潮溜まりは環境の厳しい世界、それでも集まる魚
厳しい潮溜まりの環境
海とは別世界
磯の潮溜まり、海に行けば遊んでみたくなる。
カニがいたり、イソギンチャクを見かけたり、魚を見たら追いかけたい。
海水浴をするなら何も見えない砂浜よりも磯の岩場で遊ぶ。
生物の多い磯の潮溜まりにはダイビングで潜る海とは別の世界がある。
潮溜まりの世界とは
潮溜まりを英語ではタイドプールと呼ぶ。
tide 潮の pool 水溜まり。
潮が満ちている時には海に没し、潮が引くときだけ水溜まりが出来る。
最満潮から最干潮までのゾーンを潮間帯(ちょうかんたい)と呼ぶ。
潮間帯の高低は大潮周りで2m、小潮周りで70cmほど。
それをおよそ6時間かけて上下する。
潮間帯は3つのゾーンに分けられる。
上部潮間帯、中部潮間帯、下部潮間帯。
大潮周りでは上部潮間帯、中部潮間帯、下部潮間帯の間隔が広く、小潮周りでは上部潮間帯、中部潮間帯、下部潮間帯の間隔も狭い。
ちなみに瀬戸内海は干満の差が大きく、その高低差が10mのときがある。
環境が厳しい潮上帯
大潮の最満潮時よりも上にある潮溜まりがある。
この部分は潮上帯、満潮時に強風の波しぶきなどによって出きる潮溜まり。
暑さ、寒さに非常に厳しい水溜まりで夏は海よりも熱く、冬は海より冷たくなる。
海の水温は1日中あまり変化しないが潮上帯の潮溜まりは、朝、昼、夜の気温変化に添って水温も変化する。
また雨が降れば海水の塩分濃度が薄まり、晴天が続けば水分の蒸発によって塩分濃度が濃くなる。
酸素の濃度も変化する。
タイドプールの上部、陸地に近いほど生活環境はとても厳しい。
そこで生活出来る生物は環境の変化に強い、順応能力の高い生物といえる。
潮下帯
逆に大潮の最干潮時よりも下にある外海へ接続するゾーンを潮下帯と呼ぶ。
外海の海水が年中出入りする潮下帯は水温も一定、酸素濃度も安定する。
外海が近いことで外敵が多くなり、襲われる可能性が高くなる。
タイドプールは小魚たちの発育場、産卵場、餌場、隠れ家でもあるが、鳥、カニ、ネズミ、イタチ、人間などの外敵に襲われる可能性がある。
潮間帯の上部へ行けばいくほど水温の変化と塩分濃度変化は大きく、酸素濃度は薄くなり生活環境が厳しくなる。
潮間帯の下部へ行けば水温変化、塩分濃度変化、酸素濃度変化も少なく生活環境は楽になる。
けれど外海へ近づけばそれだけ捕食者に襲われる可能性が高い。
外海には生息せずに潮間帯だけで生活する魚がいる。
そんな浅い場所で生活する魚をダイバーは知らない。
タイドプールに生息する生物
潮溜まりに生存する生物
潮上帯:タマキビ類(小型巻貝)
上部 潮間帯:イワフジツボ
中部 潮間帯:タテジマフジツボ、マガキ類
下部 潮間帯:ムラサキイガイ類(ムール貝)
潮上帯のタマキビは小型巻貝で大きさはトウモロコシの一粒ほど。
特殊な貝で水中に生息せず、潮溜まりよりも上部の岩場に付着。
潮が満ちて潮飛沫で岩場が濡れたり、夜露で岩が濡れると動き出す。
試しに水中にタマキビを入れると水中から這い上がる。
潮溜まりの魚
2019年で観察したタイドプールの魚達。
麦わら帽子をかぶり、両手に玉網を持って追いかけてみては?
観察したら弱らないように早めにリリースを。