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ドライスーツの排気弁の分解掃除と組立

ドライスーツの排気弁から水没

上腕が濡れる・・・

ドライスーツにわずかでも水が浸入するというのはダイバーにとっては是非避けたいもの。

今回は左腕からの水没。

といっても服が完全に濡れるほどではなく、上腕半分から下が浸みて脇の下までシャツを濡らす。

触って見なければ解からないほどの濡れ具合。

濡れ方からすると大きな穴ではない。

位置的に排気弁があやしい。

動きの悪い排気弁

使い始めてから1度も排気弁の手入れはしていない。

排気弁の動きをみるとやや悪い。

たぶん、この動きの悪さが水没の一因と思われる。

分解掃除、俗にいうオーバーホールが必要。

早速、排気弁を分解してオーバーホールする。

Dive Ways の AUTO 排気弁

今回の排気弁は Dive Ways の AUTO 排気弁。

以前はエアーの抜けが良いスエーデンのサイテック製を使用していたが多数の水漏れが生じるようになり、10年前からDive Ways の AUTO 排気弁を使用している。

Dive Ways は日本のメーカー。

昔から日本人気質に合うダイビング器材を生み出している。

Dive Ways の AUTO 排気弁に変えてから水没トラブルは1度もなくなった。

今回が初めてのトラブル。

ドライスーツ Dive Ways AUTO 排気弁の分解掃除

Dive Ways 排気弁を分解する道具

Dive Ways 排気弁を分解するのに必要な道具はなんと1つだけ。

六角レンチ
六角レンチ

この小さな六角レンチ1つだけで分解。

ドライバーもラジオペンチも特殊工具もいらない。

よく考えられている。

ネジをはずす

排気弁の上部横側に六角レンチ用のネジがある。

排気弁分解

六角レンチをネジにさしたら半時方向へ回す。

ネジ穴と六角レンチがピッタリなのでネジ山を潰すことがない。

六角レンチを使うのはこの時だけ。

外枠をはずす

カバーである外枠を半時計まわりに回せば簡単にはずれる。

排気弁分解

AUTOダイヤルをはずす

AUTOダイヤルは時計方向へ回し続ければとれる。

排気弁分解

スプリング

スプリングを抜く。

排気弁分解

強制排気弁バルブassyをはずす

強制排気弁バルブassyも垂直に持ち上げる。

排気弁分解

ドライスーツ側はこれでOK。

逆止弁周辺が汚れていればクリーニング。

第1段階の分解

排気弁の分解

ドライスーツ本体と5つのパーツに分解。

③のAUTOダイヤルの内側にはスプリングの当たる部分に白いワッシャーが2枚納まっている。

このワッシャーは外さなくても問題ない。

排気弁分解

分解はこれで終わった訳ではない。

肝心なのはこれから。

④の強制排気弁バルブassyを分解して掃除しなけば水没は止まらない。

Dive Ways 排気弁内の強制排気弁バルブassy分解と洗浄

強制排気弁バルブassy

強制排気弁バルブassyの動きを確かめるとスムーズでなく、引っ掛かりを感じる。

塩噛みか?

Oリングのグリスが無くて作動不良を起こしているような感じ。

強制排気弁バルブassyを分解するには下図Aのボタン部分を固定しBの六角ネジを半時計方向へ回す。

ここで小型モンキーレンチが必要になった。

排気弁分解排気弁分解

 

ネジ部には固定用のロックネジなどは使われていない。

ネジがはずれたら分解を進める。

塩の固まりがそこら中にこびりつき、錆の出ている場所もある。

排気弁分解

さらに細かく分解。

キズ、ヒビ、割れ、塩の固着具合、錆の状態をチェック。

塩の固まりと錆などをぬるま湯の中でこすり、汚れを取り除き綺麗に洗浄。

強制排気弁バルブassy全分解

強制排気弁バルブassyを全て分解、14個のパーツに分かれる。

排気弁分解

綺麗に洗浄され、塩も錆も除去完了。

⑩のリングが排気ボタンをプッシュした時に活躍するOリング、グリスが枯渇し作動不良を起こした。

Oリング⑩には十分にシリコングリスを塗り、他のシリコンゴム素材には薄くシリコングリスを塗布。

排気弁分解

排気弁全体では18種類のパーツに分解。

Dive Ways AUTO 排気弁の組立

強制排気弁バルブassy組立

C:⑨の帽子状のパーツに⑧の黄色いパーツをかぶせる。

D:⑪に⑫のパーツをセットし、⑩のOリングをはめる。

E:⑯に裏表を間違えぬように⑮、⑭、⑬を合わせでセット。

F:⑲のネジの根元に⑱のスケルトンOリングをはめ込む。

G:次に⑥のプッシュボタンに⑦のスプリングをかぶせ、CとDを通す。

H:FのネジにEを通してから⑰のワッシャーを通す。

最後にGとHを合わせてネジ締めしたら、ボタンの動きがスムーズか確認。

これで強制排気弁バルブassy組立が完了。

排気弁バルブ本体組立

ドライスーツ本体の排気弁容器に強制排気弁バルブassyをセット。

強制排気弁バルブassyは4ヵ所の突起部分で固定されるので向きを合わせる。

Dの文字が正しく読めるように上下を合わせると上部がピッタリ溝にはまって位置が固定。

次に⑤のスプリングをセットし、③のAUTOダイヤルを半時計方向へまわしてセット。

②の外枠を時計方向へまわしていくと最後にネジ穴部分が上部になる。

六角ネジをしめれば出来上がり。

最終チェック

排気弁の動きが以前よりスムーズになって納得のできあがり。

これで耐圧検査をして水が入らなければ合格。

六角レンチ1本で分解ができる排気弁はメンテナンスする人間にはとっても有難い。

パーツもしっかりしているし、分解も組立も難しくない。

以前のサイテックの排気弁に比べるとDive Ways 排気弁は何かと安心。

昔 Dive Ways のトライスターというフィンが好きでよく使っていた。

そう言えば 以前、Dive Ways のレギュレターは10円玉1つで分解組立ができると聞いたがこれも面白い。

動きの悪い排気弁は水没する前にご持参ください。