面にたどり着く前にこの魚達に食べられてしまいます。
折角誕生した命は直ぐにも無くなります。

運良く生き延びたわずかな赤ちゃんだけが大人になる資格があります。
大人になるまでには何回もこのような外敵から身をかわさなければいけません。
チャンスは10日間
産卵は1ヶ月半ほど続きますがハッチアウトは10日ほどで全て終わります。
2か月もすると20cmほどの大きさになりネンブツダイをも襲って食べてしまうようになります。

海中の世界は喰うか喰われるか
野性の世界であり、厳しいようですがそれが自然です。