温暖化で殺人ダコ出現はウソ?昔から冬にも見られたヒョウモンダコ
昔から伊豆近辺で見られたヒョウモンダコ
ヒョウモンダコ温暖化で北上?
ここ数年夏が近づくと殺人ダコという猛毒を持つヒョウモンダコのニュースが話題となる。
そのニュースの内容は「地球温暖化の影響で生息分布域が北上し、千葉や神奈川などの関東地方でもヒョウモンダコが頻繁に発見されています」というものだ。
本当にそうなのだろうか。
ヒョウモンダコを知らなかっただけではないのか?
昔の映画で007シリーズにオクトパシーというものがあったがこのオクトパシーはヒョウモンダコのこと。
昔からいた
地球温暖化の影響かどうかは関係なく、ヒョウモンダコは関東でも昔から生息している。
35年前、一年でいちばん水温が下がる3月水温14℃の環境、深度6mの水中で確認している。
場所は東伊豆の海。
まだエルニーニョという言葉も無かったころ。

Blue Ringed Octopus
その後も何回もヒョウモンダコを確認している。
英語ではBlue Ringed Octopus。
南方にもヒョウモンダコはいるが関東で見るのとは違うタイプ。
南方系のBlue Ringed Octopus はオオマルモンダコというタイプ、関東では見たことがない。
両方ともヒョウモンダコの仲間。
今年1月7日に見つけた
先日2018年1月7日、神奈川県江之浦海岸の深度8mで見つけた。
水温は16℃と冬の水温。
けっして温暖ではない。
その時の様子がこの画像。
ヒョウモンダコの特徴
ブルーリング
ヒョウモンダコの最大の特徴は瑠璃色の鮮やかなブルー。
青い線とヒョウ柄の紋がある。
平常時この瑠璃色の模様は画像を見ても解るようにあまり目立たない。
ただ外敵に襲われたり、興奮した時に鮮やかな青色を発色する。

小型で擬態疑色が得意
胴(頭)の先端がロート状に尖るのもヒョウモンダコの特徴、マダコやイイダコは胴の先端は尖らない。
大きさはイイダコと同じぐらい、全長で10cmほど。
擬態疑色がとても上手。
一瞬にしてその容姿と色を変える。
泳いでいる時はイカに見えたり、魚に見えたりする。
着底している時は岩に化けたり、海藻に化けたり。
皮膚表面に突起を作り擬態をするので静止している時のヒョウモンダコを見つけるのは非常に難しい。

生息場所、寿命、餌
生息場所は比較的浅い深度の岩場や藻場。
深度15mより浅く、水温が暖かくなれば潮だまりにも生息。
寿命は約1年、交尾したメスは産卵後に卵を抱える、その後は孵化するまで餌を一切食べない。
卵が孵化するとメスは体力を使い果たし寿命を終える。
餌は他のタコと同じように甲殻類のエビ、カニ、貝や魚など。

毒は猛毒
毒は唾液に含まれる。
マダコにも唾液には毒があり、噛まれた傷口から毒が入るとかなり痛む。
ヒョウモンダコの場合は唾液にテトロドトキシンというフグと同じ毒を持つため傷口から体内に毒が入った場合は非常に危険。
毒の強さは青酸カリの750~1000倍。
毒が体内に入ったら呼吸困難となり、絶命もありえる。
苦手な天敵はコウイカ。
ヒョウモンダコの猛毒がコウイカには効かない。
簡単にコウイカに捕食されてしまう。
気の弱い、臆病者
しかし、一般的にヒョウモンダコは自己防衛型の生物。
ヒョウモンダコから人間に対して攻撃をすることはまずない。
ゆえにヒョウモンダコには猛毒があり危険だというニュースは聞くがヒョウモンダコによる被害を聞いたことがない。
見つけても触らなければ問題ない。
彼女は大人しく、怖がり屋。
もし実際に見つけたら
食べるのはNG
食用にすることはNG。
ヒョウモンダコの毒はフグ毒と同じテトロトキシンなので煮ても焼いても毒は消えない。
内臓にある毒腺をそっくり除去すれば食べられれないこともない。
食べるにしても身は小さいし、わざわざ命をかけてチャレンジすることもないだろう。
もし、食べて口から毒が体内に入った場合は噛まれたとき同様で非常に危険。
見られたら
ヒョウモンダコを自然界で見つけられたら非常にラッキー。
擬態疑色が上手で見つけづらい。
そして数も少ない。
マダコはよく見つけることが出来る。
けれどヒョウモンダコを見つけるのは稀。
自分も1年に1~3回、見ない年もある。
もし見つけたなら無闇に殺さず、触らず、ゆっくり観察し、ブルーのヒョウ紋を確かめて、最後はそのまま逃がしてやって欲しい。
別に誰にも害を加えたりしていないのだから・・・