リチウムイオン電池の長期保管は容量50%
リチウムイオン電池の保管
ZERO bigblue 社製の水中ライト
先日、メーカー ZERO bigblue 社製の水中ライトを入荷した時にバッテリーの保管の仕方について確認をとった。
部長の話では過放電が問題なので充電した状態で保管するように勧められた。
リチウムイオン電池を最後まで使って長期保存はNG
バッテリーを使い切った状態で半年以上も保管するとダメになる。
使用したらバッテリーの充電ができないということで修理の依頼が多くなっている。
バッテリーを使い切っても直ぐに充電すれば問題ないがそのまま半年~1年たってから充電しようとする人がいるが過放電でバッテリーが作動できない。
新しいバッテリーの再購入になってしまう。
リチウムイオン電池の説明書
そのようなトラブルが無いようにバッテリーの充電と保管についての説明書を添付しておくと言っていた。
今の充電式リチウムイオン電池の使い方に疑問
パソコンやスマホ、カメラなど水中ライト以外にも充電式リチウムイオン電池が現在広く使われている。
充電式リチウムイオン電池にとっていつ充電するのが好ましいのか?
満充電まで充電した方が良いのか?
細かく数多く充電した方が良いのか?
保管は完全放電した状態が良いのか?
それとも満充電の状態が良いのか?
数々疑問が生じる。
リチウムの電池には2種類
リチウムを使用した電池は大きく分けて2種類ある。
リチウム電池
使い捨て、1回ポッキリ使い切りタイプをリチウム電池(リチウム一次電池)と呼ぶ。
リチウムイオン電池
何回も充電して使えるタイプをリチウムイオン電池またはリチウムイオン二次電池と呼ぶ。
今回はこのリチウムイオン電池の話。
リチウムイオン電池の特徴
リチウムイオン電池の電圧
リチウムイオン電池の定格電圧(連続して使用できる電圧)3.7V、満充電状態4.2V、終止電圧2.8V。
充電サイクル
充電できるのは500回。
充電を500回繰り返した後の電圧容量は60%になる。
※リチウムイオン電池を使用している携帯電話を毎日フル充電すると500日後には最初の電池容量の60%になる。
つまり1年5ヶ月後に電池の使用できる時間が最初に比べ60%に減る。
メモリー効果無し
メモリー効果とはニッカド電池やニッケル水素電池にある特性。
少量だけ電池を使い満充電を繰り返すと少ない使用範囲だけを充電容量だと記憶して、使用していない容量部分が使用出来なくなる状態。
FULL充電出来なくなる。
リチウムイオン電池にメモリー効果はない。
自己放電
保存による自己放電は少ないが少量づつ放電していく。
管理温度
リチウムイオン電池は周囲温度25℃を基準にしている。
使用可能温帯域は-20~60℃、充電時の最大許容周囲温度は45℃。
また低い温度では放電能力が下がる。
リチウムイオン電池の満充電は
リチウムイオン電池の充電
リチウムイオン電池の充電は満充電になったらすみやかに充電器から外す。
満充電後も充電器につないだままの状態を続けるとリチウムイオン電池の温度が高くなり、熱による劣化が進み寿命が短くなる。
一般には充電器に満充電の状態で長時間放置すると容量が減り使用時間が短くなっていく。
満充電状態が長いと仕事したくなくなる
満充電の状態での保管はリチウムイオン電池が劣化する原因。
※最初の部長の話が少し違う、確認すると過放電してダメになるよりはまだましと言うことだった。
リチウムイオン電池を満充電の状態から少量だけ使用したら満充電をする浅い充電の繰り返しで満充電の状態が続くと寿命に影響が生じる。
使用する前日または直前に満充電することが好ましい。
満充電になっている時間を短くすることができればリチウムイオン電池の寿命を延ばせる。
リチウムイオン電池を過放電すると壊れる
リチウムイオン電池を過放電
リチウムイオン電池を過放電すると破損する。
リチウムイオン電池は満充電4.2Vで放電が始まり、安定電圧3.7Vの放電時間を長く費やし、最低電圧2.8Vになると停止するように保護装置が組み込まれている。
通常の使用では2.8Vの電圧を残しストップするので過放電にはならない。
電池切れで長期保存するとリチウムイオン電池は自然放電が進み、最低電圧2.8V以下~0Vになり回復不能になる。
過放電とは
リチウムイオン電池は過放電に弱い。
電圧残量が少なくなると過放電を避けるため「残量0%を表示」し、機器を停止させる。
さらに継続して電気を使えばリチウムイオン電池は最低限必要な電圧を下まわり劣化進行、回復不可能、破損状態になる。
「残量0%を表示」のまま長期保管すれば自己放電が進み過放電になる。
リチウムイオン電池の完全放電は致命的な損傷を与え、損壊する。
リチウムイオン電池を過放電させてはいけない。
熱に弱いリチウムイオン電池
直射日光が苦手
季節や場所にもよるが直射日光があたり続けると温度が60℃以上になる場合がある。
リチウムイオン電池の劣化が進行する。
影に置くだけで温度は変わる。
夏の車内は注意
夏の車内は窓を閉め切っていれば60℃以上に温度が上がる。
スマホやパソコン、カメラ、水中ライトなどリチウムイオン電池を使用している機器をこの車内に置き去りにしない。
窓を開けて通気出来るようにするだけで温度は変わる。
リチウムイオン電池の高温での使用や保管は劣化を進め回復不能な損傷を与える。
リチウムイオン電池が好きな使われ方
リチウムイオン電池の通常使用の心がけ
通常使用は容量の25~75%の範囲で使用するイメージを心がける。
直ぐに充電するなら0%まで使用してOK、直ぐに使用するなら100%まで充電してOK。
容量25~75%で使用する場合、時々は「残量0%」まで使用し、満充電を繰り返す。
満放電と満充電を繰り返すことで、リチウムイオン電池の制御回路に電池のFULL容量を記憶させる。
リチウムイオン電池の長期保管は
電池の容量が半分の50%で保管する。
低湿度で保管し、接点を保護するためリチウムイオン電池を機器から外し、個別にビニール袋で保管する。
この後、自己放電でゆっくり電圧が下がるが過放電にはならない。
3ヵ月に1度は使うのが理想、出来れば放電と充電を繰り返し保管時は容量50%にする。
簡単に言うと
毎日使えば大きなトラブルになることは少ない。
「残量0%」になれば早めに充電する。
満充電するのは使用前日がgood。
長期保管は容量50%で保管する。