淡水で生活している魚は海水で生きられない

淡水魚の体内の塩分濃度

淡水に棲んでいる魚の体内の塩分濃度は海水魚と違うのだろうか?

違うとすればどれぐらい違うのか?

結果から言えば淡水魚も海水魚も塩分濃度0.9%とまったく同じ。

ちなみに人間の塩分濃度も0.9%で同じ。

鯉のあらいなどの刺身を食べる時もマグロと同じように醤油などの塩味の効いたタレを浸けて食べる。

これは塩分が物足りないから醤油が欲しくなる。

淡水の中で魚はどのような変化がおきているのか

淡水の塩分濃度は約0.01%、まったくの0%ではない。

川でも湖でも土からしみ出した淡水には多少なりにも塩分が含まれる。

淡水の魚は海と違って水分を外部へ取られない。

逆に周囲の水の方が塩分濃度が低いので、体内に水が浸透してきてしまう。

そのままでは浸透した水分が塩分濃度を薄め、細胞内に水分が浸入し膨張する。

淡水魚は体内に入ってくる多量の水を体外へ排出しなくてはならない。

海水魚のように水を飲むことはしない、また飲む必要も無い。

そのため体内に入ってくる水分を腎臓でろ過し、沢山の尿を体外へ排出する。

この時、わずかながら塩分も尿に混じって排出してしまう。

不足しする塩分は淡水のわずかな塩分から補充する。

淡水の塩分はエラから取り入れる。

海水魚とまったく逆のメカニズムで淡水に順応している。

淡水魚を海水へ入れると

もし、このように塩分濃度を調整している淡水魚を塩分の濃い海水へ入れたらどうなるだろう。

海水では体の水分が周囲に吸い取られていく。

淡水では体の表面から勝手に体内に入ってきたものが逆に排出されてしまう。

淡水魚は海水魚のように水を飲めない。

体はどんどん水分を失い干からびていく。

もし海水を飲めたとしてもエラで塩分を除去することもできない。

やがて干物のように水分が抜けて死に至る。

通常の淡水魚なら淡水にしか棲めない。

海と淡水と両方に棲める魚

海で生まれるウナギ

けれど海と川と両方で生活できる魚がいる。

土用の丑の日でも話題になるウナギは海で生まれ稚魚の頃に日本へやってくる。

日本へ辿り着いたウナギの稚魚の一部は川を上り上流や沼、池、湖などで何年もかけて成長し産卵のためにまた川を下り海に出る。

生まれたウナギは海水魚

ウナギは海水で育つ能力を身につけ生まれてくる。

他の魚と同様に上手に海水を飲み体内の水分を補充する。

エラで塩分の一部を除去した水を飲み、さらに余分な塩分は腎臓でろ過して尿と一緒に排出する。

海を遠路旅して日本の河口近くまできたウナギの稚魚は直ぐに川を上らない。

川の河口近くで淡水に慣らす

海の水と川の水が混じり込む汽水域と呼ばれるあたりで体を淡水に慣らす。

海水が薄くなり、淡水が強くなると体表面から水分が体内に浸透してくるので水を飲むのを止め、多くの尿をだす。

また、周囲の塩分濃度が低くなると腎臓で塩分をろ過する量を減らす。

汽水の塩分濃度が0.9%以下になると、塩分を除去していたエラの活動から、淡水のわずかな塩分を取り入れる働きに換える。

順応した一部のウナギが遡上

体が順応するまで海と川の両方の環境が選べる場所で暮らす。

そして十分に体が淡水に順応した一部のウナギが川の上流を目指して遡上する。

そのまま河口近くや海で生活するウナギもいる。

また、成長して産卵のために下ってきたウナギは河口近くの汽水域で体を海水に順応させてから海へ出て、サイパンの沖まで旅して産卵する。

生まれたサケやアユ、マスは淡水魚

サケやアユは川で産卵し仔魚は川を下り、稚魚になって海で生活をする。

川よりも海の方が温かく、エサが豊富。

何年も海で暮らし成長すると産卵のためにもとの川に上り産卵する。

サケやマスの順応

サケたちは川で産卵し孵化した稚魚または少し成長した若魚は河口近くで海水に体を慣らし、順応してから海の旅に出る。

産卵のため成長して戻ってきたサケやマスは河口付近の海水と淡水が混じる付近で時間をかけて体を慣らしてから川の遡上を始める。

上流部まで遡上し、産卵後に生命を全うする。

アユの順応

アユは川の下流で10~11月頃産卵する。

孵化した仔魚は河口近くまで下り、海水に体を順応させてから海へ出て冬を越す。

川に比べ温かくエサのある海で稚魚期を暮らす。

自分の生まれた川からはあまり離れない。

春3月頃、自分の生まれた川に戻ってきたアユの稚魚は河口付近の海水と淡水が混じる付近で時間をかけて体を慣らしてから遡上する。

最初は小さな水性昆虫を食べるが若魚になると石に着いたコケだけを食べる。

コケを食べたアユには鰓横に追星と呼ばれる黄色い斑点ができる。

夏に沢山コケを食べて成長したアユは9月末、産卵準備のために体が黒くなり錆びアユと呼ばれる。

下流に下り産卵すると死んでしまう。

汽水域に棲む魚も順応

川の上流までは遡上しないが下流域まではエサを求めて遡上する海水魚がいる。

出世魚で有名なスズキ(コッパ➡セイゴ➡フッコ➡スズキ)やボラ(ハク➡オボコ➡イナ➡ボラ➡トド)、クロダイ(チンチン➡カイズ➡クロダイ)などは有名。

他にもマハゼやチチブなどのハゼの仲間もいる。

マルタウグイ、ニゴイは川の魚だが海水が入り込む汽水域にも生息する。

これらの魚は海水と淡水の両方の塩分濃度変化に上手に対応している魚達だ。