伊豆山の港内だけでワカメとカジメが育つのは何故?
伊豆山港内にワカメが繁茂
不思議な光景
2021年の土石流から1年8ヵ月ぶりに潜った2月の伊豆山の海。
とても不思議な光景を見た。
それはダイビング中ではなく、準備をしている時。
伊豆山の港の中でのこと。
透明度の良い冬
陸上からも水底が良く見える。
水深3~4m。
冬だけあって透明度が良い。
手前から反対側へ伸びるロープ。
何のために張ってあるロープなのか?
意味がないように思える。
ロープに妖しいもの
けれどそのロープには沢山の茶色い付着物がついている。
まさか?
でも似てる。
ロープを水面上に上げると姿を現した。
まさしくワカメが所狭しと繁茂している。
これは凄い。
最近見ない光景。
ワカメ養殖用のロープ
このロープは静岡県網代のワカメ養殖をしている漁師のものだった。
ワカメの育ちを見るため試しにワカメの芽を付けたロープをこの伊豆山の港へ設置。
今年、伊豆山の港の中でこんなに繁茂しているワカメ、その一方で網代のワカメ養殖はまったく育たず失敗に終わった。
何が原因なのか?
それが解ればワカメ復活のカギになるかもしれない。
同じ条件が揃えばワカメを増やすことが出来る。
ワカメとカジメがなくなる
2017年海底からワカメがなくなる
10年以上前の海岸を想い出す。
1年で一番水温の下がる2~3月、深度1~6mの浅い水底にはワカメがそこら中に繁茂していた。
神奈川県の江之浦や根府川、静岡県の網代などでも名産として養殖していた。
2015年からワカメの量が減り、2017年にはまったくワカメを見なくなった。
江之浦と福浦のワカメ養殖は現在中止、ワカメ漁師は泣いている。
2020年カジメもなくなる
そして2020年、サザエやアワビのエサとなるカジメまで無くなった。
深度6~16mの岩場には1年中カジメが繁茂し、そこら中カジメ畑だった。
それも今はない。
アワビが捕れなくなり泣く素潜り漁師。
全て海水温上昇の影響と言われる。
伊豆山港ではカジメも育つ
浅い場所にカジメ
伊豆山港の中はワカメだけではなかった。
なんとカジメも育っている。
それも浅い場所に。
見つけたのワカメのロープよりも岸側、港のどんづまりにある消波ブロック。
この消波ブロックの周りにカジメが育っている。
大きさ的に土石流後に育ったようだ。
なぜ?
なぜワカメだけでなく、カジメまでも伊豆山の港だけで育つのか?
それも水面に近い浅い深度。
港の外ではワカメもカジメも見られない。
ワカメとカジメが育つ2つの仮説
港の向き
伊豆山港の地図を見る。
港の入り口が北北東を向いている。
冬の冷たい季節風は北北東から吹いてくる風。
北北東の風が吹き続けるとワインドになった港内の水は流出せず、冷やされるのではないか。
水面付近の水温低下
ワカメのロープは干潮の時に一部は水面より上に出ている。
真冬の夜に5℃以下の冷たい北風に晒されればロープとワカメ周辺の水温は他より下がる。
この水温低下がワカメを育つ要因。
カジメも同じく波消ブロックの水面近くは波や潮汐の影響を受け水温が下がりやすい。
そのため育成する。
以上2つの仮説を考えてみた。
今後の役に立てばよいが。