猛毒のイイジマフクロウニの毒は黒い棘袋の中
猛毒イイジマフクロウニ
毒棘はグローブも貫通
海水浴ではとくに心配することはない。
理由は深度20m前後からさらに深い岩場でよく見つかる。
ウニの仲間でイイジマフクロウニという。
スクーバダイビングではたびたび目にする。
見つけても決して触ってはいけない。
毒針を持っているので大変なことになる。
グローブ、ブーツ、ウエットスーツなども簡単に貫通する。
イイジマフクロウニからは襲わない
水底に着底するときや手足を岩に触れる場合はイイジマフクロウニがいないか確認することが重要。
イイジマフクロウニの方から襲ってくることはない。
しかし岩の側面や天井にも付着しているのでダイバーが排出した泡にあおられ落ちてきて刺されることもある。
漁師の網やカニ籠に入ったりすることもあるので注意が必要。
何処に棲む
イイジマフクロウニの仲間は房総半島から南国の海までと幅広く生息。
深度200mの深い海でも確認されている。
海水浴をするような2~3mの浅場では見たことがない。
またイイジマフクロウニは1匹いると何匹も近くにいることがよくある。
写真はストロボの光が当たっているが水中の自然光では白っぽい大きな花のように見える。
表面は柔らかい
大きさは20~30cmぐらい。
ゆっくり動く。
近づくと黒や白の棘を動かす。
素手で触るのは無理。
指示棒などで触れると白い表面の皮膚組織は軟らかい袋状になっている。
このウニのフクロという名前の由来。
ちなみにイイジマは東京大学にいた飯島魁(いいじま いさお)教授が名付け親。
何処に毒がある?
黒い棘
具体的に何処に毒があるのか?
それは当然、棘の部分なのだが白い棘ではない。
黒く見えている部分が毒棘。
写真ではストロボの光で赤から紫に見える。
1本の棘ではなく、何十本、何百本もの毒棘が束になってまとまっている。
この写真なら黒っぽい部分が毒棘のまとまりであるのが解りやすい。
毒棘を自由に動かせる
上記4枚の写真の黒い部分の模様が違うのはイイジマフクロウニの毒棘が左右上下自由に動かせるから。
ちょうど田んぼの畦道を真上から見てるような感じ。
少しづつ拡大していく。
これなら1本1本の針が明確にわかる。
鋭く折れやすい
先端は白く尖り、紫色で白のボーダー縞の模様がある。
この棘の先端の白い部分は非常に鋭く、裁縫の針よりも簡単に皮膚を突き抜ける。
また刺の強度は垂直の力にはとても強い、けれど横からの力には弱く簡単に折れてしまう。
皮膚に刺さりやすく、刺さった後は簡単に折れて棘が体内に残るという嫌なシステム。
陸上で実験
この針を抜いて陸上で実験をしてみた。
針の1本は植物のガマのようになっている。
ボーダー縞のフランクフルトに先の尖った串を貫通させたような形だ。
針の1本1本は上記図のようになっている。
紫と白のボーダー縞の部分は袋状に棘を覆っている。
棘の先端には毒はない
そしてこのボーダー袋の中に毒液がつまっている。
陸上に棘を持ってきて自分の手の皮膚に刺してみた。
棘の先端の白い部分のわずかだけ。
鋭い先端の白い部分は何の抵抗もなく皮膚に刺さる。
触る感覚で皮膚に穴があく、人間が作ったものでここまで鋭いものを知らない。
痛みはあるがそれは毒というよりも針の先端が刺さったわずかな痛み。
棘を外せば痛みは消える。
ボーダー縞袋の液体
次にボーダー縞袋の中の液を出してみた。
袋の表面は粘膜のように簡単に破けて中にある透明の液が出てくる。
それを少量だけ棘を刺した小さな傷口に塗ってみた。
すると激しい痛みが患部を襲う。
めちゃくちゃ痛い、すぐに水で毒を洗い流した。
痛みは少し残る。
今回は1本の棘の先端だけ、毒の量も微量、それなのにこれほど痛む。
誤って刺されるときは何十本もの毒棘が束になって皮膚の奥まで突き刺さる。
棘は折れて体内に残り、多くの毒で苦しむことになる。
考えるだけで恐ろしい。
水中では指示棒と中世浮力は必需、触らぬものに祟りなし。