Contents

上皇陛下が命名したアケボノハゼ

春はあけぼの

あけぼのは、夜のおわり。

朝のはじまり。

夜の帳が上がる暁の終わり頃。

明け方。

夜明け。

夜空がほのかに明るんでくる頃。

夜がほのぼのと明ける頃。

上皇陛下が名付けたアケボノハゼ

アケボノハゼ昭和の時代から上皇陛下が長くハゼの研究をしていたことは有名。

その上皇陛下が名付けたハゼの一つがアケボノハゼ。

上皇后美智子さまがアケボノハゼという名前を提案され、上皇陛下が名付けられた。

上皇后美智子さまの奥ゆかしさと上皇陛下の思いやりが名前に見える。

名前の由来を知るとアケボノハゼを見る楽しみも増える。

パープル ファイアー ゴビー

英語名は Purple fire goby.

パープルファイヤーゴビー。

直訳すると紫の火のハゼ。

ファイヤー ゴビー

Fire goby はハタタテハゼのこと。

ハタタテハゼ
ハタタテハゼ Fire goby.

確かに燃えてる炎の色をしている。

今までハタタテハゼを綺麗だとは思っていたが Fire をイメージしたことはなかった。

確かに Fire goby 、名前のとおり。

紫のハタタテハゼ

では Purple fire gobyは?

紫色のハタタテハゼという意味になる。

実物を比べてみる。

アケボノハゼ Purple fire goby.

色が違うだけでアケボノハゼもハタタテハゼによく似ている。

ハタタテハゼが火の色ならアケボノハゼは紫色したハタタテハゼ。

Purple fire goby の名前にもうなづける。

両ハゼとも礫と砂地の混じる場所に巣の穴を掘り、プランクトンを食べて生活している。

暁色のアケボノハゼ

濃い紫と淡い紫のグラーデーションのアケボノハゼ。

明け方の暗闇から薄明るくなる東の空の色に似る。

暁バイオレット。

昔から尊い紫。

上皇陛下が名付けたアケボノハゼの名前にもうなづける。

アケボノハゼを見るには

アケボノハゼは熱帯域に生息

大きさは5~7cmとやや小柄。

寒い地域は嫌いなハゼ。

熱帯域に生息する。

関東近辺で見られたら貴重。

アケボノハゼは30~40mの深度

アケボノハゼ明るい浅い場所を好まないアケボノハゼ。

通常は深度30~40mで多く見つかる。

深度が深いために薄暗い。

必ずではないが洞などの暗い場所でよく見られる。

場所が深いゆえに自然光だけではアケボノハゼの綺麗なパープルグラデーションを確認することはできない。

どうしても補助光やライトが必要になる。

深度30~40mでの潜水時間の制約

深い潜水をすれば減圧症の確率が上がる。

ダイバー特有の潜水病である減圧症を避けるには潜水時間を短くする必要がある。

深度30mでは潜水時間20分が限界。

深度40mではわずか9分が限界。

ここに示した潜水時間は潜降する時間も含める。

潜降に要する時間は少なくとも2~3分以上、体調と地形により変動。

最短で着底しても限界は7分。

この短い時間、薄暗い深度の中、5~7cmのハゼを見つけるのは大変難しい。

限界時間を越えれば

もし、限界時間を越えれば減圧というテクニックが必要になる。

浅い場所で所定の時間呼吸をし浮上を遅らせる手順を踏む。

減圧潜水は減圧症になる可能性が高くなる。

また深い場所では早く空気を消費するため、減圧で潜水時間は長くなり、エアー切れの心配が生じる。

潜水後、減圧症の症状が出なくても体内に窒素は多く残っており、出来るだけ安静にして減圧症の発症を抑える必要がある。

アケボノハゼを見るリスク

アケボノハゼアケボノハゼを見るリスクは色々ある。

深い深度。

短い潜水時間。

エアー消費の制限。

自然光が暗い。

アケボノハゼが小さく目立たない。

18mにあるアケボノハゼのコロニー

30年程前に行ったインドネシアのアンボンのサパルアで面白い体験をした。

この海のアケボノハゼは変わっていた。

サンゴの斜面、深度18mの浅い水底に10~20匹ほどの若いアケボノハゼが群れていた。

18mの深度を守るように1~3m間隔でアケボノハゼのコロニーが続く。

更に浅い深度12mには同じように若いハタタテハゼのコロニーが続く。

いる場所には居る。

外敵がいなければアケボノハゼは比較的浅い場所にも生息する。

今は渡航できない場所にサパルアは指定されている。