電気クラゲのカツオノエボシってどんな生物?

カツオノエボシって何?

海水浴でクラゲに刺される

夏、海水浴をしていてクラゲに刺される。

よく聞く話。

実際、海水浴していると裸の肌にチクチクと痛みがある。

波打ち際は濁っているため痛みの犯人は見つからない。

どんな生物なのか。

電気クラゲのひとつ

カツオノエボシ

浮袋を持ち水面に浮かぶカツオノエボシ。

代表する電気クラゲのひとつ。

見つけたら側に寄らぬこと。

触手に触るなどもってのほか。

出来ればその海域から非難する。

浮袋は青いギョウザ

カツオノエボシの浮袋は大きさも形もギョウザに似ている。

餃子と違うのは色が青でスケルトン、中身は空洞。

この浮袋には二酸化炭素が入っている。

また必要に応じ中のガスを抜くこともできる。

移動は海流まかせ、風まかせ

カツオノエボシは自分で泳ぐことはできない。

移動は全て海流まかせ、風まかせ。

海の風来坊。

日本へは南風に乗ってやってくる。

カツノエボシが刺すメカニズム

カツオノエボシは刺胞細胞の集まり

カツオノエボシは正確にはクラゲではない。

ヒドロ虫の群体。

ヒドロ虫が集まって一つのカツオノエボシを作る。

ヒドロ虫とは簡単に言えば刺胞細胞を持つポリプ。

要約すると刺胞細胞の集まりがカツオノエボシ。

刺胞細胞のメカニズム

カツオノエボシの触手には一定間隔に刺胞細胞が存在する。

触手を伸ばせば間隔は広がり、離れたエサも捕獲可能。

触手を収縮すれば間隔は短くなり数多くの刺胞を打ちやすくなる。

刺激を与えれば触手は縮む、小魚が触手に触れ暴れると縮み刺胞の襲撃を受ける。

全身に刺胞が刺さり死亡、エサとなる。

刺胞細胞の発射

刺胞細胞 ※イメージ画像:実際の刺胞細胞はとても小さい。

刺胞細胞に刺激を与えなければ問題はない。

しかし、側を泳ぐだけで刺されることもある。

※イメージ画像:実際の刺胞細胞はとても小さい。

棘針に触るなどの刺激を受けると蓋が開き毒棘が刺さる。

※イメージ画像:実際の刺胞細胞はとても小さい。

刺さった後に毒棘がめくれるように反転する。

※イメージ画像:実際の刺胞細胞はとても小さい。

完全に反転すると毒チューブが体内に入り毒液を注ぎ込む。

一つの刺胞細胞に刺された痛みは尖ったガラスの破片を突き刺した痛みに似る。

多くの刺胞細胞が刺さった場合は想像を絶する。

刺されても暴れてはいけない。

暴れれば刺激を与え触手が縮み、多数の刺細胞に刺される。

動かずに、刺さった触手をグローブをした手で丁寧に外す。

カツオノエボシの大きさ

カツオノエボシカツオノエボシの浮袋は大きくても10cmほど。

小型の2~3cmの小さなか個体もある。

浮袋からは何本もの毒棘のある触手が垂れる。

毒棘に刺されると強い痛みに襲われる。

触手は伸縮性があるので正確な長さは解らない。

一般的には50cm~1mほど、長い時は50mも伸びる。

カツオノエボシのシーズン

本州では3月~10月の気温水温が温かい時期。

南風の乗って流れてくる。

沖縄や八重山地方はさらにシーズンが長くなる。

単体でいるよりも群れで流れてくることが多い。

1匹のカツオノエボシを見つけたら周囲に何百~数千匹いるケースを見る。

カツオノエボシに刺されないための予防

カツオノエボシに近寄らない

カツオノエボシ
潮溜まりに打ち上げられたカツノエボシ

カツオノエボシを見つけたらその周囲に近寄らない。

側に近づかないのが最良の方法。

危険なのは触手が伸縮するだけではない。

触手は切れても刺す

切れた触手が流れてきても刺胞細胞は生きている。

刺す能力は変わらない。

小さな破片の一つだけが流れてきても刺される可能性がある。

乾いても蘇る

浜に打ち上げられたカツオノエボシも毒棘を刺す能力は残っている。

ゆえに触れてはいけない。

乾いても湿らせば刺胞細胞は活動を再開する。

ウエットスーツを着用

刺されないためにはウエットスーツのような保護着で身を包む。

ダイバーやサーファーが着るウエットスーツは刺胞細胞の毒棘を通さない。

メッシュになっている布は刺胞細胞を通す可能性がある。

軍手は効果が薄い

ダイビング用のブーツとグローブも刺胞細胞の毒棘を通さない。

グローブに軍手を使用することは隙間が大きく、刺される可能性が高い。

海水浴でもウエットスーツを着用することは安全の観点から好ましい。

ゴミが集中して浮いてる場所は危険

浮きゴミが溜まっていたら要注意。

風のある日、港や磯の風下側に浮きゴミが溜まる。

カツオノエボシが一緒に浮いていることがある。

風向きが南西、南、東南からの風向きなら、さらに可能性が高くなる。

ゴミの中を泳いではいけない。

カツオノエボシに刺されたら

最初にすることは残った触手を取り除く事。

暴れない

カツオノエボシの触手に刺される個所を少なくする。

痛みがあっても慌てず暴れない。

暴れれば長い触手がからみつき、多くの刺胞細胞の毒を受けることになる。

刺された部分に触手が残っていれば、刺激を与えないように静かに触手を外す。

真水をかけてはいけない

残った触手に真水をかけると刺激を与え、毒棘を発射させるので真水をかけてはいけない。

これは浸透圧の関係、海水で生活している生物は真水で生活できない。

必要なら海水を使う。

お酢やアルコールをかけてもいけない

残った触手にお酢やアルコールをかけるのもNG。

師細胞はお酢でも刺激され毒棘を発射する。

お酢の使用もカツオノエボシには刺激を与えるので使用してはいけない。

砂をかけない

直接触れるのを避けるために砂などをかけない。

砂をかけて擦るなどは刺胞細胞を刺激するだけで解決にはならない。

多くの毒棘を皮膚に刺し、悪化する原因となる。

やさしくピンセトや手で取り除く。

治療は触手を取り除いた後に

必ず触手を取り除いた後に

刺された場合の対応はまずは触手を取り除くこと。

水面でも確認できるなら落ち着いて削除する。

触手が残った状態では患部を増やし、悪化させることになる。

患部をお湯で温めるか冷やす

カツオノエボシの毒はタンパク毒。

非常に不安定な毒。

患部を我慢できる熱いお湯(40~45℃)に30分以上つけると傷みが和らぐ。

体温が高くなりすぎる場合は継続しないこと。

逆に刺された患部を冷やす。

重症の場合は医師の治療を受ける

患部が広く、痛みが強いようなら医師による治療を受ける。

広範囲に刺された場合や刺された場所が危険部位の場合は重症になり、迅速な医師の手当てが必要。

よほど広範囲に刺された場合を除き、死亡するようなことは稀。

すぐに医師の手当てを受けられない場合は抗ヒスタミン剤軟膏やステロイド剤を患部に塗る。

2度目以上刺された場合はアナフィラキーショックの可能性がある。

重度の場合跡が残る

刺胞細胞に刺された場所が少ない軽度の場合、治療すれば患部は改善する。

しかし、刺された箇所が多い重度の場合は跡が残る。

数年~数十年、もしくは生涯残る場合もある。