アンコウ(クツアンコウ)とキアンコウ(ホンアンコウ)の見分け方と水中放流
網に掛かった魚はアンコウか?キアンコウか?
江之浦で網に掛かったアンコウ
3月10日、神奈川県小田原市江之浦港沖で漁師のヒラメ刺し網に掛かったアンコウ。
3月に入るとアンコウの市場値は安くなる。
鍋の需要が減り、4~6月に産卵するアンコウは養分を卵にとられ肝が痩せる。
ゆえに人気が下がる。
市場に出しても二束三文。
そんな理由で江之浦ダイビングサービスが漁師よりアンコウを譲り受けた。
そしてその魚を水中で放流して欲しいと依頼された。
食用はアンコウとキアンコウ
洗い桶に入ったアンコウ1匹。
大きさは40cm。
アンコウとしては大きくない。
アンコウはオスよりメスの方が大きくなる。
食用になっているアンコウは2種類。
アンコウ(クツアンコウ)とキアンコウ(ホンアンコウ)。
流通の多くはキアンコウ
アンコウ(クツアンコウ)の平均サイズは40cm。
大きなものでは70cmになる。
キアンコウ(ホンアンコウ)の方が大きくなり、150cmを越える。
一般にアンコウとして流通しているのはキアンコウの方が圧倒的に多い。
深度30~500mの砂地に生息する。
アンコウとキアンコウの違い
口内ドット模様があればアンコウ(クツアンコウ)
アンコウとキアンコウは非常に似ている。
外見で区別するのは難しい。
違いは口内下顎の模様。
大きなドット模様があればアンコウ(クツアンコウ)、模様がなければキアンコウ(ホンアンコウ)。
今日のアンコウの口内は真っ白かと思えば、歯に近い部分には大きなドット模様がある。
上膊骨が枝分かれすればアンコウ
また、胸鰭の前方背の左右にある上膊骨(じょうはくこつ)がアンコウ(クツアンコウ)は棘の先端がいくつかに分かれている。
それに比べキアンコウ(ホンアンコウ)の上膊骨は枝分かれしない1本の棘。
網から魚を出す時にこの骨が前後に突出し、網が引っ掛かり、外しにくかった。
アンコウ(クツアンコウ)の特徴が2つとも一致。
アンコウの水中放流
玉ねぎの網袋で水中移動
洗い桶に入った魚は潜水直前に玉ねぎの網袋に入れられた。
そのまま素早く水中へ連れていく。
移動中は出来るだけ魚に負担をかけたくない。
体を伸ばし、頭を前にし、口の中に水流が入るように支えて泳ぐ。
エラに水が通れば呼吸が出来る。
大岩の陸側にある深度10mの砂地まで魚が暴れることはなかった。
歯やエラに引っ掛かる網
そして目的地に到着すると網を外した。
魚は大きな口を開けたまま硬直。
網の目が歯やエラにある棘によく引っ掛かる。
簡単に魚を出せない。
焦らず力を入れず少しづつ外す。
力を抜いてやっと安定
網から出した瞬間、魚は泳がない。
硬直した体を維持。
水底に置いても波でひっくり返りそう。
落ち着くまで軽く支える。
硬直した体の力が抜けると砂地の上で安定した。
ルアーと釣竿を持つアンコウ
その後はまったく動かない。
もともと良く動く魚ではない。
浅く砂に潜り、口の上を通過する魚やカニ、エビなどの甲殻類を襲う。
近くに寄らない時はエスカ(ルアーのついた釣竿)を振って誘き寄せる。
射程距離に入ったエサは一瞬のうちに大きな口で水ごとエサを吸い込む。
待伏せ型捕食者
エサが来るまでただひたすら待つ。
動けば体力を使う。
エネルギーを使わぬよう動かず待つ。
待伏せ型捕食者。
アンコウにも休養が必要
海が荒れなければこの場所で数日は動かないような気がする。
刺し網に絡め捕られ、船上へ、そして陸上へ運ばれ、洗い桶へ移された。
またも居心地の悪い網に入れられ、海底へ戻ってきた。
怖い想いをし、不安を抱き、ラッキーなことに今は海で生きている。
体はかなり疲れている。
今は動かず休むべき。