人間と友達になろうとしたシャチ シナリオ4

実際にあった話

Killer Whale 殺し屋クジラと呼ばれるオルカ、海のギャングと恐れられている。

ジョーズで有名なホオジロザメも襲って食べてしまう、またクジラも襲って食べるというシャチ。

そんなシャチが人間と友達になりたがるなんてことがあるのだろうか?

場所はカナダのヌートカ湾

これは20年ほど昔カナダ(Canada)のバンクーバー(Vancouver )で実際にあった話。

カナダのバンクーバー島は太平洋側、アメリカの国境近くにある。

そしてシャチのいたムーヤベイやヌートカ湾はバンクーバー島の中央辺り、ヌートカ島の東側。

ルナのシナリオ3

前回までのあらすじ

カナダの太平洋側のバンクーバー島の海に群れから逸れた1匹のシャチの子供が姿を現した。

ルナと名付けられたシャチは人間との交流を求めているようだがカナダの水産海洋省は人間と野生動物の間にある壁は守るべきだと考え、人々とルナの交流を禁止する。

シャチを聖なる動物と崇める先住民をはじめ多くの人がこれに反発、その声におされ水産海洋省はルナを捕獲して遠く離れた場所にいる家族のもとへ帰すことに決めた。

私と妻はルナに関する記事を書くためこの地にやってきた。

滞在予定は3週間だったがそれよりも遥かに長い期間、ルナの物語を記録することになった。

ルナ捕獲計画

ルナはもうすぐ5才

いよいよ水産海洋省の捕獲計画が動き始めた。

現場の責任者はカナダ水産海洋省のエド。

ルナがエドの後を追って囲いに入るように仕向け、中に入ったらゲートを閉めるという作戦。

これで私はルナの信用を失う。

正直言って気が重い。

先住民の誇り

一方先住民たちはルナの捕獲に反対。

先住民としてこの土地に誇りを持っている。

ところが今、我々の土地から大切なものを奪おうとする連中がいる。

それはここにあるべきものだ。

我々ではない。

シャチのことだ。

ルナをめぐって奪い合い

ルナを連れだす先住民

2004年6月16日、ルナがヌ-トカ湾に来てから3年近くが経った。

この日の夕暮れまでにルナは囲いに入るだろうと思っていた。

しかし、それは間違いだった。

先住民たちは自分たちの信念を貫いた。

手漕ぎのカヌーに乗り、歌を唄いながら海に出てルナと行動を共にした。

ルナを囲いから遠ざけた。

ルナの自由を守るため、ルナの命を守るために戦っている。

ルナはカヌーの後に着いて囲いから60キロ近く離れた場所へ移動。

ある人はこれまでに見た最も穏やかな誘拐だと言った。

ルナをめぐる人間同士の綱引き

翌朝、朝早く水産海洋省のエドはルナを連れ戻そうとした。

先住民のカヌーがそれを妨害した。

ルナをめぐって人間同士の綱引きが始まった。

みんな闘志満々。

一生懸命頑張る。

大声で唄え

収集がつかなくなって一触即発の状態になったらただ大声で唄え。

ルナをめぐる綱引きは1週間後の6月22日まで続いた。

その日の朝、ルナはエドの後に着いて行ったが途中で丸太遊びをはじめた。

慌ててエドは引き返す。

エドはなんとかルナを丸太から引き離したが今度は漁船と遊び始めた。

その間も先住民たちは歌を唄いルナの後にずっと着いてきた。

先住民たちの決然とした態度には正直感銘を受けた。

彼らは最後まで諦めない。

強風にも負けずカヌーを漕ぎ続ける先住民。

彼らは小さなシャチと共に、新たな海の伝説を作ろうとしている。

しかし水産海洋省のエドも諦めるつもりはない。

ルナは囲いへ

モーターボートで島の向こう側までルナを遊びに誘い出す。

ついに手漕ぎのカヌーは着いて来られなった。

2時間後、ようやくルナは囲いの中に入り、先住民たちのカヌーは牽引されて陸に引き上げられ、ルナをめぐる綱引きは終わりを告げた。

先住民のマイクは戦いの終結を宣言した。

我々は最後まであのシャチを見捨てかった。

それを誇りに思う。

全てが終わったと思った時、思いがけない事態が起きた。

ゲートが閉まらない

現場の誰かを殺してやりたいぐらい腹が立った。

まったく信じられない。

エドだけでなく捕獲チームみんながイライラした。

ルナが入ったら早くゲートを閉めろと言うのにいつまでもモタモタしてる。

いったいどうしたんだ?

頼むからうまくやってくれ。

これを逃したらチャンスはないんだ。

歌を唄う

今我々がなすべきことは唄うこと。

大きな声で堂々と。

今から港にいる役人たちの所に行き彼らの前で唄おう!

シャチは必ず戻ってくる。

ルナの奪い合い

ルナが囲いの中に入ったのに何故か?ゲートが計画通りに閉まらない。

11分後ルナが外に出てしまった。

エドがもう一度囲いの中に入れようとすると歌声が聞こえてきた。

先住民のカヌーが戻ってきた。

ルナはカヌーの所に行き、エドはその後を追う。

ルナはエドのボートに先導されて再び岸に近づこうする。

先住民のルディーという男性の操縦する小さなモーターボートが飛び出しルナを引き寄せ逃げる。

エドはまた追いかけた。

またもや綱引きが始まった。

ルナにとって楽しい時間

緊迫感あふれるアクション映画のようですがルナにしてみればとても楽しく嬉しい時間だった。

ルナの求めていたものがそこにある。

この1週間大勢の人が自分の近くに来て、歌を唄い、一緒に遊び、目を見つめた。

人間たちの綱引きがどんな結果になろうともルナは一番欲しかったものを手に入れてた。

2日後ルナはルディーと一緒に何処かへ姿を消した。

水産海洋省は捕獲を断念した。

ルナは自由に

ついにやり遂げた!

水とスナック菓子とサンドウイッチだけで勝った。

自分たちに誇りを持とう。

素晴らしい。

我々の祖先もきっと喜んでいる。

ルナは今も自由だ。

我々は信念を曲げないと宣言する。

全てを自然に任せ、あのシャチをそのままにしておくべき。

自由と引き換えにかまってもらえない

遊び相手がいなくなった

ルナはそのまま自由になった。

戦いが終わるとルナは友達を失なった。

先住民のカヌーもエドも構ってくれない。

ルナの気持ちが解るような気がする。

ルナはこう思った。

「僕が何かした?」

「なんでみんな僕を嫌うの?」

ルナのイタズラ

ルナはまた人間に近づいて行った。

それが新たなトラブルを引き起こす。

突然シャチが現れてボートを壊す。

ルナにボートを押され舵を壊されたグレはシャチがボートを攻撃してきたと訴えた。

この被害に対処して欲しい。

すぐに何か手を打ってくれ。

でないと死者が出る。

シャチを告訴?

ゴールドリバーに棲むキースも怒りの声をあげた。

以前ルナにヨットを傷付けられたキースは今度はボートまで壊され、ついに警察に向かった。

警察を動かすには裁判を起こすしかない。

それでシャチを殺人未遂で告訴した。

殺人未遂で告訴されたルナ

遠い町の新聞やニュースでも取り上げられた。

連邦警察は管轄が違うのでルナを罪に問うことは出来ない。

アメリカのシャチだから我々には裁く権利が無い。

キースは不満だった。

連邦警察の対応は鈍すぎる。

現れたのがピューマなら直ぐに打ち殺すのに。

住民の中にはルナに敵意を持つ人もいる。

我々水産海洋省がルナを追い払わなければ彼らが行動を起こす。

水産海洋省はルナとの交友を断ち切る愛のムチ作戦をもう一度実行するように通達しました。

先住民のジェイはそれに従わない。

ルナとジェイの絆

水産海洋省を無視

僕の仕事はルナを安心させてやること。

そばにいて、ここなら安全だと教えてあげる。

僕とルナの間には強い絆が生まれた。

杉の皮で引っ張りっこをして遊んだ。

ジェイとの交流が続いている間、ルナはまったくトラブルを起こさない。

ルナは自力でエサをとる

ルナはとっても強い子供。

ひとりで生きる術を学び、自力でエサをとり、何もかも自分の力で切り開く。

僕にできるのは友達になることぐらい。

ルナと友達になれたことを光栄に思う。

しかし水産海洋省は相変わらずルナと人間の交流を認めない。

ジェイに交流を止めるよう伝えた。

何かが違う

妻と私は何かが間違えていると思う。

ルナに対する感じ方も変化を見せ始めた。

最初のうちは私もあまり近づくべきではないと思っていた・・・