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多くのウナギは川の上流までは上らない、河口や海育ち

ウナギ不漁

シラスウナギ不漁続く

今年のシラスウナギは相変わらずの不漁。

場所によっては漁期を伸ばしている。

いったいウナギはこのままどうなってしまうのか?

本当にウナギのかば焼きが食べられなくなってしまうのか。

ウナギ専門店はどうなるのだろう。

不漁の理由

シラスウナギの不漁は今までの乱獲のせいだとか、昨年の黒潮の大蛇行の影響でウナギの仔魚が日本へたどり着けなかったと言われる。

確かにウナギの養殖をするため毎年冬期にシラスウナギ漁が多く行われている。

シラスウナギの捕りすぎは頷ける。

真実は解らない。

ウナギ来遊

産卵は南海2000km

東京から2000km南下したマリアナ海溝沖スルガ海山付近の深度150~200mで産卵することが証明されている。

時期は4~6月頃、新月の夜。

産卵時の受精の様子などはいっさいまだ明らかになっていない。

赤ちゃんレプトセファルスは流れに乗り

卵は潮に流されながら孵化。

柳の葉のような形のレプトセファルスと呼ぶ体の透き通った葉形幼生になる。

マアナゴやハモの幼生も柳の葉のような形のレプトセファルスになる。

すし屋に時折あるのれそれはマアナゴのレプトセファルス。

ウナギのレプトセファルスは約半年間海流に乗りながら移動し、フィリピン、台湾、日本沿岸へとたどり着く。

そして真水が流れてくる河口に集まる。

シラスウナギに変身

その頃レプトセファルスの形からウナギの形に変身する。

これが体の透き通ったウナギの子供、シラスウナギ。

川を遡上するウナギはこの汽水域で淡水の生活ができるように体を1ヵ月以上慣らす。

それから遡上を始める。

シラスウナギ漁

シラスウナギ漁はこの河口域に集まってくる遡上前のシラスウナギを真夜中にライトで誘き寄せ、網ですくう。

体長6cm、重さは0.2g。

川を遡上する前にシラスウナギを全部捕ってしまったら川を上るその年のウナギがいなくなる。

結果、7~10年後に親となって産卵のために下るウナギがいなくなる。

昼間に遡上するシラスウナギもいるかもしれない。

漁の合間をかいくぐって遡上するシラスウナギは昔よりも少ないのは確か。

一部のウナギは川の上流までは上らない

川育ち、海育ち

また耳石の材質を調べることで淡水で育ったか、汽水で育ったか、海水で育ったかもわかるようになった。

三河湾で捕れたウナギ199尾は川で育ったウナギが17%、汽水で育ったウナギが43%、海で育ったウナギが40%だったという報告がある。

親ウナギは必ず川を上ると思っていたが全体の20%弱しかいない。

汽水域と海育ちのウナギが80%以上。

ほとんどのウナギが川を上っていない。

エサの少ない川よりもエサの多い河口や海を選ぶウナギが多いことは納得できる。

そういえば昔、大井埠頭の埋め立てで堰き止められた海から大きなウナギがいくつも捕れたことがあった。

色はアナゴのように茶色。

産卵場のウナギも

産卵場付近で採集された親ウナギ13尾の耳石を確認。

13尾の内、川で育ったウナギが2尾、汽水で育ったウナギが5尾、海で育ったウナギが6尾。

産卵直前のウナギも川で育ったウナギは20%弱。

80%は汽水と海育ちの親ウナギ。

もしかするとシラスウナギ漁で捕獲されないシラスウナギがまだ他に沢山いるのかもしれない。

そもそも海の方がエサが豊富で生活しやすいのにわざわざエサの少ない川を上るのはなぜなのか?

不思議でならない。