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電気クラゲのアンドンクラゲはどんな生物?

泳ぐアンドンクラゲ

もうひとつの電気クラゲ

以前話をしたカツオノエボシも電気クラゲの1つだが、日本本州近海にはもう1種類、代表的な電気クラゲが生息する。

夏場、毎年海水浴客が刺されている。

濁っている海水浴場に多い。

名前はアンドンクラゲ

その名前はアンドンクラゲ。

本体の大きさは3~3.5cm、消しゴムほどの大きさ。

体はスケルトンでやや白濁。

体形は袋状でアンドンの形に似る。

アンドンクラゲの名前はその形状から付けられた。

体の下部、四隅から各1本づつ合計4本ベージュ色の長さ20cmほどの細い触手を伸ばす。

4本の触手には強力な毒を持つ刺細胞を定間隔に配置する。

自分で泳ぐアンドンクラゲ

カツオノエボシが泳ぐ能力がなく風と海流によって移動するのに対し、アンドンクラゲは泳ぐことが出来る。

しかし。魚のように速く泳ぐことは出来ない。

泳ぐ動力は袋状の体内から水を吐きだしわずかに進む、それを繰り返す。

そのスピードはゆっくり金魚が泳ぐに等しく遅い。

プランクトン(浮遊生物)生活のため、移動は風による表層流の影響が大きい。

表層近くに生息

表層から3m以内に多い。

深度10mを越える深度で見ることは稀。

水面近くを泳ぐアンドンクラゲは陸上から視認できる。

アンドンクラゲの予防と刺されたときの処置

水温上昇する夏はアンドンクラゲにご用心

関東近辺では6月下旬の水温が20℃を上回ると発生する。

風下の湾内で大量に見つかる。

6~10月の南風が強い日には伊豆半島、三浦半島、房総半島の小さな漁港内でも風下側にアンドンクラゲが集中。

海へ飛び込む時はその海域にアンドンクラゲがいないことを視認する。

11月上旬、海水温が下がると姿が見られなくなる。

ハブクラゲと殺人クラゲ

沖縄や八重山諸島に生息し、住民から恐れられている強力な毒を持つハブクラゲはアンドンクラゲの大型タイプ。

大きさは5倍以上になる。

また、オーストラリアで毎年多くの犠牲者を出す殺人クラゲ、Sea Wasp(海のスズメバチ)ことキロネックスもアンドンクラゲに形状が似る。

ハブクラゲと同じくアンドンクラゲの大型タイプ。

アンドンクラゲが出るシーズンの海水浴は注意すべき。

泳ぐ前にアンドンクラゲの備え

透明度の良い海で泳ぐ時は海へ入る前にアンドンクラゲが遊泳していないか視認。

透明度の悪い海で泳ぐ時は地元の人の話を聞く。

アンドンクラゲが発生する場所は毎年同じ場所であることが多く、その場所を避ける。

出来ればウエットスーツ、マリングローブ、ダイビングブーツを着用すればアンドンクラゲの刺胞細胞からの攻撃を避けられる。

アンドンクラゲに刺されると

刺されれば激痛が走り、線上に刺されればミミズ腫れになり傷跡も残る。

酷い場合は紫に変色する。

また、皮膚組織が毒で破壊されたときは水膨れになる。

アンドンクラゲは小型のため死に至らしめるほどではない。

アンドンクラゲに刺された場合の処置

刺されても暴れない。

他の触手に刺されないように静かに対応する。

触手は切れても刺す能力がある。

まだ皮膚に触手がある時はピンセットやグローブをした手で取り除く。

患部を海水や食酢で洗浄した後に患部を冷やし、重症の場合は医師の手当てを受ける。

すぐに医師の手当てを受けられない場合は抗ヒスタミン剤軟膏やステロイ剤軟膏を患部に塗る。

アンドンクラゲに食酢が効果的

アンドンクラゲと仲間の箱形クラゲには食酢を掛けると効果がある。

この場合の効果とは刺細胞の活動を停止させるという意味で治癒する訳ではない。

皮膚に残った触手の刺細胞の活動を停止させそれ以上刺されないようにするために食酢を使用する。

その後に残った触手を取り除き治療をする。

食酢を使用出来ないクラゲ

カツオノエボシなどのヒドロ虫の仲間やイソギンチャク類、サンゴ類による傷に食酢を使用してはいけない。

これらに食酢を使用すると逆効果。

食酢が残った刺細胞を刺激して毒針を発射。

結果、症状が酷くなる。

食酢を使用して刺細胞の活動を止めることがきるのはアンドンクラゲと仲間の箱形クラゲだけ。

他のクラゲ類には食酢を使用してはいけない。