ウミウシの仲間をなぜ後鰓類と呼んでいた?そしてなぜ無くなった?
心臓よりエラが後ろにあるウミウシ
貝は陸上のカタツムリ、ウミウシは陸上のナメクジ
海中の生物、巻貝のサザエやアワビを陸上の生物で例えれば貝殻を持つカタツムリ。
貝殻を取り除いたものがウミウシ、陸上の生物で言えばナメクジ。
巻貝もウミウシの仲間も水中生物の方が圧倒的に種類が多い。
ウミウシの仲間は後ろにエラのある後鰓類
ウミウシの仲間は後鰓類と呼ばれる。
読んで字のごとし、エラが後ろ側にある仲間という意味。
エラを持つということは水中での呼吸器官を持つ動物ということになる。
魚類は全ての種が心臓より前にあるので該当しない。
前鰓類の巻貝と後鰓類のウミウシ
後鰓類は軟体動物
後鰓類とは水中に生息する無脊椎動物(背骨の無い動物)の軟体動物に限られる。
軟体動物とは体の柔らかい無脊椎動物。
具体的にはタコやイカの仲間、二枚貝や巻貝、ウミウシ、ヒラムシの仲間が該当する。
巻貝とウミウシは腹側で移動する
腹側という地面に接する筋肉を収縮させて水底を這うようにして移動する。
この腹側を有してるのは軟体動物の中でも巻貝とウミウシの仲間。
心臓よりエラが前にある前鰓類
ほとんどの巻貝のエラは心臓よりも前側にある。
心臓よりもエラが前側にある巻貝の総称を前鰓類と呼ぶ。
正式には軟体動物門 腹足綱 前鰓亜綱。
例えば実際にはアワビ、サザエ、タカラガイ、イモガイ、ホラガイ、ツメタガイ、カサガイ、タニシの仲間が前鰓類で、巻貝の大部分が前鰓類である。
心臓より後ろにエラがある後鰓類
全てのウミウシは心臓より後ろ、または横にエラを持つ。
一部の巻貝にも心臓より後ろ、または横にエラを持つものがいる。
これらを総称して後鰓類と呼ぶ。
正式には軟体動物門 腹足綱 後鰓亜綱。
ウミウシに含まれない後鰓類
後鰓類の仲間になる巻貝は、貝殻が非常に小さい、体の中に埋没、または消失したものが多い。
ミスガイやコンシボリガイ、ベニシボリガイのように明確に貝殻を持つウミウシの仲間もいる。
学術界の分類は変わり後鰓類が無くなった
昔より今、今より未来
生物の種類も研究が進めば細かく分けられる。
外見だけの種別だけでない。
昔より現在の方が分類学も進み、種類の分け方も複雑。
分類するための道具も進化した。
後鰓類という言葉が無くなった
2017年以後、現在も分類上に後鰓類と言う言葉は無くなった。
現在の分類では頭楯亜目の一部に心臓の前に鰓があったり、鰓が無く皮膚呼吸で生きる微小な種もいる。
一概に鰓の位置だけを分類の根拠とすることはできない。
ゆえに分類学上、現在は後鰓類を使用していない。
たぶん過去もこれからも難しい呼び方ではなく、ウミウシ類が一番わかりやすい。