2月の江之浦はイロイザリウオ、ヒョウモンダコ、ヤリイカの卵
2月の江之浦でないと見れない者もいる
気象海況
1ヵ月ぶりに神奈川県小田原市の江之浦海岸でダイビング。
朝早くは雨。
天気予報では午前8時を過ぎれば晴れ予報。
けれど現地に到着するとまだ雨雲が頭上を覆っている。
気温は8℃、昨日までと比べれば少しは暖かい。
透明度15mという案内だったが時おりうねりが入り、水底の砂が舞う。
水質は悪くないが実際のところの透明度は8~10m、うねりが無くなれば直ぐに透明度は回復する。
水底は冬の装い
水底に落ち着くと見晴らしは良い、夏とは違い魚は少なめ。
カミナベラとアイゴ、スズメダイ、ネンブツダイの子供が所々で群れる。
美味しそうなワカメの幼体が揺れている。
イシダイの大介は今日もお休み、顔を現わさない。
毎年水温17℃以下になると何処へ行くのか?
ご無沙汰になる。
5月のゴールデンウイーク過ぎに水温18℃となるとまた何処からかやってくる。
大介はいないが40cm位のイシダイが寄ってくる。
ソラスズメダイも数こそ少ないが綺麗な青色をしている。
イロカエルアンコウ(旧イロイザリウオ)
レンガ色
下の写真は昨年末から続き、今月もいたイロカエルアンコウ(旧イロイザリウオ)トリコットカラーバージョン。
魚とは思えない形で岩やカイメンに擬態してエサが目の前にくるのを待つ。
まったく動こうとしない。
目と口が何処にあるのか解る?
小魚たちにとっては怪物。
ブラックバージョン
こちらはイロカエルアンコウのブラックバージョン、ここまで擬態していると黒い石に見える。
慣れたダイバーにも目と口がハッキリ何処にあるか判断できない。
浮袋を持たない
この魚は浮袋を持たない。
普通サカナは浮袋を持ち、浮力を上手に使い中層を自由に泳ぐことが出来る。
しかしこの魚は長い進化の過程で浮袋を無くし、水底の岩などに掴まり動かずに待ち伏せしてエサを捕るスタイル。
従って泳ぐのは得意でなく直ぐ疲れてしまう。
逆に胸鰭などが指のように動き、岩を掴むことができる。
イザリ
カエルアンコウとイザリウオ、なんで2種類の名前が出来たのか?
移動する時はほふく前進、胸ビレで水底を這って移動する。
昭和中期まで足が悪い人が足を地面に着けたまま、手で地面を這うことを膝行り(いざり)と呼んだ。
戦後、足の不自由な人も多くいた。
そんな人をイザリと呼んでいた。
今は膝行り(イザリ)という言葉を使わないので理解できる人も少ない。
手で水底を這って移動する魚なのでイザリウオという名前が着けられた。
それが膝行り(イザリ)という言葉は差別用語だという人がいて、平成になってからイロカエルアンコウという名前に変えられた。
若い人たちは膝行り(イザリ)という言葉の意味も知らないのだからそのままで良いと思う。
いまだにイロカエルアンコウと聞くとピンとこない。
冬にまたいたヒョウモンダコ
先月に続いて
唾液に猛毒のテトロドトキシン(フグ毒)があるので捕まえたりしないこと。

頭の先端がクリスマス帽子のように細長い。
軟体動物なので自由に形を変えられる。
今回も種類のはっきりしないオレンジ色のベラだと思って目で追った。
見事なブルーリング
泳いでいる時はまったく解らなかったが岩に着底した瞬間に形がタコに変わり、紫色のヒョウモン柄が出た。

足の付け根を拡大して見ると見事なブルーリング。
英語の通称はブルーリング・オクトパス。
見たままの名前で覚えやすい。
生息域
ヒョウモンダコというと熱帯、亜熱帯に生息するタコと表記されているがそんな事はない。
今年、水温が14℃の1月、そして同じ水温14℃の2月と2回とも神奈川県小田原市の海で確認している。
30年以上前、伊豆半島の伊東の海で3月の水温13℃の海でも目撃している。
海水温の上昇に関係なく、ヒョウモンダコは関東近辺の温帯域にも生息するタコ。
けっして熱帯、亜熱帯だけのものではない。
ヤリイカの卵
天井にぶら下がる
岩の下に白い房がぶら下がっている。
波に揺られてユラユラ。

これはヤリイカの卵。
深度7mの岩棚の天井に産卵していた。
何匹のヤリイカが産卵したのだろうか?
20~30匹のヤリイカが夜に産卵したものだと思われる。
拡大する
大きくズームアップしてみた。

ひとつの房に60~70個の小粒の卵が入っている。
孵化は1~1月半後。
孵化後3か月で3cm、半年で成体になる。