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ダイビング中のヴァーティゴ(Vertigo)回転性めまい

ヴァーティゴとは

40年前のヴァーティゴ体験

突然おこった。

ダイビング作業終了、これから浮上。

うっ!

なんだ。

グラグラする。

浮上しているはずだが目がまわる。

水中の世界がまわっている。

マスクのレンズ添いを流れる泡は水面方向へ流れているので上方向は解る、けれど上下感覚が解らない。

泥酔してフラフラになったような感覚、もちろん酒など1滴も飲んでいない。

そして、いきなり吐き気が襲ってきた。

気持ち悪い。

次の瞬間水面に着くと吐き気もめまいも消えた。

これは約40年前のダイビング終了間際の浮上時のこと。

ヴァーティゴ(Vertigo)めまい

ヴァーティゴ(Vertigo)

ヴァーティゴとはめまい。

ダイビング中では、ある状況下でこのヴァーティゴと言われるめまいが生じることがある。

この時は海藻調査で台風の直後、透明度0mの視界不良の中、カジメの採集に深度6mの海底に潜っていた。

調査終了後、視界0mの中、浮上中に起きたヴァーティゴ。

後にも先にもダイビング中でのヴァーティゴ経験はこの1回しかない。

水中でのめまいの原因

ダイビング中のヴァーティゴは大きく2つの原因により生じる。

1つ目は視界による影響のヴァーティゴ。

2つ目は中耳内の異常によるヴァーティゴ。

ヴァーティゴが生じると吐き気も生じやすい。

視界による影響のヴァーティゴ(めまい)

極端な視界不良でのヴァーティゴ

視界による影響のヴァーティゴにも2つのタイプがある。

それは視界がすこぶる悪く見る物がない。

焦点を合わせることが出来ないほど濁っている状況。

40年前のヴァーティゴはこのタイプ。

台風直後の大雨、波浪、川からの濁水などの影響で透明度0m。

水底はまだ30cmほど見えていたが中層は何も見えない。

自分の手も見えない。

そんな中で浮上を開始した。

深度6mと浅いこともあって心配してなかった。

何も見えずキックしながら浮上。

しかし自分が浮上しているのか?それとも落ちているのか?それすらも解らない。

そんな不安の中でヴァーティゴが起きた。

続いて吐き気。

水面が明るく見え、空気の世界に戻った。

同時にヴァーティゴも吐き気も消えた。

ダイビングを楽しむ場合、通常はこのような透明度ではダイビングをしないので視界不良のヴァーティゴは経験しない。

透明度が良すぎるヴァーティゴ

もうひとつのタイプは透明度が良すぎる場合。

透明度が良すぎて視線を合わせる物がない。

水面も見えない。

水底も見えない。

中層で起こる。

普通なら小さなプランクトンやゴミなどが見える。

太陽の光が入る筋が見えたりする。

それすらも見えない透明度の良すぎるコンディションでは、焦点を合わせるものがなくヴァーティゴが生じることがある。

陸上では有りえないヴァーティゴ。

陸上では必ず何か見えている。

水中では焦点を合わせるものが何も見えない状況に起こる。

ヴァーティゴを予防するには

ゆえに視界に見えるものがあればよい。

潜降する時には潜降ロープを使用し、潜降ロープ沿いに潜降すればヴァーティゴは避けられる。

また浮上の際も浮上ラインに沿って浮上すればヴァーティゴは避けられ、コントロールも取り易い。

中耳内異常によるヴァーティゴ

もうひとつの原因が中耳内の異常によるもの。

これも2つのパターンがある。

左右の耳の圧力差によるヴァーティゴ

左右の中耳内の圧力が極端に違うとヴァーティゴが生じることがある。

圧力差が無くなれば症状は消える。

中耳に入る冷たい水

もうひとつのパターンは鼓膜に穴が開き、中耳に冷たい水が浸入するとヴァーティゴが起こる。

侵入した冷たい水が体温で温まればヴァーティゴの症状は消える。

両パターンとも時間的には短時間でヴァーティゴの症状は消える。

ヴァーティゴ(めまい)の対処法

落ち着いて呼吸をする

水中でヴァーティゴになっても焦らず落ち着いて呼吸をすることが大切。

ヴァーティゴ時に発生しやすい吐き気についても同じ。

水中で吐いても構わない、そのときパージバルブを押し続けるといつでも呼吸できる。

吐しゃ物はレギュレターの中には入らず外に出る。

人間は吐いた後、無意識で息を吸うのでパージバルブを押し続けることを忘れずに。

岩などにつかまる

側にある岩などにつかまる。

岩などつかまるものが無い時は自分自身をつかむ。

そして落ち着いてゆっくり大きな呼吸をすることに集中し、ヴァーティゴが解消するのを待つ。

ヴァーティゴは比較的短時間で解消する。