素速く砂に潜るベニシボリガイ
天女の羽衣は幸運のあかし
天女の羽衣
静岡県清水三保の松原には羽衣の松がある。
天女が地上に降りた時に羽衣を松に掛けた。
その羽衣は見たこともないほど美しい衣であったとか。
羽衣の松伝説にある。
もしかして天女の羽衣とはこんなだったかも知れない。
白い外套膜と赤い線
透き通るような腹側を伸ばし水底を這いまわる。
1cmほどの白い巻貝。
小さな溝のある貝殻には赤い2本の線と交差するように波線が渦中心に向かって走る。
腹側の端はやや青みがかる白色で縁どる。
頭部にあたる中央には黒い小さな目がある。
ベニシボリガイ
名前をベニシボリガイという。
深度1~15mの礫に囲まれた砂地に生息する。
ダイバーでも見ることが珍しい。
夜行性のため昼間は砂に潜って身を隠す。
砂中のイトヒキゴカイなどを捕食。
ベニシボリガイを見つけ易いシーズン
冬から初夏にかけて砂上に白いゼラチン質でコイル状の長さ1~2cmの卵塊を産む。
卵塊は7日ほどで孵化する。
ダイバーがベニシボリガイを見つけやすいのがこの産卵のシーズン。
天女の羽衣を纏うベニシボリガイ
ベニシボリガイは身軽に動く
小さなベニシボリガイだが動きは意外に速い。
人間と同じ体の大きさとだとしたら、かなり身軽に動く。
そして広範囲を移動する。
穴掘り名人のベニシボリガイ
砂の上で10秒も目を離したらベニシボリガイを見失う。
跡形もなく砂に潜ってしまう。
そのためベニシボリガイを見つけたら目を離さいように気をつける。
天女の羽衣を見ていたい
水中でベニシボリガイに会った時にはずっと見ていたい衝動に駆られる。
見れば見るほど天女の羽衣のような美しさにひかれる。
小さな体で外套膜をめいっぱい広げ、せっかちに動く。
触角のようなものを振りかざしながら行先を確かめる。
目はハッキリとは見えない。
明るさを判断でできるほどの器官。
砂の中では見える目はあまり必要ない。
ベニシボリガイの貝殻
死んだベニシボリガイの貝殻は波によって海岸へ打ちあがる。
運が良ければベニシボリガイの貝殻を見つけることが出来るかもしれない。
時間が経てば波と砂利に削られてなくなる。
今回のベニシボリガイの写真は千葉県勝山市の浮島で2022年2月と4月に撮影。