今は使わない言葉「えんがちょ」それは子供の遊び
えんがちょ
えんがちょ切った
最近、聞かなくなった言葉。
今の子供たちはえんがちょを聞いたことも意味も知らない。
使ったことがないかもしれない。
ひとつの遊び?
私が子供の頃には遊びの中で時おり使われていた言葉。
主に子供同士の間で使われた。
大人と子供のやり取りではあまり使わない。
えんがちょを使う状況
糞を踏む
例えば3人の子供がいたとする。
道路に犬の糞が落ちていたのを知らずに踏んづけた太郎。
うんちを踏みつけた太郎にとっては不名誉なことだ。
汚い、不衛生、誰かに取り除いて欲しいと思う。
けれど側にいる次郎や三郎にとって太郎はウンチに染まった人物。
実際には踏んだぐらいでウンチに染まるわけがないのは子供でも解かっている。
しかし気分的にはウンチに染まったバイキンになる。
バイキンが移る
次郎も三郎も汚い太郎を囃し立てる。
ウンチ踏んだ!
ウンチ太郎だ!
触るとうつるぞ!
嫌な気分にさせられ困った太郎は、ならば仲間を作ろうと次郎と三郎を追いかけまわす。
触って清潔側からバイキン仲間にするためだ。
魔法の言葉と印
このときに太郎に触れられてもバイキンがうつらないようにする魔法の言葉がえんがちょ。
太郎に触れられる前に「えんがちょ切った」と呪いの言葉を言い、指で印を結べばバイキンはうつらず清潔側でいられる。
次郎も三郎もバイキンがうつらないようにいち早くこの「えんがちょ切った」の呪文を言い、印を結ぶ。
そこにいる子供全員が「えんがちょ切った」の宣言と印を結べば太郎ひとり仲間外れ、その時は仲間に入ることが出来ない。
一つの子供の遊びと言える。
言葉の意味
縁を切る
「えんがちょ切った」とはかなり便利な言葉。
もともとは縁をちょん切るという意味。
汚い人間と縁を切るという意味になる。
この時の言葉と指の印の結び方は日本各地方で違いがある。
東京の品川周辺では右人差し指と中指をクロスして重ねた形。
この指のポーズで「えんがちょ切った」と宣言すれば全てのバイキンはうつらない、ことになる。
千と千尋の神隠し
宮崎駿監督の映画「千と千尋の神隠し」でも「えんがちょ切った」が出てきたので笑ってしまった。
白龍のハクに千が苦団子を飲ませるとハクが黒いイモ虫のようなものを吐き出す。
動き回る黒いイモ虫を千が足で踏み潰してしまう。
その後に釜じいが「えんがちょせい、えんがちょ」と言うと千が両手の親指と人差し指で丸を作り、釜じいが「切った」と言いながら千の印を手刀で切る。
この話も子供の時代の話。
えんがっちょ切ったは便利な言葉。