なぜないの?

失くしもの?

どうしたことだろう?

ないんだ。

何処にも見つからない。

変だ。

たしかにあったはず。

今まであったのにない。

そこにもここにもあったのにまったく見当たらない。

これってちょっと異常かも?

というのは最近多くなった失くしものの事ではない。

ワカメがない

ここは神奈川県小田原市江之浦の海。

通年ならば一年で一番海藻が生い茂る時期なのにワカメも無ければ、カジメすら無くなっている。

水温は14~15℃、透明度は良くて8~10mある。

ワカメ
ワカメ

ワカメは季節もので、この時期にはすでに芽が出て育っているはずなのにまったく見れない。

ワカメは冬に育って4月には枯れて6月には溶けて無くなってしまう。

カジメは大事なアワビのエサでありサザエの餌

カジメは1年中繁茂している海藻だ。

水中では褐色で夏にもあるので、知らない人はワカメと読んだりする。

カジメは1年に2回、春と秋に胞子を出して繁殖する。

胞子は植物プランクトンとして中層を漂い、深度3~16mの岩場に着底すると新芽が出てくる。

若芽はスペードのような形をして、さらに育つと外縁部から分かれて葉辺を広げていく。

2年目になると茎が伸び、茎の先から葉辺が広がる。

カジメ
カジメ

寿命は6~8年、大きさは1~2m。

東北から九州の浅い岩礁地帯に繁茂する。

カジメが群生している場所はカジメ林とか海中林と言われ、魚の生息場所、隠れ場所、産卵場所、種類によってはエサにもなる。

魚以外にも高級貝アワビ、サザエ、バテイラ、ウニなどの大事なエサになっている。

カジメがない

そんな大事な江之浦のカジメが無くなっている。

今まで邪魔なほど繁茂してカジメ林を作っていた。

それがほぼゼロという感じ、水底全体が禿げて岩が露出している。

過去、何十年もこのような異常な景色を見たことがない。

三浦半島のようにウニが繁殖してカジメを食い荒らしてるのではない。

そんなにウニはいない。

アイゴがカジメを食べた?

食べ尽くした?

あれだけあったカジメを食い尽くすなどとは信じられない。

もしそうなら、大変なことだ。

カジメが無いせいかアイゴの数も少ない。

今はニザダイやメジナ、ベラなどが岩場の表面をついばんでいる。

カジメが無いのは台風?

昨年の台風?

昨年の夏から何回もの台風に襲われた。

極端にカジメが少なくなったのは昨年の10月12日、多くの被害を出した令和元年東日本台風の影響だ。

海岸の地形が大きく変わるほど強いウネリ波だった。

波打ち際には大量のゴロタ石が波によって積み上げられ、今では1~2m海岸が高くなった。

台風19号被害

台風当時、水中はミキサーのようになっていただろう。

大きな石も小さな石も転がり続け、魚、カニ、エビ,ウニ、ヒトデ、貝、海藻は引き千切られ、砕き、潰し、石の表面の生物を削り取ってしまった。

海は濁って透明度はなく、光も入らず暗い。

台風19号被害

 

台風の後、深度2~3mより浅い海域はヤスリで削ったように石の表面の付着物がなくなり水底が白く見えた。

深度6m以深にあるカジメも少なくなった。

若芽は小さく柔らかいのでほぼ削られてしまったようだ。

育ったカジメも葉っぱの部分がみな切り取られてしまった。

岩に付着する根部と茎部しか残っていないカジメ林は針山のよう。

台風19号10月12日

そして今は残った根部と茎部も無い。

数少なく残ったカジメはアイゴ魚たちに喰われてしまったのか?

アイゴにとっては、あれだけ豊富にあったエサが無くなって飢餓だったろう。

アワビ、サザエのエサであるカジメがそっくり消えた

台風が来るのは毎年の事。

今までも海が荒れることはよくあった。

けれど見事に海は蘇ってきた。

カジメ
カジメ

ゆえに今回も復活すると思っていた。

針山のカジメの茎のわずかに残った葉辺から、元気に大きく育つ、そして邪魔なぐらい繁殖すると信じてた。

昨年被害を出した10月の大きな台風は秋の胞子を出した後だったのだろう。

新芽もまったく見ない。

丸いダンゴウオ

ここまではっきりカジメがないと気がついたのはダンゴウオの子供を捜そうとしたからだ。

毎年、この時期に江之浦ではダンゴウオの赤ちゃんが現れる。

孵化すると親はすぐ死んでしまい、子供達だけが見られ始める。

ハチマキダンゴ

大きさは3mmほど。

小さなオタマジャクシのようだ。

色はエンジか緑色。

生まれて1週間は頭に白い線があるのでハチマキ君とかエンジェルダンゴとも呼ばれ、ダイバーには知名度が高く人気の魚。

ハチマキダンゴ0

エンジャエルダンゴの棲むカジメ

そのエンジャエルダンゴが居つくのが主に1年物のカジメだ。

丸い形のダンゴウオは泳ぐのが得意ではない。

早く泳ぐにはデブチンな体型は不都合。

吸い付く吸盤

ダンゴウオは早く泳げない代わりに他の魚が持っていない吸盤を持っている。

腹びれが丸くなり吸盤の役目を果たす。

表面がツルツルしてる場所なら吸着することが出来る。

ハチマキダンゴ03

カジメの1年物は表面がツルツルなのでエンジャエルダンゴが棲むのに最適。

腹びれ吸盤を上手に使って吸着すると表面を流れてくる小型生物を捕食する。

そのためにエンジャエルダンゴを捜すにはまずカジメの1年物を捜す。

次にカジメの表と裏を丹念に捜す。

カジメがない

けれどない。

そこら中に沢山あったカジメが大も、中も、少もない。

沖の漁礁にもない。

右側のゴロタのカケアガリもない。

テトラポッド周りにもない。

エンジェルダンゴは何処で育つのだろう?

あれほどあったカジメが江之浦から無くなった。

アワビもサザエもバテーラやウニも痩せて育たない。

本当に昨年の台風の影響だけなのか?

水温も影響?

それとも水温が高いからなのか?

今年、水温が15℃に下ったのは2月中旬、今までの記録を更新。

昔は1月上旬には水温15℃になっていた。

1か月半遅い。

毎年、3月20日頃に最低水温になるが今年は何度まで下がるのだろうか?

そしてワカメは自然発生するのだろうか?

自然発生しても量はとても少ないだろう。

そしてカジメは復活するのだろうか?

今の状態は異常だ。

5月頃になれば何処かで生まれたカジメの胞子が流れてきてスペード型の芽が見られることを期待する。

まとめ

江之浦のアワビのエサのカジメが無くなったのは

昨年10月12日令和元年東日本台風でカジメが減った。

石が転がり、若芽を削り、葉辺も切り取られた。

数少ない残ったカジメは腹を減らしたアイゴが襲った。

そしてこの冬も水温はあまり下がらない。

カジメの新芽が出るのは

5月になればカジメの胞子が流れてくる。

アイゴなどに食べられなければカジメは再生する。

そうすればアワビも育つ。