血抜きと冷蔵、活締めと神経締め、活造と熟成
魚を大切にする活き締めと冷蔵
魚の扱い
刺身にする魚は丁寧に扱う。
旨い刺身は生臭くない。
逆に生臭い刺身は食べたくない。
刺身で食べる魚は釣りたての生きているうちから気を使う。
活き締め
出来るだけ元気なうちに暴れさせないようにして締める。
暴れさせると旨味成分が分解される。
生き締めというのは魚の肉が生臭くならないように生きている状態で動脈血管を切り、魚の血を抜くという技術。
血液も細胞、体中の組織に酸素と栄養を運び、二酸化炭素と老廃物を運び出す。
そんな血液は生臭さく腐敗しやすい。
生きて元気な内に動脈を切り臭いと腐敗の基の血液を抜く。
血液は海水中が出やすい
動脈を切ったら海水を入れたバケツに3~5分入れておく。
血液は空気中よりも海水中の方が出やすい。
空気に触れると血液は固まり始める。
血液は海水中なら固まらず出ていく。
鮮度を維持するための冷蔵
魚を冷やす
魚にも体温がある。
死んだ魚は体温が上がる。
体温が上がれば内蔵、血液、エラから腐敗が進む。
食中毒にもなる線虫のアニサキスも体温が上がると内臓から筋肉に移動する。
温度が低ければアニサキスも動かない。
鮮度を維持すために腐食を遅らせるため魚を冷やす。
魚を冷やすには氷を使う。
大きな氷と魚が浸るぐらいの海水を入れる。
この海水氷が一気に魚を冷やす。
魚は海水で冷やす
海で捕れた魚は真水に浸けない。
真水に浸けると浸透圧の関係で魚体に水が浸入し水っぽく味が悪くなる。
真水に入れた魚は早く目が白濁する。
浸けるなら海水。
さらに海水を冷やしてあれば最高、これが海水氷。
小型の魚や柔らかい魚は身が壊れないように海水氷で冷やす。
野締め
魚の血抜きをしないで氷で冷やして締める。
野締めという。
イワシなどの小魚に向いた冷蔵処理。
魚の活き作りと熟成
捕れたてと熟成
魚は捕れたてが一番旨いと言う人がいる。
けれどそればかりではない。
活きの良い刺身は種類にもよるが殆どコリコリとした食感があり、味と匂いはあまりしない。
4~10時間して死後硬直が終わると肉が軟らかくなり甘みが出てくる。
やがて旨味が頂点に達する。
それから徐々に熟成から腐敗への時間をたどる。
活き造りは鮮度の良さを楽しむ料理
活き造りに生臭さはない。
アジなどの小型の青魚は身が柔らかく旨みもあり活き作りに向く。
泳ぎ回らない白身の小型魚は硬めでコリコリした食感を楽しむ。
活き造りは魚の新鮮さを楽しむ料理。
それとは別の味、熟成させて食べる刺身もある。
神経締めは神経破壊
ピアノ線で神経締め
血抜きをした後に神経締めをする方法がある。
背骨の上にある神経の穴をピアノ線で壊すのが神経締め。
死後硬直の開始を遅らせ硬直時間を長くする。
最大で24時間死後硬直を遅らせることができる。
結果熟成の時間も後に遅らせる方法。
神経締め処理後の扱い
神経締め処理後は魚を冷やすが冷やしすぎない。
神経締め後、直ぐに魚体を海水氷で10分冷やし、海水氷からあげる。
その後は温度5℃をキープする。
海水氷に入れたままだと冷えすぎて死後硬直が早まり活け締めと同じ状態になる。
牛も豚も鳥も血抜き
魚だけじゃない
牛も豚も鳥も屠殺した後には血抜きをする。
血抜きをした後には冷蔵所で熟成。
牛の場合は2週間ほど熟成させてから牛肉としての商品になる。
ジビエ料理も血抜きは必要
ジビエ料理で使われる鳥や鹿も狩猟で捕獲した後は血抜きが必要。
そしてやはり熟成の時間がいる。
血抜きや熟成は魚だけでなく牛豚鳥など陸上の肉でも昔から行われている。