クツアンコウとキアンコウの違い
アンコウは深海魚
冬に浅場にもやってくる
500メートル以深の深場にも生息。
深海魚のはずが冬になると産卵のため数十メートルの浅い深度へもやってくる。
低い水温が好き、でも冷水は苦手
深海は水温が低く、冬になり水温が低くなると浅場までやってくる。
夏の暖かい水温は苦手なアンコウ。
北海の冷たすぎる海も苦手。
アンコウはクツアンコウとキアンコウ
日本の料理界で言うアンコウはクツアンコウとキアンコウの2種類。
利用されているアンコウの7割がキアンコウ。
ゆえにキアンコウのことをホンアンコウとも呼ぶ。
見た目はソックリ。
一般的に判別は難しい。
鮮魚店ではこの2種類を区別なくアンコウと称して販売し。
クツアンコウとキアンコウの違い
大きさで判断、70cm以上はキアンコウ
アンコウはメスの方が発育が早く、大きくなる。
クツアンコウのメスは60cm、大きくとも70cmにしかならない。
キアンコウのメスは100cm、大きければ150cmになる。
一般に食用になるアンコウの大きさは70~100cm。
つまり料理で食べているアンコウのほとんどがキアンコウということになる。
またキアンコウのオスは60cm以下の大きさにしかならない。
それより大きければメス。
80cm以上の大きさのアンコウならメスのキアンコウで間違いない。
アンコウの種類
見た目がアンコウに似てる魚は他にもいる。
メダマアンコウ、ミノアンコウ、コトゲヒメアンコウ、ヒメアンコウ、エンドウヒメアンコウ、ノドグロヒメアンコウ、シモフリハナアンコウの7種類が日本に生息する。
これら7種類のアンコウも40cmを越える大きさになるのは稀。
クツアンコウとキアンコウのエラ孔は胸ビレ後方付根にある。
それに対し、この7種類のアンコウのエラ孔は胸ビレ前方から後方付根に達する。
口の中に模様があるかないか
口の中の模様で判断できる。
クツアンコウの口の中には白っぽい大きな丸いカビが生えたような模様がある。
キアンコウの口内は白く大きな丸い模様がない。
上膊棘は1本がキアンコウ、2本以上が本種アンコウ
アンコウやコチの仲間には目の後ろ、上顎のあたりに棘がある。
上膊棘(ジョウハクキョク)と呼ばれる。
キアンコウはこの棘が1本。
クツアンコウの棘は2つ以上に枝分かれしている。
アンコウを見るなら今江之浦へ
江之浦の深度10mでキアンコウ
正月明けからキアンコウが連日、神奈川県小田原市の江之浦海岸で目撃されている。
深海魚なのに深度10mという浅場。
型は1mほどと大きいのでキアンコウのメス。
水温が14℃まで低下したのでエサの多い浅場までやってきた。
ダイバーにとっては嬉しいお年玉。
見るなら今!
いつ移動するか解らない。
砂に擬態するキアンコウ
魚屋の店頭や吊るし切りにされるキアンコウは黒っぽい。
海底で生きているキアンコウは黒くない。
周囲の砂と同じ色。
どちらかというと白っぽく見える。
まな板の上ではアンコ型でも水底にいる時は平ペッタイ。
キアンコウの目
魚なのでまぶたはない。
砂の中に潜っても目は見えるように出している。
そしてほとんど動かない。
呼吸もたまにしかしない。
エラの排水口は胸ビレの付根後方にある。
水底にいる時は尾ビレも横に寝かす。
尾ビレを通常に立たせるのは移動の時だけ。
体中に皮弁がつくアンコウ
アンコウの体中には皮弁がつく。
擬態のために皮膚が進化したのが皮弁。
この皮弁があることで魚には見えない。
アンコウの歯は鋭く大口
アンコウの大口、鋭い歯が並ぶ。
この大口でエサを一飲みにする。
飲み込まれた獲物は内向きに並ぶ歯のために喉の奥へと向かう。
アンコウの捕食
アンコ体系のアンコウは速く泳ぐことが出来ない。
マグロやブリのようなスピードで泳ぎエサを捕食することの出来ないアンコウは違う戦略で獲物を襲う。
その戦略とは待ち伏せ型捕食。
砂に潜り海底と同化。
その場所を何日も動かない。
小魚が側に来れば眉間にあるルアーのついた釣り竿(エスカー)を左右に動かし獲物を誘き寄せる。
射程内に入ると一瞬で大口を開け、水ごと獲物を口の中に吸い込む。
そして、また水底に同化する。
エサは動くもの。
口に入るなら何でも食べる。
魚以外にもイカ、タコ、エビ、カニ、貝、イソメ類。
時には鳥も捕食する。