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スキューバダイビングによる潜水漁は何故禁止なの?

静岡県伊豆稲取でテングサ漁

ダイバーによる試しのテングサ漁

静岡県伊豆の稲取で伝統の海女の素潜り漁から空気タンクを使ったダイビング漁への切り替えへるためのテングサ漁の試みが始まった。

昨年、最後の海女(79才)さんが亡くなり、稲取でテングサを水揚げする人がいなくなった。

息を止めて潜る、素潜り漁は労働が過酷で現代の若い世代の人にとっては労働と賃金が結びつかない。

テングサは流れのある深度20mより浅い岩盤に付着する。

長さ20cmほどの赤い海藻でトコロテンや寒天の材料となる。

潜水漁とは

潜水漁は海女や海士によって素潜りで行う。

水中滞在時間が長い漁は船の上から空気をホースで送る送気潜水で漁を行う。

素潜り漁は準備器材が身軽なので浜からでも船からでも一人でも漁ができる。

送気潜水は船、コンプレッサー、送気ホース、コンプレッサーと送気ホースを操作する人間、レギュレターなどが必要。

送気ホースの長さの範囲が移動距離、深度と時間により潜水方法が悪いと潜水病を発症する。

流れやうねりの強い場所では送気ホースの抵抗が大きく不向き。

一般に空気タンクを背負って潜る潜水漁は各県の漁業規制などで禁止されている。

海女とは

海女は女性による素潜り漁師

海女が漁獲するものは地域によって漁期と時間が決められている。

対象物はアワビ、サザエ、トコブシ、ウニ、イセエビ、ナマコ、テングサ、トサカノリ、ワカメ、アラメなど。

海女による素潜り漁は、マスクと磯金(あわびおこし)だけで息を止めて潜れる範囲で漁をする。

保温性のない潜水

昔は地域によって、ふんどし(サイジ)だけつける、白い腰巻きだけつける、磯着として白い半纏と短パンをつけるなど保温性が無いものを身に纏って潜っていた。

当然寒いので長く水に浸かってはいられない。

ゆえに漁の時間も制約され水揚げもその分少ない。

ウエットスーツの着用は保温性が増し、長く水中にいられるようになり水揚げも多くなる。

ゆえに乱獲しないように昔はウエットスーツの着用をほとんどの地域で禁止していた。

フィン(足ヒレ)の着用も禁止。

年月が過ぎ、地域によってウエットスーツやフィンの使用が許可されるようになった。

最初は豊漁だった水揚げも、着水時間が長くなれば減ってくる。

海女も体を慣らす

海女は漁期の初期に5m前後の水深を大きく広く漁をする。

潜水の長さは1分以上。

漁期の中期、5mの獲物がが居なくなると10m前後の水深が漁場になる。

そして後期にはさらに深い深度へ。

海女の体も最初は浅めの深度5mに潜ることで体が馴れ、徐々に長く深く潜れるようになっていく。

なぜ空気タンクを使用した潜水漁が禁止なのか

スキューバダイビングで漁をしない理由

なぜタンクを背負って漁をしないのか?

  • 昔から伝わる伝統漁法を守る。
  • 長く深く潜れることで資源を取りすぎてしまう、乱獲を防ぐ。
  • 漁業規制で禁止されている。
  • 潜水病にならない。
  • スキューバダイビングを覚えるのが面倒。
  • レギュレターセット、空気タンク、エアーチャージシステムの準備が必要。
  • スキューバダイビングへの恐怖。

などがある。

実際にスキューバダイビングで漁をすると

その海域にいる対象物をほとんど捕り尽くしてしまう可能性がある。

資源を守るために注意が必要。

深度と時間、回数により潜水病を発症する。

10mより浅い潜水なら何回でも潜水可能。

1本のタンクの空気で潜れる時間は技能と作業によって違うが10mで70分、20mで40分ぐらい。(潜水病は考慮にいれてない)

今回、伊豆の稲取で行った試みは海藻のテングサ漁なので全てを捕り尽くさない限り、また漁期を決めていれば資源が枯渇することはない。

プロのスキューバダイバーによる捕りすぎないアワビ、サザエ、トコブシ漁が可能になれば更に効率よく、好ましい。