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客船から落ちたら助からない?

客船から落ちたら助かる可能性は

水温次第

例えば冬の知床、流氷船から落ちたら水温は0~-1.8℃、即心臓麻痺を起こす、強い人でも数分で体温低下を起こし生命を維持できない。

水温と意識不明、生存時間との関係
水温  意識不明までの時間  予想生存時間
0℃以下 15 分以内 15 ~ 45 分
0~ 5℃ 15~ 30 分 30 ~ 90 分
5~ 10℃ 30 ~ 60 分 1~ 3 時間
10~ 15℃ 1~ 2 時間 1~ 6 時間
15~ 20℃ 2~ 7 時間 2~ 40 時間
20~ 25℃ 2~ 12 時間 3 時間以上
  (資料提供:船員災害防止協会)

関東の夏の水温20~25℃なら2~12時間で体温低下を起こし何日も生存する可能性は低い。

ウエットスーツやドライスーツを着用していたら保温力が高いため生存時間は更に長くなる。

体力と遊泳力と救命胴衣

落水して直ぐに救助されるなら大きな体力と遊泳力は必要ないかもしれない。

しかし何時間も漂流するなら別だ。

疲れて泳ぐのを止めたら沈み、溺れてしまう。

救命胴衣があれば泳がなくても楽に浮いていられる。

救命胴衣

救命胴衣があっても眠って、うつ伏せになれば呼吸できずに溺れてしまう。

現在、釣船や遊漁船の船内以外は救命胴衣の着用が義務付けられている。

大型の客船では船室にいる前提から救命胴衣の着用義務がない。

ダイビングで着用するウエットスーツやドライスーツは救命胴衣以上に浮力があるものも多い。

落水後に直ぐに船に見つけてもらえるかどうかがカギ

船から落ちたとろころを誰も見ていなければ助かる可能性は低い

船は通常動いている。

水面に浮いても黒い頭一つ、どんどん離れれば波の合間に消え見えなくなる。

海流と風があり随時移動し続ける。

それが沖合であれば目印もないうえ、見つけられるとも思えない。

海へ落ちた瞬間を見ている人がいれば

落水した瞬間を見た人がいれば見つけられる可能性は高い。

見つけるためのスッテプは以下の2つ。

①落水した時点で大声で船長に知らせること。

②落水者から絶対に目を離さないこと。

400m以上離れて落水者から目を離すと、再び見つけることが難しくなる。

波の合間に落水者の黒い頭は消え隠れして、やがて見えなくなる。

見えなくてもその水面から目を離さず、船長に場所の指示をすることがベストな捜索方法。

夜落水したら見つからない、助からない

夜、海へ落水したら最悪な状態。

落水した瞬間を見ていたとしても夜の海は真っ暗闇。

落ちた場所を目を離さず見ようとしても見えない。

見えない場所を捜すのは見つかる可能性がとても低い、勘だけが頼り。

夜は絶対落水しないように注意が肝要。

大型船ほど落水したら助かる確率は低くなる

35mの高さから飛び込む

大型クルーザー客船のデッキは水面から高い。

日本の郵船トラベルの大型クルーザー客船飛鳥の場合でも水面からデッキまで35mほどの高さがある。

デッキから落水すると35mの高さから飛び込むことになる。

8m以上の高さから飛び込み脊髄を損傷

アメリカ・コーネル大学・生物環境工学部に所属するスンファン・ジョン氏ら研究チームが、人間が水面に飛び込んでも怪我をしない高さについて報告がある。

「訓練を受けていなければ、8m以上の高さから飛び込み、頭から着水すると、脊髄を損傷する恐れがある。」

2022年7月27日付の科学誌 Science Advances に掲載された。

大きなスクリューに巻き込まれる可能性

落水者が没水後どのように流れるかは解らない。

直ぐに浮いて船より離れればスクリューに巻き込まれることはない。

大きなスクリューの吸い込む流れに飲まれれば粉々になる

大型船は急には止まれない

大型船はスクリューをOFFにしてもすぐには止まらない。

大きく長い船体は惰性で長い距離を進む。

大型程その傾向は強い。

小型船のようには止められない。

大型船は急には曲がれない

大型船は舵を切っても直ぐには曲がれない。

とてもゆっくり曲がりながら大きな円を描く。

モーターボートのようにはいかない。

つまり落水者の場所には直ぐに戻れない。

くれぐれも客船から落水しないように気をつけたい。