オキゴンベ、サラサゴンベ、ヒメゴンベ、ミナミゴンベの違いと見分け方
ゴンベ(権兵衛)と呼ばれる魚
ゴンベ(権兵衛)とは?
ゴンベと名前のつく魚がいる。
背ビレの先端が束ねた髪の毛のように四方へ糸状に伸びる。
馬のたてがみに似ている。
昔の子供は頭髪を剃って坊主にしており、一部だけ頭髪を残すファッションがあった。
頭頂だけ頭髪を残す髪型を芥子坊主(子連れ狼:大五郎カット)と呼び、盆の窪(後頭部のくぼみ)だけ髪の毛を残す髪型を江戸では「ごんべ」と呼んだ。
この盆の窪の髪型に似ていることからこの魚をゴンベと呼ぶようになった。
ゴンベの名前がつく魚は全て背ビレの先端が四方へ糸状に伸びる。
ゴンベは Hawkfish
ゴンベの英語名は Hawkfish (ホークフイッシュ)、鷹のような魚という意味。
鷹は高い木の枝に停まり、エサとなる動物を見つけると急降下して獲物を捕らえる。
ゴンベもヤギやイソバナ、岩の上に停まり、エサを見つけると急降下、または中層へ飛び出し獲物を捕らえ、元の場所に戻る。
この様子が鳥の鷹に似ている。
ゴンベのエサは小型のエビ、カニ、小魚など、動くものなら何でも喰らいつく。
かなりがっつきで側に人間がいてもお構いなしで獲物を捕食する。
浮袋を持たないゴンベは他の魚のように中層でホバーリングすることが苦手。
ゆえにいつも見晴らしの良い、体を安定させらる見張り場所で獲物を待っている。
クダゴンベ
ダイバーに人気の魚はクダゴンベ、英語では Longnose Hawkfish (鼻の長い鷹のような魚)。
ゴンベの仲間で口が長いのはクダゴンベだけ。
ヤギ(ソフトコーラル)に乗っかって獲物を待ちをしている。
人間が近づくとヤギ(ソフトコーラル)の間に隠れてしまう。
これは千葉県勝山浮島で先日見たクダゴンベ。
白地に赤い網目模様なので目立つように思うが保護色になって逆に見つけづらい。
このクダゴンベはバリ島のムンジャンガンで見つけた子。
近寄っても大人しく動かずにいてくれたモデル向きのクダゴンベ。
見難いが背ビレにはゴンベマークがある。
似ているオキゴンベ、ヒメゴンベ、サラサゴンベ、ミナミゴンベの違い
オキゴンベ、ヒメゴンベ、サラサゴンベ、ミナミゴンベの4種類は他のゴンベ類に比べてよく似ている。
それでも見分けるポイントさえ覚えてしまえば誰でも違いがわかる。
この4種類だけ見分けるポイントを比べてみよう。
関東でよく見るオキゴンベ
江之浦でもよく見られるゴンベの仲間はオキゴンベがほとんど。
ヤギ(ソフトコーラル)や岩の上に座って周囲を見張っている。
オレンジ色または黄色でほぼ一色、目立つので直ぐに見つけられる。
背ビレの先端がフサフサ(ゴンベマークがハッキリ)している。
こちらも同じオキゴンベ。
黒い模様があるがハッキリせず、ぼやけている。
ミナミゴンベに比べ、第二背ビレの斑紋も薄くボヤケ、目の横にある眼状紋も縁がハッキリしない。
成魚になると眼上頭部が前にややせり出す。
ゴンベの仲間は熱帯系の魚だがオキゴンベは関東など温暖な海域で多く見られる。
ヒメゴンベの特徴
先日、江之浦で見つけたヒメゴンベ。
サラサゴンベにとても似ている。
体には赤または黒い斑点、尾ビレにも斑点がある。
体の斑点は背から腹に向かい不規則に並ぶ。
背ビレの先端ゴンベマークが容易にわかる。
サラサゴンベの特徴
サラサゴンベはヒメゴンベと同じで体中に赤や茶、黒色の斑点がある。
尾ビレにも斑点がありヒメゴンベと似ている。
けれど体の斑点は集合して帯のように見え、背から腹に向く。
背ビレのゴンベマークがハッキリわかる。
ミナミゴンベの特徴
ミナミゴンベも似ている。
形はオキゴンベとそっくり。
オキゴンベと同じで尾ビレに斑点はない。
体の斑点はハッキリしている。
第二背ビレの斑点もハッキリ、目の横の眼状紋の縁もハッキリしている。
斑点があいまいに見えるかもしれないがミナミゴンベ。
見分けるまとめ
尾ビレに斑点がある
サラサゴンベかヒメゴンベの可能性あり。
体の斑点が背から腹にかけて線のように見えればサラサゴンベ。
体の斑点がランダムに並べばヒメゴンベ。
尾ビレに斑点がない
オキゴンベかミナミゴンベの可能性あり。
体に斑点がない、または、ぼやけていればオキゴンベ。
体の斑点がハッキリしていればミナミゴンベ。
目の横の眼状紋の縁がぼやけていればオキゴンベ
眼状紋の縁ががハッキリしていればミナミゴンベ。