海水魚と淡水魚の同棲

信じられない

海水の魚と淡水の魚が一緒に暮らせることを可能にした人がいる。

30年前ならそんなことは出来ないと誰もが思っていた。

けれど現在、それが実現している。

論より証拠、まずはこの動画を見てみよう。

一つの水層の中で淡水魚の金魚と海水魚であるカクレクマノミやスズメダイ、ハタタテハゼが飼育されている。

とても不思議な光景だ。

なぜ同じ水で生きられる?

では、なぜ淡水魚と海水魚が同じ水で生きていられるのだろうか?

この水槽の水は淡水でも海水でもない。

好適循環水と呼ばれるものだ。

そもそもご存知のようにサケやアユ、ウナギなど特別な魚以外は海水と淡水どちらかでしか生きていけない。

塩分濃度

それは浸透圧の関係だ。

淡水は0.05%以下の塩分濃度、海水は場所によって多少違うが3.5%ほどの塩分濃度がある。

海水がしょっぱいのはこの3.5%の塩分濃度があるからだ。

魚は0.9%

硬骨魚類の体液の塩分濃度は淡水魚でも海水魚でもあまり変わらず0.8~0.9%。

人間の体液の塩分濃度は0.9%、魚とだいたい同じ。

刺身を食べた時にしょっぱく感じず、水っぽくもないのは塩分濃度が同じだからだ。

淡水魚の場合

淡水の魚を海水に入れた場合、浸透圧の関係で体中の水分がどんどん表にでてしまい、水分不足になり絶命してしまう。

淡水魚は海水魚のように水分を取り入れる調整ができない。

海水魚の場合

また海水魚を淡水に入れた場合はその逆になる。

浸透圧の関係で体中に水分が入ってきてブヨブヨになり、体液の塩分濃度が低くなって絶命してしまう。

海水魚は淡水魚のように水を取り込まない調整ができない。

それでは生きていくために両方の条件に合わせるにはどうすれば良いのか?

その秘密はこれ

環境水を塩分濃度0.9%

生物の生活する環境水を体液の塩分濃度と同じにしてしまう。

つまり0.9%の塩分濃度の環境水にする。

海水には塩分が含まれる、これは塩だけではない。

水 96.5 %
塩分 3.5 %

つまり1リットルの水に35グラムの塩分が溶けている。

それを4分の1ほどに減らす。

この塩分には

塩化ナトリウム 77.9 %
塩化マグネシウム 9.6 %
硫酸マグネシウム 6.1 %
硫酸カルシウム 4.0 %
塩化カリウム 2.1 %
その他 0.3%

約60種類の成分が含まれている。

好適循環水

新しい環境水にはこのうち3成分ナトリウム、カリウム、カルシウムだけが含まれている。

魚が活きていくための最低限必要な3成分だ。

すべて長い実験の末に作りえた。

ろ過循環

そしてこの環境水は濾過槽でろ過し、循環して使用している。

魚の排せつ物はこの濾過槽のバクテリアたちが分解し、濾過槽が安定すれば特別な手はかからない。

魚自体が浸透圧の調整をする必要がないので成長が2~3割早く、寄生虫などもつきにくいという。

そして現在この好適循環水を使用してマグロ、タイ、ブラックタイガー、バナメイエビなどが養殖されている。

海が無くても養殖できる

使用した好適循環水は排水する必要も無く環境にもやさしい。

海水の無い場所、海から遠く離れた内陸や山地でも水温を魚の最適水温に維持できれば何処でも養殖可能。

この好適循環水という魔法の水を作ったのは岡山理科大学工学部の山本俊政准教授だ。

さらにこの濾過槽に集まる栄養分を肥料として野菜まで育てている。

養殖漁業と農業を同時に行えるシステムを作ってしまった。

好適循環水を利用した農漁が進めば世界中で食料を確保することが容易になる。

世界中に広まれば凄いことだ。