待伏せ型漁法、浅場から沖へ広がる定置網のしくみ
定置網って?
網で捕る漁法
日本人にとって魚は大事なタンパク源。
漁師は対象魚によって釣ったり、網で捕ったり漁法が違う。
網で魚を捕るには玉網から四手網、投網、刺し網、巻き網、底引き網、定置網など色々ある。
定置網
海岸沿いに道を走らせると海岸近い海面に沖に向かってブイが一直線に並びTの字に並んだり、大きな矢印に見えるブイの配列を見たことがある人もいると思う。
それは定置網のブイ。
定置網は流れに沿って泳ぐ魚の習性を利用した漁法で魚を追いかけるのではなく待ち伏せ型漁法。
言い方悪いが魚のゴキブリホイホイ。
沢山の定置網
日本全国の海岸で岩場が続けば定間隔と言いたくなるほど沢山の定置網が設置されている。
海岸線近くに回遊してきた魚は必ず何処かの定置網に入ってしまうだろう。
魚が来なければ魚が入らない漁でもある。
定置網のしくみ
捕れる魚
捕れる魚は場所によってそれぞれ違うがアジ、サバ、イワシ、カマス、サワラ、ブリ、カンパチ、ヒラマサ、キハダマグロ、クロマグロ、マダイ、イカ、サケなど色々。
地域とシーズンによって回遊してくる魚も変わる。
定置網は一般的には水深40mよりも浅い水域に設置する。
現在は深度100mの深さにも設置している網もある。
許可制
定置網の設置は勝手に誰でも出来るものでは無い。
現地で漁業権を有している漁師でも設置するには許可がいる。
漁協から県に申請する小型のものもあれば、国へ申請して大臣許可を取らなければならない大型のものまである。
流れとポイント
魚は流れに沿って回遊してくるので定置網は流れのある場所に設置する。
しかし流れが強すぎても設置が困難。
ほどよい流れで魚が回遊してきやすい場所、岬の近くなど水底の地形を考えながら設置。
岸から沖へ垣網
手前の浅い場所から沖へ向かって垣網を水底から水面まで建てる。
網の水底部は隙間が出来ないように沈子(重り)と砂袋などで固定し、水面部にはブイを付け流れに対し垂直に網を張る。
垣網の目の穴は大きくても問題ない。
理由は群れで泳いできた魚は1匹の魚の大きさではなく、群れの大きさが通れる場所しか通らない習性がある。
1匹では楽に通り抜ける網目でも群れでは小さく感じて網目をくぐらず、網に沿って泳いで行く。
垣網は流れの抵抗を大きく受けるので網目が大きい方が都合が良い。
囲網と箱網は魚が逃げないように目は細かくする。
また、魚は垣網にぶつかると深い方向へ泳いで行く習性がある。
もし浅い場所へ泳いで行ってもある程度行くと大きく迂回して戻ってくる。
そして垣網に沿って沖の囲網に誘導されて行く。
囲網では不十分
囲網に入った魚は網の壁に沿って泳ぐため中々外に出られない。
運良く網の入り口で逆向きに泳いだ魚だけが逃げることが出来る。
100%全てが捕れるわけではなく逃る魚もいる。
囲網から逃げられない魚はやがて昇網を上がって箱網へ入る。
箱網は逃げられない
箱網に入った魚はほとんど逃げられない。
但し、箱網に魚が入りすぎると網が重くなり沈むことがある。
ブイまで沈むと逃げる魚もいる。
漁師はこの箱網に入った魚を水揚げしている。
漁師から見れば
入る魚は選べない。
安い、高いを選べない。
場所、シーズン、流れによって水揚げが大きく変わる。
網は付着物が付くと魚が入らなくなるので定期的に交換して掃除する必要がある。
大きな台風で定置網がダメになると400万~数千万円の損害になるので漁師は博打うちとも言われる。