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フグは自分で毒を作れない
フグには毒がある?ない?
寒い日には鍋
冬の寒い日には鍋がいい。
冷えた体に湯気のたつ鍋、熱い野菜、肉、魚を口に入れることで芯から暖まる。
作るのも簡単だし、野菜も豊富に取り入れることが出来る。
そんな鍋でもあまり食べられないのがフグちり。
フグ免許は他人のため
毒があることでフグ調理免許を持った人間しかフグを料理して人前に出すことができない。
フグ料理人が可食部に分けたものなら誰でも料理できる。
また、自分が食べるために自分でフグを捌く場合は免許が無くても問題とされない。
例えば、釣り人が釣りあげたフグをフグ調理免許を持たない船長が捌き方を知っているからと捌いて釣り人に持たせることは違反行為となり、保健所からも止められている。
ただし、フグ調理免許を持たない船長が捌いて料理して自分で食べることは違法行為にはならない、自己責任。
肉は無毒が多い
フグの毒はほとんどが内臓、血液に含まれる。
種類によって皮に毒のあるケースも出てくる。
肉は無毒のものが多い、捌くときは血液を良く荒い流し綺麗にすることが重要。
資格の無い人は料理をしてはいけない。
フグ毒は種類と場所で異なる
フグは種類によって毒の量と毒のある部分が違う。
また、水揚げされる地域によっても毒の量が変わることがある。
ヒガンフグとコモンフグも食用となるが宮城県と岩手県の一部で水揚げされたものは肉も有毒であるため食用に出来ない。
これはフグがエサとして食べているものによって毒の蓄積が変わるため。

フグは毒をどのように作る?
フグは自分で毒を作れない
トラフグは毒を自分で作れないというのを知っているだろうか。
自然界で育ったトラフグの肝臓と卵巣には猛毒が存在する。
フグ養殖ではエサとしてイワシを与える。
このイワシだけで育てたトラフグには毒がない。
なぜ毒がないのか?
毒のあるものを食べてないため毒を蓄積できない。
フグの毒はテトロドトキシンと呼ばれる猛毒。
ではフグはこのテトロドトキシンをどのように体に取り入れるのだろうか。
フグが食べたものから毒をどのように体に溜めるのかは今も解っていない。
テトロドトキシンを生産するバクテリア
最近の研究によればテトロドトキシンを生産するバクテリア Shewanella alga が見つかっている。
紅藻の仲間でヒメモサズキという石灰質の海藻にこのバクテリア Shewanella alga が多く付着している。
このヒメモサズキを食用にするカニがいる。
オウギガニの仲間、少し丸い形をしているカニ。
猛毒スベスベマンジュウガニ
そのなかに猛毒のテトロドトキシンを持つスベスベマンジュウガニがいる。
名前が面白い、実際名前のようにスベスベした丸い形のカニで大きさ5cmほど。
フグは雑食性で食べられるものはなんでも食べてしまう。
カニやエビ、魚、貝類、ゴカイの仲間と色々食べる。
トラフグがスベスベマンジュウガニを見つけたら食べてしまうだろう。
ヒョウモンダコ、トゲモミジガイ
テトロドトキシンの猛毒を持つヒョウモンダコを見つければ喜んで食べてしまいそう。
他にもテトロドトキシンを持つトゲモミジガイ(貝ではなくブルーグレー色のヒトデ、砂地に棲む)もエサとして捕食しているのかもしれない。
このようにフグはテトロドトキシンを持っている生物を捕食することによって体内に猛毒テトロドトキシンを蓄えると考えられる。
ボウシュウボラでも食中毒?
フグではないが食用になる貝、ボウシュウボラを食べて過去に食中毒を起こした事故があった。
ボウシュウボラは房州のホラ貝という意味。
戦国時代の合戦の合図や山伏が吹く楽器、「ブォー」と音のするホラ貝はこのボウシュウボラの貝殻。
ホラ貝の仲間はヒトデを捕食する肉食性の巻貝。
サンゴを食べるオニヒトデを捕食することでも知られる。
事故のあったボウシュウボラの内臓を解剖してトゲモミジガイの残骸が見つかった。
トゲモミジガイの猛毒テトロドトキシンが原因。
通常なら中毒を起こすことがない貝なのに非常に不運。