ネンブツダイの群れ

浮気な大介

梅雨入り、水温は21℃にあがってきた。

イシダイの大介は先月の14日に今年初めて会って、その後顔を見ていない。

イシダイ釣り師に釣られてしまったのかと心配もしたが今まで8年以上も生きてきて体調は60cmほど、並みのanglerでは釣りあげられないだろうと思っている。

けれど顔を見なければやっぱり心配になる。

今日も1本目は現れなかった。

どこで誰と浮気をしているのか?

アオリイカの産卵床には産み付けられた卵が2房あるだけで親のアオリイカの姿も見えない。

それでもゆっくり、卵の大きさ、中に入っている白いタマゴの数をライトに透かして見る。

すると突然ネンブツダイたちが右上から降ってくるように産卵床に入ってきた。

ネンブツダイの群れ

なんだ?と思って右上を見上ると凄い数のネンブツダイが沖のほうから慌てて泳いでくる。

その群れの中へ白の平たい大きなものが海底から泳ぎ入る。

ネンブツダイの群れを襲っているのは大きなヒラメだ。

真っ白な腹を見せながら群れへ突入するもののネンブツダイの動きのほうが早く、食べられることなく逃げまわっている。

逃げ惑うネンブツダイ

このヒラメに追われて産卵床へ逃げ込んできたらしい。

ネンブツダイの大群すべてが隠れるには産卵床は小さすぎる。

産卵床に隠れようとした集団はまた泳ぎあがり大群の中へ帰っていく。

そして大群は移動して見えなくなった。

一瞬の出来事で逃げ惑うネンブツダイの数の多さに翻弄された。

ネンブツダイの産卵

ネンブツダイは大きさ10cmほど。

ピンク色っぽい魚体、尾の付け根に黒い点と目を通る3本の黒線、別名アディダス君と呼んでいる、釣り師はその色合いから金魚とも呼んでいる。

成魚になると群れの中で雌雄のペアを作る。

メスは産卵の準備ができるとオスに言い寄るように体をブルブル震わせる。

産卵はお互いが寄り添い体を震わせ、メスの産卵に合わせオスが精子を放出、直ぐにオスが卵を口にくわえる。

その後、オスは1週間何も食わず口の中でタマゴを守り、ふ化させる。

口の中で育てる口内保育、ネンブツダイはマウスブリーダーとして有名だ。

ネンブツダイの大群

帰り道

残りの空気も半分、そろそろ戻ろう。

砂地を泳ぎドラエモンを通り過ぎる。

大岩までくると中層がピンク色に濁っていた。

ピンク色のネンブツダイ

いや、濁っているのではなく、それはネンブツダイの大群。

ライトを当てればキラキラと銀鱗が光る。

いったい何匹のネンブツダイがいるのだろう。

ボケ~ッと時間を忘れ、群れを眺めていた。

このまま群れの中で暮らしたい。

何千何万のネンブツダイの群れの中で過ごしてみたい。

そんな幻想を抱いていた。