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ダイビングポイントの魚を釣ったらあかん

大物多く流れの強い館山西川名

今日は館山でのダイビング

昨年10月の台風で大打撃を受け、ブルーシートで修理した屋根がそこら中にあった館山。

あれから1年が過ぎ、それなりに工事が進んだ。

まだいくつかの家はブルーシートのまま。

修理する前に予算が消えたのか?

それとも家の住人がいなくなったのか?

昨年の台風の影響に続き今年のコロナ禍騒ぎで閉店した店も多く、売り上げが落ち込んだまま。

せっかくおりた台風の保険も家屋を修理する前に生活費に消えたという話も聞いた。

ここ西川名のダイバーはだいぶ戻ってきた。

館山西川名は流れ早く、大物揃い

専用に作られたダイビングボートに乗船すれば5分ほどでダイビングポイントへ到着。

房総半島館山の先端、外房と内房の潮が交差する洲崎。

洲崎の隣にある西川名のダイビングポイントは潮の流れが速いことと大物の魚が見れることで有名。

山のような岩に囲まれているポイント、水面と中層は流れが速いが水底はそれほど速くない。

岩の頂上は流れが速く、プランクトンも多く流れてくるためキンギョハナダイなどの小魚が群れている。

数えきれない魚

ニザダイやタカベ、イサキ、アジなど数えきれない群れが集まる。

イサキ

それをエサとするカンパチ、ヒラマサ、ブリなどの青魚も回遊。

西川名の名物はヒゲダイ、大きさと数に感心する。

近づいてもあまり逃げない、側まで寄って写真も撮らせてくれる。

そしてもう一つの名物が大きなハタの仲間でクエ。

ヒゲダイのように側へ寄らせてはくれない。

北九州でクエはアラ(方言名)と呼ばれ値段の高い美味しい魚、アラ鍋の魚としても名声が高い。

今回もクエを何匹も見て、イシダイやイシガキダイのふてぶてしさに納得し、イサキの群れの中を泳ぎぬき、タカベのブルーイエローの魚体に目を癒され、年老いたマダイやレオパード柄のコロダイの数に驚き、人懐っこいコブダイに心和んだ。

コブダイ

けれど何か淋しい。

ヒゲダイが少ない

ヒゲダイの数が今までより圧倒的に少ない。

何十匹もいたはずの大きなヒゲダイを数匹しか見ていない。

たまたま今日だけ何処かへ行っているのか?

ヒゲダイ
ヒゲダイ

ヒゲダイを見る度に魚の味を想像する。

容姿は脂がギンギンに乗っているツボダイを巨大化したような形。

まだ食べたことがないが美味いらしい。

水揚げする数が少ないので東京などへ出まわることは少ない。

ほとんど地元で消費してしまう。

さしみでも美味、焼いても脂が乗っていて旨いという。

果たしていかなる味か?

ダイビングポイントの大事なヒゲダイが釣られている

館山ダイビングガイドの言葉

現地のダイビングガイドに聞いて見た。

もしかしてヒゲダイの数が減った?

「最近ダイバーが来る前の朝早い時間や夕方にカヌーで来て釣りをしている人間がいる。

ダイビングサービスのブログを見て魚の情報を知り、ヒゲダイが美味いと知る人が持ち帰っているらしい。

ダイビングポイントの岩の上に釣り仕掛けが絡んでいることが最近になって多く見られるようになった。」

水平線を見ながら彼は淋しい顔をして話してくれた。

毎日見ている友達のような魚達が毎日少しづつ減っていくのはたまらなく寂しい。

止めたくても釣りを止めることはなかなか出来ない。

ダイバーに漁業権はない

ダイビングのポイントで釣りをしてはいけないという法律はない。

また、釣り人を追放をする権利もない。

ダイビングポイントをコントロールする現地ダイビングサービスには漁師のような漁業権はない。

水産物を漁獲する権利はない。

行儀の良いダイバー

ダイバーは魚貝類を採取することなく見るだけで楽しんでいる。

サザエもアワビもいるのに取らない今のダイバーはとても行儀が良い。

漁師もレジャーとして楽しむスキューバダイバーは魚貝類を取らないことを知っている。

それゆえ自分たちの漁業権のある海にダイバーが潜ることを黙認している。

また船に乗るため乗船代を払い、食事をする金を現地に落とすダイバーを漁業協同組合で歓迎しているエリアも多い。

一本釣りの権利

釣り人にとっての権利はどうだろう?

日本人で生まれた人は皆この権利を持っている。

それは漁業権。

1本竿で魚釣りをする「一本釣りの権利」という漁業権を日本の国民一人ひとりが持っている。

西川名のダイビングポイントで釣りをするということはこの「一本釣りの権利」を主張できる。

けれどそれではあまりに惨い。

イサキ

生活の糧として人間性から

後は人間性、気持ちから伝えていくしかない。

ここのポイントでは魚をダイバー全員で大事に保護している。

釣らず、網で取らず、傷つけず。

この場所に長く居続けられるように。

漁業権はないが魚を見るため。

魚を見せることで客を呼べる仕事。

名物の魚が居無くなればダイバーが来なくなり商売ができなくなる。

非常に重大な問題であること直接現場に行って釣り人にお願いするしかない。

ダイビングポイントでは釣りをしないほうが良いと思うようになってくれるのが一番良い。

釣り人もダイバーのいない時間を狙って釣りをしているのなら心やましいことを自覚しているはずだ。

地元の漁師はダイビングポイントで釣りはしない。