水底は釣り道具のゴミがいっぱい
釣りで生れる海洋デブリ
1回のダイビングで拾ったゴミ
これは三浦半島の逗子沖にあるポイントに潜って1回のダイビングで拾ったゴミ。
すべて釣り道具。

海洋プラスチックゴミは大きく話題になっているが水中に落ちている釣り人のゴミはあまり話題になっていない。
釣人とダイバーが共有するポイント
このポイントは30年ほど前から現地漁協がダイバーに開放したダイビングポイント。
ダイバーに開放する前から船釣りのポイントでもある。
釣船に釣り人を乗せ船長が案内をしてダイビングポイントと同じ場所で釣りも行われている。
ダイビングボートが接近する際は釣船が場所を譲り、ダイバー優先で利用する。
釣りゴミの内訳
増えた釣りゴミ
数か月前、夏に潜った時よりかなり釣り仕掛が絡まっている。
そんなにゴミは無いと思っていたが準備したオリジナルバッグが役立った。
ゴミはほとんどが鉛で出来たオモリ。
回収物
大小様々の鉛のオモリが18個。
コマセカゴが3個。
ルアー2つ。
回収出来なかったもの
岩やソフトコーラルに多くのPEライン(ポリエチレン糸)、リール付きロッドが2本、アオリイカ用の餌木多数、拾いきれないオモリ。
全て直ぐに除去したいがとても個人では難しい。
特に痛々しいのはソフトコーラルやカイメンなどに引っ掛かったPEライン。
厄介な最近のPEライン
PEラインは細くて強い新素材の釣り糸、強いが摩擦には弱い。
引っ掛かってるPEラインを素手で引っ張って切ろうとすれば手が切れる。
よく切れるナイフやハサミが必要で切り取ったラインは中層を漂い、ダイバーを絡め捕ろうとする。
今回も2人のダイバーが絡んでいた。
ナイフを所持していないと危険な状態になりうる。
またソフトコーラルやカイメンなどに絡んだラインを丁寧にほどく事が出来ない。
水中ではラインがフワフワ浮くために細い絡んだラインをほどくのは無理に近い。
そしてソフトコーラルやカイメンに大きなダメージを与える。
状況が悪ければ死んでしまう。
死滅したソフトコーラルやカイメンは簡単には再生しない。
水中で見つけるPEラインの処置にはいつも困る。
所どころ蜘蛛の巣状態に絡んでいる。
釣り人は道具を回収できず、捨てるだけ
水底に引っ掛かってしまった釣り道具、やっとの思いで外しても、切れた仕掛けは水底に置き去りにされる。
1日1隻の釣船で何人の人が仕掛けを水中に無くすだろう。
けれどそれは回収できずにいつもそまま放棄。
水中清掃を業界で進めてくれると有難い。
水中に破棄されたゴミを詳しく見てみる
水中に破棄された釣り用のオモリ

ほとんどが40~80号の船釣り専用のオモリ。
新しいものから古いものまで様々。
古くなったオモリは糸を付ける金具さえも錆びてなくなる。
オモリ表面全体には石灰藻やコケムシなどの生物が付着する。

綺麗なオモリ
まだまだ使える綺麗なオモリ。
蛍光塗料や夜光塗料が塗られている。
金属部分も腐食していないので水中放棄してから1ヵ月以内。
左から80号、60号、40号、40号。
号数は重さの単位で1号は3.75グラム。
80号×3.75g=300g
60号×3.75g=225g
40号×3.75g=150gが2つ
4個のオモリで825g、小さいが集まれば重い。
オモリは鉛なので熱で溶かして型に流し込めば再利用できる。
鉛を溶かすには中毒の危険性がでてくるので注意が必要。
水中破棄された釣り用コマセカゴ

拾わなければ永遠に水底に取り残されゴミになる。
コマセカゴは空洞の容器に集魚エサのコマセを入れて、水中で振ってコマセをバラケさせ魚を寄せる道具。
ハリガネはステンレス製で天秤と呼ばれ、コマセカゴと仕掛けを取り付けるもの。
仕掛けを絡まり難いようにする大事な役目を果たす。
天秤が一つ足りないのは腐食して外れてしまったようだ。
赤いコマセカゴは大型で缶コーヒーほどの大きさ。
たっぷりコマセ大容量という感じ、釣り人のやる気を感じる。
失くした時は心痛かったよね。
この赤いコマセカゴだけで2450円。
黄色いコマセカゴは1500円。
釣り人も出来れば回収したい。
洗ってみたものの誰か使うだろうか?
使い道が見つからない。
ルアーは廃棄処分。
ゴミは釣り道具だけ
見つかるゴミは釣り道具だけ。
1年に何回かはポイント掃除をしないと水中景観が淋しいだけでなく、生物も棲みづらくなる。
ダイバーを上手に利用すれば釣りポイントの掃除も出来る。