進化した無脊椎動物、サルパの不思議な繁殖生活

ダイビングで奇妙な生物に遭遇する

何なのか解らない

海に潜るダイビングでは時に奇妙な生物に遭遇する。

これもそのひとつ。

魚でもタコでもイカでもない。

スケルトンの体はクラゲを想像するがクラゲでもない。

この生物は一般には知らていない。

もっとも進化した無脊椎動物、サルパ

サルパ
伊豆大島のサルパ

クラゲの仲間ではなく、ホヤの仲間。

無脊椎動物の中でもとても進化した部類に入る。

背骨のある脊椎動物にもっとも近い尾索動物

名前をサルパという。

年中見られる生物ではなく、見られたらラッキー。

何故?尾索動物のホヤが無脊椎動物の中で一番魚に近いと言われるのか?

ホヤにはエラ、胃、腸、心臓がある

食用にするホヤは海底に付着して育つ。

特に動き回ることは出来ない。

入水口から海水を取り入れ、エラで呼吸し、取水口から排水する。

そしてプランクトンをろ過し胃から腸を通して吸収、心臓を持つ。

幼少時代は泳ぎ回る

幼少時代はおたまじゃくしのように泳ぎ回り背骨らしきものがある。

成長の途中で尾ビレは無くなり岩などに着底し皆の知るホヤとして育つ。

放精放卵で繁殖する。

脊椎動物の魚に一番近いと言われる理由

内蔵の構造が魚に似ること。

幼少期に泳ぎ回ること。

その頃の体には背骨らしきものがあること。

サルパは尾索動物でホヤの仲間。

サルパは不思議な生物

体の形が解りづらいサルパ

サルパ
江之浦のサルパ

体が半透明で解りづらい。

触った感じはやや硬く、ナタデココのような触感。

目はないが口があり、排水口もある。

内蔵は小さく赤っぽい。

成長の早いサルパのエサは植物プランクトン

オオサルパジンベイザメのような口から海水を通し、植物プランクトンをろ過し取り入れる。

後部排水口から水を排出し移動する。

成長速度が早く、1時間で体の10%成長することもある。

大きさは1~10cm、オオサルパは30cmに育つ。

不思議な繁殖活動

母体から生れた子サルパは雌雄のない無性生殖体。

この子サルパは数10~数100のクローン個体を産みだし、チェーンのようにつながる。

チェーンのまま移動し、植物プランクトンを取り入れ成長する。

連鎖はやがてバラバラのサルパ個体に分れる。

サルパ個体の最初はメスで一つの卵を持ち、近くにいるオスに受精させて体内で育てる。

同じ連鎖の個体は全てメス個体、オスのサルパは子を産んだことのある大人のサルパ。

母サルパは子を産むとオスの体に変わる。

産れた子サルパはまたクローン個体の増殖をしていく。

このサルパの個体に棲むアミダコという生物もいる。