なぜ深い深度へ潜れない、減圧症以外の問題

なぜ深い深度へ潜れない

通常潜れない深度120m

北海道知床での観光船沈没事故。

通常潜れない深度120mへ潜れる飽和潜水。

2つのキーワード、潜れない深度と飽和潜水を探る。

深い深度の問題

今回は以下6つ課題を探る。

  • タンクの空気が早く無くなる。
  • 窒素酔いで酩酊。
  • 水温が低い、寒い。
  • 呼吸抵抗が大きい。
  • 深度120mは暗い。
  • 深度120mへはすぐには行けない。

減圧症以外の問題

深度と水の重さ

なぜ深い深度へは潜れないのか?

大きな理由は水圧、つまり水の重さが関係する。

10mの深度毎に水の重さが1kg分増す。

深度100mでは10kg増える。

たった面積1㎠に10kgの重量がかかる。

体中にこの重量がかかる。

空間があれば深度100mでは水面の1/11に圧縮される。

水面へ浮上すればその逆に膨張する。

タンクの空気が早く無くなる

空気は水圧で圧縮する。

深度10mでは水面の1/2に圧縮。

30mでは1/4に圧縮。

100mでは1/11に圧縮。

120mでは1/13に圧縮。

130ℓの空気は深度120mでは10ℓに圧縮される。

水面で1時間呼吸ができるタンクの空気は深度120mでは約4.6分しか吸えない。

120mの深度へ大量のタンクを準備するのは難しい。

大深度では窒素酔いを起こす

深度30mを越せば窒素酔いの症状が出る。

大深度で密度の濃い窒素を呼吸するとアルコールを飲んだような症状を起こす。

深ければ深いほど症状は大きくなり誤った行動をとれば生命に危険が及ぶ。

90mの深度では酩酊してしまい、間違えがあれば溺れてしまう。

深度120mでは窒素酔いの影響を考えると危なくて窒素が79%も含まれる通常の空気は吸えない。

ヘリウムと酸素の混合ガスを呼吸

このような特殊な深度では窒素酔いを起こさないようにヘリウムと酸素の2種類の混合ガスやさらに水素を混ぜた3種類の混合ガスを呼吸する。

混合ガスを呼吸すると体温を奪われ、早く寒くなるため加温の必要が出てくる。

またヘリウムを呼吸するとダッグボイスと言われる声のキーが高くなり、聞きとりづらくなる。

深い深度は水温が低い

水面に比べ深く潜れば水温は低くなる。

赤道直下でも例外ではなく深度が深くなれば水温が下がる。

知床のこの季節の水温は水面で6℃。

冬の川の水温に近い。

水温が低い上に混合ガスを呼吸することでさらに体温が下がる。

作業ダイバーは船上から温水ホースを保温スーツへ導き体温を維持する。

呼吸抵抗が大きい

深い深度で吸う空気は呼吸抵抗が大きい。

深ければ深いほど呼吸抵抗も大きくなる。

大深度では呼吸をするだけで体力を使う。

深度120mでは息を吸うのもしんどい。

窒素酔い予防になるヘリウムと酸素の2種類の混合ガスやさらに水素を混ぜた3種類の混合ガスはガス密度を下げる。

深度120mは暗い

深度120mは暗い。

深度60mでも黄昏時ほどの明るさ。

現在は水深に耐えられるライトもあるので大きな問題ではない。

但し、透明度が悪い場合ハレーションが起き視界が悪い。

深度120mへはすぐには行けない

深度120mへはすぐには行ける場所ではない。

体力、知識、技術、経験、特殊器材と混合ガス、その他必要器材。

作業ダイビングは必ず2人1組、補助要員も必要。

多くの人手がいる。

準備する時間も必要。

行くだけではなく戻るには3倍以上の時間がかかる。

深度120mに作業潜水するには

減圧症を予防する

ダイブコンピューター
ダイブコンピューター 深度57mリミットタイム5分

ガリレオ ダイブコンピューターで深度57mの無減圧潜水は5分しかない。

120mへ潜るのであれば減圧潜水をするしか方法が無い。

浮上にはかかる減圧時間は多大になる。

わずかな作業時間で潜降してから浮上するまで何時間もかかる。

浮上後は最低2日は次の作業ダイビングはできない。

空気の供給を解決するには

エアーの消費も多い、通常のタンクの準備では足りない。

必要タンク数を深度120mに準備するのも大変。

リブリーザーについては呼吸抵抗を考えれば難しい。

船上から水中へ空気を送気する方法が好ましい。

窒素酔いを予防するには

空気潜水では無理。

窒素酔いを起こさないヘリウムと酸素の2種類の混合ガスやさらに水素を混ぜた3種類の混合ガスを使う。

呼吸抵抗も削減できる。

水温が低い、寒くなる

船上から温水ホースを保温スーツへ導き体温を維持する。

暗い深度120m

120m耐水圧のメインライトとサブライトを準備する。

深度120mへはすぐには行けない

何かトラブルがあっても直ぐサポートに行けない。

小さなトラブルでも生命の危険につながる。

以上を解決するには通常の潜水ではリスクが大きく作業を完遂できない可能性が大きい。

深度120mでも潜水時間に余裕のある飽和潜水の出番になる。