江之浦で潜り続けて40年以上、ついにギンガメアジの群れを見る
江之浦でギンガメアジの群れ
いる筈の無い魚
こんなことがあるのか?
本物か?
嘘じゃない。
目の前にいるのは憧れのアイツたち。
ここに居る筈がない南の魚の群れ!
ギンガメアジの群れだ。
2024年11月9日
場所は神奈川県小田原市江之浦の海。
透明度15m以上。
水温23℃、11月だというのに7月末と同じ水温。
陸の気温は下がったけれど海中は今も夏。
海中の方が温かい。
顔をつけても冷たくない。
おかげで50分潜っても寒くない。
そしてこの日はとてもショッキングで楽しいダイビングを経験した。
中層に大きな魚の群れ
ダイビングの後半、潜水時間30分を過ぎた頃。
深度10m、水底から水面までも楽に見える透明度。
前方斜め上に大きな魚の群れを見つけた。
色と泳ぎ方が何時も見るメジナやニザダイ、アイゴの群れではない。
浮力をコントロールしながら中層へ移動、ゆっくり近づく。
逃げるなよ
ここで焦ってはいけない。
速く泳げば魚たちは警戒してアッと言う間に逃げていく。
泳ぎで魚に勝てるわけがない。
できるだけ動きを小さくして警戒して逃げ出す距離の手前で止まる。
その後は中層に動かず留まり魚の動きを見る。
200匹以上の trevally
銀色の体。
速く泳ぐことのできる回遊魚の尾ビレ。
側線から尾ビレにかけてアジ科独特のゼイゴが見える。
群れは大きく先端集団は中層を水底に向かって泳ぎ、後部集団は水面近くでボヤ~としている。
数は200匹以上。
魚の大きさは手のひら大サイズ。
これは trevally の仲間。
ロウニンアジとギンガメアジの見分け方
ロウニンアジの子供か?
それともギンガメアジの子供か?
どちらも関東の江之浦で見られることのない魚。
ロウニンアジの子供とギンガメアジの子供は似ている。
それを形や色で区別するのは難しい。
大きな違いはエラの上部に黒い点があるかないか。
ロウニンアジのエラの上部に黒点はない。
しかしギンガメアジには親でも子でもエラの上部に黒点がある。
この子たちのエラの上部を確認すると確かに全て黒い点が見える。
間違いなくギンガメアジだ。
昨年初めて江之浦でギンガメアジを見た
思わずウソでしょう。
江之浦でギンガメアジの群れが見れるなんて奇跡に近い。
そういえば昨年2023年11月に子供だが2匹だけギンガメアジを見た。
これが江之浦でのギンガメアジ初確認。
この時も驚いた。
ギンガメアジと5分間遊ぶ
ギンガメアジの群れは目の前で右に行ったり、左にいったり。
追いかけないとまた戻ってくる。
最後には周囲がギンガメアジだらけ。
もしかしてギンガメアジの群れの中にいる?
なんだかとっても幸せ。
5分ほど感動に酔いながらギンガメアジと遊んだ。
ロウニンアジもギンガメアジも寒がり
伊豆近辺でロウニンアジやギンガメアジの成魚を見るのは無理?
ロウニンアジやギンガメアジは熱帯、亜熱帯の水温の高い海域に生息する魚達。
伊豆周辺でも夏から秋にかけて水温は高く上がり生息可能。
しかし1月には水温16℃に下がり、3月末には最低水温14℃、そして5月のゴールンウイーク付近にやっと18℃まで上がる。
この水温の低い期間を生き延びることができない。
子どもは秋に見ることが可能
しかし、関東に近い暖海域で生れた稚魚たちが黒潮に乗り、数は少ないが関東沿岸にもやってくる。
毎年、まだ水温の高い10~12月に港や河口などでロウニンアジなどの子供が釣れる。
体が金属のように輝くのでメッキと呼ばれる。
水温が下がると皆死滅してしまう。
来年の夏まで生き残って成魚になれるものはいない。
江之浦でギンガメアジの群れを見る夢がかなう
夢は何と聞かれて
もうだいぶ昔の話。
ダイビングの夢は何?
と聞かれたときに「江之浦でギンガメアジの群れを見ること」と答えた。
絶対敵わない夢と思った。
一昨日までそんなことはあり得ないと確信していた。
夢がかなう
けれど昨日、ギンガメアジの群れを神奈川県の江之浦で見てしまった。
見た瞬間から興奮!
こんなことがあって良いのか。
持っていたカメラまで興奮して壊れた。
撮影していたはずの動画は赤いビックリマーク表示と共に消えた。
地球温暖化の影響か?
今年の8月~9月は水温29℃。
江之浦の過去最高水温。
クマノミも江之浦で初めて産卵した。
そして11月の今も水温23℃、十分ギンガメアジが育つ水温。
200匹のギンガメアジの群れが江之浦で見られたのはやはり温暖化の影響なのか?
手のひら大サイズだったけど群れを見られたのはラッキー。
40年以上江之浦へ通って初めて。
写真は全て一緒に潜った2人のダイバーにお借りした。