ムラサキウニ被害

ムラサキウニが悪者に

高級食材のムラサキウニを1年間に30000個を捕っても捨てなければならない。

三浦半島ではアワビ、サザエのエサであるカジメやホンダワラをムラサキウニが大量発生し食い尽くしてしまう問題が10年前から生じていた。

食い荒らされた岩場は白く変色し、ピンク色の石灰藻に覆われる。

磯焼けの状態だ。

アワビとサザエが減少

石灰層に覆われた岩にカジメなどの褐色藻が生えることは難しい。

毎年大量のムラサキウニを駆除しなければアワビやサザエが育たない。

捕っても卵の少ない三浦半島のムラサキウニは売れずに破棄するしかないのだ。

漁師にとっては船の燃料と労力が無駄になるだけだ。

ゴミ対ゴミの研究が始まった

ウニはなんでも良く食べる

ウニのエサはカジメやホンダワラでなくても陸上の植物や人間が食べているものでもウニは食べるのではないか。

結果、ウニがエサを良く食べて太ったら中身の卵も量が多くなるかもしれない。

神奈川県水産技術センター企画資源部・臼井一茂主任研究員の試みが始まった。

破棄されるムラサキウニを使って色々なエサを与えてみた。

エサは農業残渣(値段は0円)

おもに三浦半島で収穫される農業残渣、収穫の際に出る残りの葉っぱや形が悪くて出荷できない野菜、ゴミだ。

このような野菜は捨てるしかない。

畑の土に混ぜて肥料にしている。

ダイコン、ブロッコリー、ニンジン、ジャガイモ、キャベツなど20種類以上の野菜とマグロやホッケなどの魚も与えてみた。

魚はNG

ダイコンやマグロはあまり好きでないようだ、食べる量が少なかった。

特にマグロやホッケなどの魚を与えるとウニの味に苦みが出てくる。

キャベツを良く食べる

いちばん喜んで食べたのはキャベツだった。

それも葉っぱを1枚づつあげるよりも食べやすいように千切りにして与えるとさらに食いが良かった。

80個のムラサキウニはキャベツ1つを3日あれば食べ尽くした。

2か月後には体重の2~3%しかなかった卵が15~20%近くまで増えた。

売りに出せる量と味

6~7倍も卵が増え、水揚げして出荷できる重量だ。

味はキャベツ臭がすることもなく、旨み甘みともに一般のウニと変わらない。

捨てられる筈だったムラサキウニを捨てられる筈だった農業残渣のキャベツの葉っぱゴミが高級ムラサキウニに変えた。

更に養殖場を広げ、エサに昆布を混ぜたり、日光の有無によるムラサキウニの味と量を研究している。

3カ所で研究

現在、三浦市の県水産技術センターと 京急油壺マリンパーク、横須賀市の県立海洋科学高校の3カ所で共同研究を進めている。

  • 水産技術センターでは実入試験と各種成分分析、食味試験
  • 京急油壺マリンパークでは展示による広報と飼育方法試験(閉鎖型)
  • 県立海洋科学高校 では 餌の嗜好実験と飼育方法試験(開放型)

上手く回れば4つのメリット

三浦半島にキャベツで育てた旨いムラサキウニという新しい名物が出来そうだ。

  1. ムラサキウニの被害ではなく、有益な水揚げ
  2. アワビとサザエの保護と水揚げ増量
  3. 農業残渣キャベツの有効利用
  4. ムラサキウニの販売と新しい名物による収益と発展

数年先の近い将来には期待できそうだ。