yachtさんお元気ですか

夜中、突然のメール

夜中にメールが突然届いた。

睡眠中で着信に気づいたのは朝。

送信者は過去、パラオとトカラ列島の海を一緒に潜ったyachtさん。

6年前トカラでのダイビングが最後で、そのあとお目にかかってはいない。

ダイビング禁止

その年の年末に体調を壊し、ダイビングと大好きなお酒を医者から禁じられてしまったと連絡があった。

それが最後。

メールの内容はダイビングを懐かしがっているような、何か挨拶しているようなそんな文。

あのときyachtさんと一緒に潜ったトカラの雄神瀬での1ダイブは過去のダイビングでベスト5に入るものだった。

それがこれだ。

吐噶喇(とから)列島 臥蛇島(がじゃやとう) 雄神瀬(おがみせ)ダイビング

強流の雄神瀬とイソマグロ

イソマグロがきれいだ!

大きさは1.5mほど、つがいで寄り添っている。

青い水面と濃い藍色の見えない水底の間を銀色の腹を浮かせ、彼女を口説いているよう。

強い流れなど、まったく感じさせない。

どうどうとした泳ぎで目の前を通り過ぎては藍黒の中へ消えてはまた戻ってくる。

その間、3匹のイソマグロと5匹のイソマグロが代わるがわる藍黒の中をぬぐうように現れ、そしてまた消える。

ここはトカラ列島の中の沈み根。

名前は雄神瀬。

トカラ有数のポイント

最大深度24m。

これはダイビングでの最大深度。

雄神瀬から離れれば水底が見えぬほど深い。

強い流れで滅多に入れぬトカラ有数のポイントのひとつ。

ツムブリ1m20匹

今度は1mほどのツムブリが20匹の群れでやってくる。

皆の肩を叩くように回って行く。

見事な魚体だ、形もいい。

逃げることなど考えていない。

テングハグモドキ200枚

さらにお約束のようにテングハグモドキの丸い形が団体でやってきた。

数はおよそ200枚ほどか。

まばらにギンガメアジもチラホラやってくる。

全てがデカイ

全てが大型。

そして元気よく素早く泳ぐ。

黒潮の強い流れ、のんびりなどしてられない。

トカラの魚らしい動きだ。

ロウニンアジはやってきた

今ひとつ・・・

足りぬ・・・

GTを見ていない。

ロウニンアジ(GT)が現れない。

時間も15分を過ぎ、残圧も100を過ぎる頃。

さらに流れの上へと根を這い進む。

根のTOP、流れの先端に出たとき、GTはやってきた。

大きさは1.3m、30kgはありそうだ。

そして、その背後に5匹が連れ添っている。

デカイ!

満足!まんぞく!!

これで言う事は無い!

モルディブのフイッシュヘッドやグラデゥーチャネル、パラオのブルーコーナー、ランギロアのバースにも劣らない。

いや、それ以上か?

残圧に余裕無し、浮上

20分を過ぎ、残圧に余裕無し。

これ以上潜るのは危険。

浮上のサインを出す。

先端を周り、根に添い、ドリフトしながら浮上。

お別れの挨拶にバラクーダが3匹やってくる。

左水面30m先にカツオの群れが銀鱗をキラキラ輝かせ、また来いと言っている。

1ヵ所だけを見てはいられない、首を振る回数が増える。

世界最大のロウニンアジ100匹が群れる

本当のドラマは最後にあった

もうすぐ、Safty Stopの深度5mだ。

前方下から、こちらに向かって来るものがいる。

茶色い影?

何だ?

GTだ!

GTとは Giant trevally の略称、日本語はロウニンアジ。世界最大のアジで他の魚だけでなく海鳥も捕食する。)

デカイ!!

1.3~1.5m、40~50kg ?

5匹?

完全にコチラを偵察してる。

先頭の1匹は右へ。

目と目がぶつかる。

「上等!」と啖呵をきって泳ぎ去る。

残りの数匹?は左と下を通過!

続々とつづくジャンボロウニンアジ

いや、違う!

10匹!20匹!

その向こうにまだ続く、50だ~!

まだ後がある!

100匹ほどの群れだ!!

どれもデカイ!

その瞬間は、あっと言う間に過ぎた。

20秒か?30秒なのか?40秒なのか?

何のために群れている?

そして何処へ行く?

ガリレオのコンピューターが言う、心拍数150超。

心臓バクバク大興奮!!

頭からフィンの先端まで血が踊っている。

かつて、こんなダイビングをした事は無い。

子供のGTの群れなら見た事はある。

パラオのペリリューコーナーの先端で子供たちは良く群れている。

こんな大きく育ったGTが数多くの群れを普通はつくらない。

5匹程度で狩りをすることはある。

人生で2度と無いダイビング

今まで数多くのラッキーなダイビングを経験してきた。

しかし、この海には脱帽だ!

すごい!!

ジンベイザメと一緒に泳いだこともあった。

マンタと踊った事もある。

コククジラがゴロゴロしていた事もあった。

イルカとキスをした事もある。

けれど今回がベストである。

人生で2度と無いダイビングだ。

来年もこの興奮を追いかけてトカラへ行きたい。

これがyachtさんを想い出すトカラ雄神瀬のダイビング。