クロマグロ一本釣りは大きな夢と闘い 初競りの値段

海の黒いダイヤモンド

日本で食べる4種のマグロ

世界で一番マグロを消費する国は日本。

クロマグロ(ホンマグロ)、メバチマグロ、キハダマグロ、ビンナガマグロ(ビンチョ、トンボ)など主に食用として日本で水揚げされるマグロは4種類。

ダイビングでよく見られるイソマグロは時間が経つと水っぽくなるため一般には出回らない。

そんな4種類のマグロの中でも花形はクロマグロ。

青森県大間港で水揚げされたクロマグロは大間マグロと呼ばれ味が良く超高級品。

大間の一本釣り

主に一本釣りで漁をする。

竿などは使わずに糸1本、針1本、餌1匹でクロマグロを釣り上げる。

中には延縄で漁をする大きな船もある。

一本釣りはクロマグロの群れを直視やソナー、魚群探知機で捜す。

群れを見つけたら群れの先端に届くように群れの潮上からエサを入れる。

クロマグロ釣りのエサ

エサは生きたスルメイカ、生きたフクラゲ(ブリの子供、イナダ)、サンマ、シイラの子供、塩漬けのトビウオなどを使う。

マグロ漁の前にはエサの確保が必要。

前日の夜にはスルメイカ漁に出なくてはならない。

もちろんこれも釣り。

必要な数だけ釣れるまで帰れない。

直ぐに釣れれば良いが時間のかかる時もある。

マグロ漁は早朝暗いうちから始まる。

腕次第?運次第?

エサを喰うか喰わぬかは腕次第?運次第?

1年に1匹も釣ることが出来ない漁師もいる。

油代と時間だけを費やす辛さはたまらない。

マグロの鼻先にうまくエサが運ばれるようにエサ入れと船の操作をする。

キハダマグロ

マグロが掛かってから死闘が始まる

マグロが喰いついたら

エサにマグロが喰いつくと凄い力で引っ張られる。

だが直ぐに合わせを入れてはいけない。

針が口に掛からず外れるからだ。

5秒ぐらいは自由に飲み込ませる。

それから船のエンジンを全開にして大合わせをする。

マグロとのやりとり

マグロにガッチリ針掛かりをすれば糸が切れぬようマグロが疲れるまで少しのテンションをかけながら自由に泳がす。

引き寄せられる重さになったらゆっくり糸を引く。

マグロが暴れて逃げ出せば、また糸が切れぬようにテンションをかけながら糸を出す。

マグロが弱ってきたらまた糸をゆっくり引き寄せていく。

時には1時間以上もこのやり取りが続く。

今は糸の自動巻き上げ機を常備している船も多い。

漁師にとっては無くてはならない相棒的な存在。

電気ショッカーと銛

運よく船近くまで引き寄せられたマグロは暴れないように現在は電気ショックで失神させる。

失神して暴れない状態のマグロにロープの付いた銛を打ち込む。

釣りバリだけで取り込むと暴れた時にハリが外れたり、糸が切れてしまう。

狙いは身肉に傷をつけず、なおかつ外れにくい場所、ホホの辺り。

銛を打ち込めばマグロは暴れる。

まだ油断は出来ない。

銛のロープが切れたり、銛先が外れることもある。

取り込みはフックとウインチ

ゆっくりと手繰り寄せ、鰓にステンレスフックが掛けられるまで緊張が続く。

特に大きな獲物には左右2つの鰓にステンレスフックをそれぞれ掛ける。

ステンレスフックが掛けられたマグロを昔は人力で船内に引き入れた。

今はウインチを使用して船内に引き入れる。

ゆえに大間では1人で船に乗り100kg以上のマグロを操船から取り込みする漁師も多い。

大事な宝物

釣り上げてもなお丁寧に

大間マグロは今やブランドマグロとしても有名で、とても大事に扱われる。

釣り上げたクロマグロは直接甲板の上には置かない。

100kg以上もある大物は硬い甲板に直接置けば自らの体重で表面が傷ついてしまう。

傷つけば値段も下がる。

身の表面を傷つけないように柔らかいスポンジマットの上に寝かせる。

脳天締めと血抜き、神経締め

直ぐに脳天を締める。

そして血抜きと神経締めを行ない氷で冷やす。

脳天を締めることで生命活動を停止させる。

血を抜いて肉に生臭さが残らないようにする。

神経締めをすることで死後硬直の時間が長くなる、つまり鮮度が長く保てる。

氷で冷やすのも身の体温を下げ鮮度を維持するため。

陸揚げ

港で船から陸へ水揚げされたクロマグロは検量を終えた後に再び氷で冷やされる。

出荷用の発泡スチロール箱に身を立てにして納められると隙間に氷を入れて東京の豊洲へ運ばれる。

身を横に寝かせると長い時間下になった部分に体液が溜まり味が落ちる。

そのため最近は大きなマグロは身を立てて運ぶ。

腹はトロと大トロの部分で体液が溜まり難い。

そうやって海から運ばれて豊洲、そして割烹料理屋や寿司屋などの店舗に並ぶ。

大間マグロの値段

このクロマグロの値段が凄い。

時により、1kgあたり10,000円以上の値段がつく。

100kgのクロマグロなら100万円。

それを1ヵ月で何匹も釣り上げられたら!

大間漁師の夢。

状態で変わるクロマグロの値段

クロマグロの値段は釣り上げた時期、大きさ、場所、鮮度によっても値段が変わる。

時期

春夏に沢山のエサを食べ秋冬になると脂がのってくる。

時期的に値段が最高に上がるのは年末から年始。

特に津軽海峡で水揚げされた正月初荷のクロマグロで一番大きい物には毎年ご祝儀相場がつく。

初荷のご祝儀相場

2008年重量170kg、607万円

2009年重量128kg、963万円

2010年重量200kg、1400万円。(久兵衛と香港すしチェーン店落札)

2011年重量342kg、3249万円。(久兵衛と香港すしチェーン店落札)

2012年重量269kg、649万円。(すしざんまい落札)

2013年重量222kg、1臆5540万円。(すしざんまい落札)

2014年重量230kg、736万円。(すしざんまい落札)

2015年重量180kg、451万円。(すしざんまい落札)

2016年重量200kg、1400万円。(すしざんまい落札)

2017年重量412kg、7420万円。(すしざんまい落札)

2018年重量405kg、3635万円。(やま幸落札)

2019年重量278kg、驚きの3億3360万円。(すしざんまい落札)

2020年重量270kg、1億9320万円。(すしざんまい落札)

2021年重量208kg、2084万円。(やま幸落札)※コロナ禍

2022年重量211kg、1688万円。(やま幸&銀座落札)※コロナ禍

漁師の手元にはこの金額の約5割が振り込まれる。

大きさ

クロマグロは大きい方が脂が乗り、値段が高くなる。

クロマグロの子供はメジマグロと呼ばれ、カツオに混じって釣れる時もある。

脂ののりは少ない。

出来れば逃がしてあげたい。

場所

場所は津軽海峡で水揚げされるクロマグロに高値がつく。

日本で一番だと言われる。

確かに大間で捕れたクロマグロは脂がのっていてすこぶる旨い。

南国へ行くほど値段が安くなる。

鮮度

鮮度によっても値段が変わる。

氷で冷やすことは絶対条件。

大きなマグロは暴れることで体温が上がり、早く冷やさないと身焼けをおこし味が悪くなる。

地方によっては竿とリールを使って出来るだけマグロを暴れさせないようにゆっくり釣り上げる漁師もいる。

また血抜きをするとしないとでは味に格段の差が出る。

血抜きをしないと生臭さは残る。

まだ生きた元気なうちに血抜きをしないと血は抜けづらい。

血抜きは鰓の動脈を切ることで行われる。

神経締めも昔にはなかった技術。

黒いダイヤモンドと言われるクロマグロの全てが凄い。