コウテイペンギン水深600m潜る
潜水病には?
一番大きいペンギン
知人から「皇帝ペンギン」の映画を見てきた話を聞いた。
コウテイペンギンは世界で一番大きなペンギン。
実は王様ペンギンもいる。
王様ペンギンが世界で一番大きなペンギンだと思われていた。
その後に皇帝ペンギンが見つかった。
既に王様の名前が使われていたので皇帝の名前を任命。
大きなものは体調135cm、体重45kgに達する。
全て南半球
棲んでいるのは南極大陸。
世界で18種類のペンギンが生息するが全て南半球に生息している。
寒い南極から赤道近くのガラパゴスまで分布。
必ず寒い地域だけとは限らない。
南半球だけに生息する理由は空を飛べないペンギン、外敵がいない場所で生き延びた。
そして南極大陸に澄むペンギンはアデリーペンギンとコウテイペンギンの2種類だけ。
外敵が近づけない南極大陸の厳しい環境に対応して豊富なエサ場を選んだ。
深度600mまで潜る
そんなコウテイペンギンが水深600mを潜ると言う話を聞いた。
水平に600m水中を泳ぐのではなく垂直に600mですか?と思わず聞き返してしまった。
間違いないと言う。
スキューバダイビングでは40mが一般的に限度限界。
例え水深40mに潜ったとしても潜水病の関係で8分ほどしかいられない。
ペンギンは息を止めて潜る
スキューバダイビングは呼吸をしているがペンギンは息を止めて潜る。
フリーダイビング(深度や時間を競う息止め潜水の競技)の世界。
フィンを着けた世界記録が約130m、潜降するときに錘を使い浮上する時に浮力バルーン使う競技の世界記録で220m弱。
とてもコウテイペンギンには敵わない。
スクイズは?
実際に600m潜ったとするとその水圧は61気圧、1㎠の面積に60kgの重さがかかる。
小指の爪の広さに60kgの重さが全身にかかる。
人間は生きていけない。
肺の大きさが理論的には1/61の大きさになる。
オレンジの1/6位の大きさ。
人間なら肺のスクイズ(締めつけ)となる。
ただでは済まない。
潜水病(減圧症)は?
潜水病の問題も疑問。
水圧と共に体に溶け込んだ窒素は水面に戻った時に気泡化する。
血液中や筋肉の中で気泡化してしまえば様々な障害が生じる。
これが潜水病のひとつ、減圧症。
コウテイペンギンはスクイズにも潜水病にもならないのか?
なぜ?
水深567m、27分36秒潜った
データロガー
コウテイペンギンは水深567mの深さへ潜っていた。
これはデータロガーと言われる小型の情報集積機器(バイオロギング)をコウテイペンギンに取り付けて行動を記録したことによって解った実際の記録データ。
データロガーは深度・速度・加速度・時間・水温を長い時間記録する。
水深100~300mはあたりまえ
水深100~300m、潜水時間10分ぐらいは平気で潜る。
横方向なら1000m以上。
意外なことに10分間におよぶ潜水を行った後でも、1分程度の水面休息時間のあとには次の潜水を行う。
最大の記録は深度564m、その時の潜水時間は27分36秒。
この潜水のあとは長い休憩をとっていた。
データロガーを使うことによりこのような研究発表がされている。
スクイズ・潜水病にならない
結果、コウテイペンギンは深度600m近く、潜水時間27分以上潜ってもスクイズにもならず、潜水病にもならない。
長く息を止めていられる理由
長く息を止めていられる理由はペンギンの体。
ペンギンは酸素を3つの場所に蓄える。
一つは血液中のヘモグロビン、これは人間と同じ。
二つめは肺と気嚢の空気の中。
三つめは筋肉にあるミオグロビン。
この3カ所で人間の3倍の酸素を蓄えられる。
スクイズにならないのは強靭な体?
減圧症にならない理由は解らない。
気温マイナス60℃のブリザードが吹く南極で生きていくために身に着けたコウテイペンギンの特殊潜水能力。
世界でも深度、時間、共に鳥の中でナンバーワン。