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生食用と加熱用のカキの違い、鮮度じゃない?

生食用のカキと加熱用のカキ

鮮度の状態

生食用のカキはそのまま生で食べられるカキ。

加熱用は生で食すのはダメ、焼く、煮る、揚げるなど熱を加えてから食べるカキ。

鮮度の状態で生食用か加熱用かに分けられる、と誰もが思う。

けれど生食用はカキは鮮度ではなく水揚げされる場所や消毒処理をしたカキのこと。

これを理解するにはカキの生活を知る必要がある。

カキの生活

カキはアサリと同じ2枚貝。

海の水を吸い込んで栄養と酸素を吸収して育つ。

海水中のプランクトンなどを栄養とする。

海水の綺麗な外海よりやや湾奥の河川の水の影響を受けるようなプランクトンの多い場所に生息。

カキは1日に400リットルの海水を呼吸

1個のカキは1日に400リットルの海水を取り入れる。

400リットルといえば家庭用の大きめの冷蔵庫サイズ、大量の海水を取り入れろ過し、綺麗な海水にして排出。

カキはアサリと共に海水を綺麗にする偉いやつ。

海水の中にはプランクトンだけでなく色々な菌もいる、その菌もろ過されカキの体内に入る。

カキの食中毒

腸炎ビブリオ菌

腸炎ビブリオ菌は海水中にあたり前に存在する。

カキの体内に腸炎ビブリオ菌が溜まっている可能性がある。

温度が高くなると腸炎ビブリオ菌は元気に増殖。

刺身料理で魚や生板、包丁を水道水で何回も洗うのは腸炎ビブリオ菌を洗い流し殺菌するためでもある。

カキを清潔に食べるためには、まずカキの殻をよく水道水で洗う。

カキの身を取り出したら表面を洗い、内蔵も切り裂いて洗う必要がある。

身を洗うことは出来ても内臓を切り裂いて洗うことは現実的ではない。

ノロウイルス

ノロウイルスは海水中に普通は存在しない、人間の体内の中でのみ増殖し人糞とともに排出される。

それが川を流れ、海へ入り、海水に混じり込む。

ノロウイルスに汚染された海水をカキが取り入れたらなら、当然ろ過されたノロウイルスはカキの中に留まることになる。

大腸菌

大腸菌もノロウイルスと同じように人間や鳥などの動物の腸の中に生息する。

大腸菌を有した動物の糞便が川や海へ流れ海水に混じればカキの生息場所へ届くことも十分想像できる。

カキの体内に大腸菌がいる可能性がある。

このような有毒な菌が多くいる水域で育つカキは保菌率が高い。

この場所で捕れたカキを生で食べれば食中毒になる可能性が大きい。

そのためカキを水揚げする海域では菌が多く存在するかどうか水質調査を行なう。

中には問題ない海域も存在するが大抵の海域は生食禁止のカキ、つまり加熱用のカキになる。

生食用のカキとは何か?

滅菌海水で呼吸したカキ

生食用のカキは出荷前に滅菌海水を呼吸させ内臓の菌を洗い流したカキのこと。

滅菌海水は紫外線を通した海水や塩素を利用して作られた殺菌した海水。

塩素を使用した無菌海水で牡蠣の外殻を洗う。

無菌の海水をある程度の時間、カキに呼吸させカキの内臓の菌を洗い流す。

加熱用のカキもこのように滅菌海水による処理をして生食用のカキになる。

加熱して食べるなら加熱用のカキ

けれど滅菌海水を長時間呼吸させることによりカキは腹ペコ状態になり痩せて旨味も減ってしまう。

鍋や火を通して料理するなら加熱用のカキを使う。

生食用を加熱料理するより加熱用のカキの方が体内に十分な旨味がある。

生食用のカキと加熱用のカキの違い

生食用のカキと加熱用のカキの違いは無菌海水処理をしたかどうかの違い。

最初はほとんどのカキが加熱用のカキに属している。

無菌海水で呼吸させ内臓を洗ったものが生食用として店頭に並ぶ。

そのため生食用はやや身が痩せる。

鍋、焼き、揚げるなど加熱処理して食べるときは加熱用のカキの方が旨味がある。

生食用のカキと加熱用のカキの違いは鮮度の違いではない。