人間と友達になろうとしたシャチ シナリオ3

英語で Killer Whale と呼ばれるオルカ、別名海のギャングとも言われる。

サメを攻撃し襲って食べてしまう。

そんなシャチが人間と友達になりたがるなんてことがあるのだろうか?

これは20年ほど昔、カナダ(Canada)のバンクーバー(Vancouver )で実際にあった話です。

ルナのシナリオ2

4才の夏

また夏が巡って来て、ルナは4才。

シャチ

新しい安全管理員たちがやってきて愛のムチ作戦は更に厳しいものになった。

ルナを見ることさえ禁止。

ルナを見ることも禁止

彼女たちは記録用紙とビデオカメラとメガホンを持って見張る。

住民の中には愛のムチ作戦はただ残酷なだけと考える人もいる。

「あの子は天の恵みのようなもの、君たちはそれを台無しにしてる」

「あの子は慰めて欲しがってるんだ」

「そもそも誰が規則を作り、正しいと言った」

罰金を取られても何度もくる。

ルナがボートの周りをウロウロしてかまってくれる人を捜している。

状況が変わった

状況が変わった。

ルナが水上飛行機にじゃれつくようになった。

これまでと同じ安全対策では追いつかない。

「まずいよ」

「早くシャチを追い払って」

「このままじゃ飛行機が沈んじゃう」

新しい対策

何か手を打たなければと強く主張するようになった。

もし飛行機に何かあってケガをしたり死んだりしたらルナはもうお終いだと思った。

水産海洋省のエドはこうなったらルナに触ってもよいから飛行機から遠ざけるんだって言った。

私たちは必ずルナを守る覚悟。

リナを助けるため管理員たちはそれまでの方針を180°転換することにした。

ルナを見て、ルナと遊ぶことにした。

もうこんな事できない

「間に合った」

「こっちに来る」

「飛行機にかまっちゃダメよ」

「飛行機は気にしないこと、イイ!」

「お利口さんは飛行機と遊ばないの」

シャチ

「涙が溢れてきました」

こんなことに関わっていればいつかあの子が死ぬのを見ることになる。

このままではいけない?どうする?

他所に移すべき?

この件によってルナを捕まえて他所に移すべきだという声が更に高まった。

1年前に親を亡くしたシャチがシアトルからバンクーバ北部に運ばれ、もとの群れに戻るという出来事があった。

多くの人たちがルナにも同じような措置を取るべきだと主張。

水産海洋省の答えはNO。

シアトルではシャチを助け出すことが目的だったがルナにその必要がない。

子供達からの圧力

しかし水産海洋省は思いがけない所から圧力を受けることになった。

歌ってダンスを踊る子供たち

♪ルナはひとりぼっちの

  さびしい小さなシャチ♬

♪ルナはひとりぼっちの

  さびしい小さなシャチ♬

この小学生をはじめ、行動を通じてルナのフアンになった人たちが各地で急増した。

ルナヘの支援

ルナがみんなに愛されたのは人懐っこい性格で人間と野生動物の壁を越えたからだった。

しかし皮肉なことに状況を詳しく知る人たちはその人懐っこい行動がルナの命を危険にさらしていると考える。

大勢の人がルナの支援に加わった。

ルナが人間と交流する写真を見たゆえ。

みんな当時の状況に問題があると思っていた。

ルナに関するウエブサイトを立ち上げるとルナの移住を望む人々が1万人も集まってきた。

カナダとアメリカの上院議員も支援に乗り出し、アメリカはルナの移住に掛かる費用として10万ドル(約1100万円)の援助を申し出た。

ルナを群れに連れ戻すべきだという声は高まる。

群れに受け入れられないかも?

多くの科学者が戻ってきたルナの家族がルナを受け入れない可能性があると指摘。

我々も少なからず不安に思っていた。

成功を疑わない人もいたが水族館や野生のシャチを研究しシャチのことをよく知っている科学者の多くはその措置に懐疑的だった。

群れに戻れなかったらどうなる。

監獄の水族館?

水族館はシャチの美しさと賢さを多くの人々に教えてくれる場所。

しかし、自然の自由に泳ぎ回れる環境に比べれば監獄のように見えることは否定できない。

水産海洋省はもし群れに戻して上手くいかなければルナを水族館へ送るよう秘かに準備を進めていた。

シャチを人口の多い地域に放せばボートの数は激増する。

人にもシャチにも多くの問題が持ち上がる。

それにどう対応するかを当然考えておく必要がある。

そうした理由から飼育という選択肢について話しあった。

先住民への冒涜

ルナを水族館に売ろうとしていた。

水産海洋省は計画を秘密裏に進めていた。

何処からともなく噂となり先住民たちが怒りの声を上げた。

「シャチを捕まえて折に入れるなんて我々先住民に対する冒涜(ぼうとく)だ。」

「とんでもない事だ」

今、新たな抗議運動が起きた。

先住民のマイクはメディアを通じて反対意見を述べた。

「私たちはシャチを自然のままに、つまりそのままの状態にしておくことが望ましいと考える。」

ルナの移住?

一方ルナをトラックで運ぶには50万ドル(約5500万円)の費用が掛かる。

またボートで先導して南の海へ連れて行く計画は却下されたまま。

交流を深めるのは最悪の行為?

「人間との交流を深めるのは最悪の行為、避けるべき」

「ルナが不満に思ったとしても仕方ない」

掛け替えのない子供

人間たちの様々な議論もルナの耳に入らない。

これまでと同じように顔馴染みの船を見つけると親しげにすり寄ってくる。

シャチ

ルナはボートに追いつくと船の舳先にシッポを乗せた。

それから沈んでまた浮かび上がり、ひっくり返ってもう一度シッポを乗せた。

ルナは遊んでる。

ヌートカ湾の住民にとってルナは掛け替えのない子供のような存在になっていた。

水産海洋省の決断

しかし、ルナをこのまま放っておくわけにはいかない。

水産海洋省はついに1つの決断を下した。

春になったらルナを捕獲して南の海へ運ぶことにした。

次回ルナのシナリオ4に続く