ムギワラエビは紅白2色、オルトマンワラエビは赤白赤or黒白黒

深い場所にいて滅多に見られないムギワラエビ

深い深度のムギワラエビは日本固有種

ムギワラエビ

3月に内房の勝山へ潜りに行った時はいなかった。

勝山ダイビングの人気者、ムギワラエビ

日本の固有種、他の国では見られない。

東京湾・浦賀水道・相模湾・南紀・日向灘に生息する。

ちょっと深い水深にいるので一般ダイバーにはなかなかお目にかかれない。

135年ぶりに勝山で発見

1880年の明治13年に千葉県鋸南沖の東京湾でドイツ人研究者が採取し、新種として発表。

その後、東京湾では見つからず2015年5月23日に同じ東京湾にある千葉県勝山の浮島沖で135年ぶりに見つかり一部で話題になった。

その後も見つかったり、いなくなったり。

見つかる場所は決まって浮島の西北西側沖、深度30m前後のヤギ類に生息。

今回は深度26mに2個体いるという。

本来、ムギワラエビは深度50~70mの一般ダイバーが潜る深度より深い場所に生息。

見たことない人が多いのもあたりまえ。

滅多に見られない深度26m

見られることが珍しいので早速行ってみることにした。

前回、見られた場所は30m、ミッションは15分と余裕がなかった。

今回もその近くにいるが深度26mなので前回より少し余裕がある。

深度が深く暗いのでライトは必携アイテム。

写真撮影だけでなく、出来れば動画も残したい。

水面水温22℃、でも深場は水温が18℃とウエットスーツではやや寒い。

深度18mでムギワラエビポイントを目指す

ボートより海へ飛び込む。

潜降して深度16mに着底、器材の異常がないことを確認。

ひたすら深度26mのムギワラエビポイントを目指す。

深度20mより深くは冷たい。

18mをキープして中層を沖へ向かう。

目標地点確認、まもなくムギワラエビポイント真上に到達。

ブリの群れ100匹以上、正面より大接近

得体のしれない太い者接近

すると沖から丸くて太いものがやってきた。

1匹じゃない。

後ろに何十匹も続く。

暗くて顔がハッキリしない。

目前に先頭の1匹が迫ってきた。

目が小さめ、かこいいランナー型の紡錘形、中央にイエローライン。

ブリ100匹以上大接近

これはブリ

80cm以上の大きさ、それも群れ100匹以上!

目前から横にかわし、後ろへと廻る。

そしてまた同じ道を戻って沖へ消えた。

なんとこの時期にこの大きさのブりを、それも100匹以上の群れを見るのは超ラッキー。

思わず水中ガッツポーズ!

ムギワラエビを見なくても十分、心満たされた。

ムギワラエビは紅白2色模様

深度26mは冷たい

その後、冷たい水底へ降りていく。

直径60cmほどのウチワ状のオレンジ色のヤギ類

ライトを照らせば直ぐにムギワラエビが見つかった。

ムギワラエビはヤドカリの仲間

色は全体的に黄色が強い。

細い赤い線がわずかに入る。

2本のハサミのある手と6本の後ろ足。

足の数は通常のカニに比べ2本少ない。

タラバガニも足の数が同じ、種としては両方ともヤドカリに近い。

長い足にあるヒゲがエサを摂る道具

目の上に2本ヒゲのような青く輝く触角がある。

クモのような長い足には等間隔に短いヒゲがあり、流れてくる浮遊物がこのヒゲに引っ掛かる。

長いハサミを使って引っ掛かった浮遊物を取り除く。

そしてその浮遊物を口元に運びエサとする。

ムギワラエビは足のヒゲに浮遊物が引っ掛かるように潮通しのよい場所を好む。

隙間だらけのヤギ類はムギワラエビにとっては格好の棲家。

ムギワラエビは紅白2色、オルトマンワラエビは赤白赤、または黒白黒の3色

ムギワラエビ

ムギワラエビとオルトマンワラエビはとても姿形が似ている。

クモのように足が長く英語では spider club (クモガニ)。

大きな違いは細長い足の関節部にあり色模様。

ムギワラエビは紅白の2色。

それに対しオルトマンワラエビは赤白赤、または黒白黒の3色。

色がサンドイッチになるのはオルトマンワラエビ。

そんなオルトマンワラエビを30年前はムギワラエビと呼んでいた。

それにしても勝山ボートはいつも面白い。