アビガンは新型コロナウイルスに効くのか?
アビガンはインフルエンザ薬
話題のアビガンは本当に新型コロナウイルスに効くのだろうか?
効くなら、なぜ市場に出回らないのか?
アビガンとは
アビガンは総称名、一般名はファビピラビル。
富士フイルムホールディングスによって買収吸収された旧富山化学が1990年代後半から開発してきたインフルエンザ薬。
ファビピラビルは体内のインフルエンザウイルスの増殖を抑制し、症状を緩和させる。
但し、副作用もあるため注意が必要。
現在ファビピラビルは他のどの薬剤にも効果が認められない緊急時に対し、国が投与を認めた場合にのみ使用できる。
日本は他の薬で効果がでない新型インフルエンザが発生した時のために200万人分のアビガンを備蓄している。
中国でアビガンを新型コロナウイルス治療薬として採用
中国は3月17日の記者会見でアビガンを新型コロナウイルス治療薬として採用することを明らかにした。
臨床研究は中国の武漢市と深圳市で実施された。
深圳市の病院で80人の患者を対象にした臨床試験は胸部をエックス線撮影で結果観察した。
- アビガンを投与しない患者の改善率は62.22%
- アビガンを投与した患者の改善率は91.43%
- アビガンを投与しなければ10人中、6人だけ助かり4人は助からない。
- アビガンを投与すれば10人中、9人が助かる結果となった。
ライセンス契約をした中国内の企業がすでにアビガンを量産体制している。
但しアビガンは感染初期に投与しないと効果は少ないと専門家が言っている。
アビガンは2014年に西アフリカで大流行したエボラ出血熱にも効果があると注目された。
2016年以後、アビガンは鳥インフルエンザやマダニ感染症「重症熱性血小板減少症候群 」にも効果があると言われる。
アビガンが出まわらないのは?
副作用
どのような薬でも摂取すれば多かれ少なかれ副作用はある。
アビガンの場合の最大の懸念は動物実験において催奇形性が確認されたこと。
薬としては大きな欠点となる。
胎児の奇形
妊娠中の婦人がアビガンを摂取すれば胎児が奇形してしまう可能性を抱える。
また、男性が摂取した場合には精子に催奇形性が移行する。
アビガンを摂取した男性が女性を妊娠させた場合に、その胎児が奇形化する危険性がある。
また既に妊娠している妊婦と性交渉しても危険がある。
妊娠に協力する男性もアビガンを摂取するべきではない。
男性はアビガンを摂取した後、最低7日間は妊娠をさせてはいけない、また妊婦との性交渉もしてはいけない。
妊婦はアビガンを摂取してはいけない、アビガンを摂取した女性は最低7日間は妊娠しないように注意しなければならない。
認可のおりにくいアビガン
アビガンを開発するには多大な費用が必要だった。
その当時、アビガンの企業研究費が足りなくなり、開発するのに時間がかかった。
アビガンが薬品としての認可がおりにくかったのは動物実験で催奇形性という薬としては大きな問題が確認されたゆえ、実際の臨床検査に進めなかった。
新しいインフルエンザ薬としてタミヒルが先に世界へ多く出回った。
知名度の高いタミヒルに後発のアビガンが広まる余地が少ない。
タミヒルは感染したウイルスが体内で増殖し、そのウイウルスを外に出さないようにする作用を持つ。
アビガンは感染したウイルスの増殖を抑制する作用を持つ。
アビガンは RNA ポリメラーゼ酵素を阻害することでウイルス増殖を防ぐ。
まとめ
アビガンは新型コロナウイルスに効く
日本では200万人分のアビガンを非常事態のために備蓄。
中国ではアビガンを新型コロナウイルス治療薬として採用。
アビガン使用上の注意
催奇形性という副作用があるので男性はアビガン投与後、最低7日間は女性を妊娠させてはいけない、また妊婦とも性交渉を避けなければいけない。
妊娠中の女性にアビガンを投与してはいけない、アビガンを投与した女性は最低7日間は妊娠を避けなければならない。