カジキに穴を開けられ漂流

怖い漂流

漂流、海で働く者にとって、また海で遊ぶ者、旅行者にとっても遭遇したくない事故。

暑い陽射しと飢餓、そして飲み水がない。

今月の10月3日フィリピンの漁師が南シナ海の沖で漁をしている時に奇妙な事故に遭遇した。

結果、何日も漂流することになった。

バンカーボート

フィリピンで漁師たちがよく使っている船がバンカーボートと呼ばれるダブルアウトリガータイプの船だ。

木で作った船の両側に波が来ても転覆しないように竹の束を離して取り付ける。

見た目はアメンボウのような雰囲気だ。

エンジンは古い車のエンジンを使って取り付ける。

10月3日漁師5人

漁師達5人はいつもどおりフィリピンの首都マニラから北西80kmに位置するSubicから魚を追って漁に出た。

10月3日、魚の群れを見つけ漁をしていると1匹の大きな魚が近づいてきた。

背ビレと尾びれを水面に出しながらエサの魚を追いかけている。

鼻の先がサーベルのように延びている大きさ1.8mほどのマカジキだ。

興奮している。

エサを追いかけ回しながら暴れている。

カジキが船体に穴を開ける

そして近づき過ぎた瞬間、奴は大事な船の胴腹にサーベルを突き立てた。

1度では飽き足らず、2度までも、船に大きな穴を開けマカジキは周囲を何回か回ってから去って行った。

船には水がどんどん入り、夕方には沈没してしまった。

漂流するにもこのままではまずい。

わずかな水と米、船自体は沈んでいるが浮いている部分もある。

竹と船の各部分は丈夫なラインで何重にも結わいて止められている。

イカダで漂流

水面に浮いている竹や板の部分だけを結合し直して筏を作った。

筏は漂流した。

絶対に助かる、そう信じて救援を待った。

翌日10月4日、生米はそのまま口の中に入れた。

他に食べるものはない。

魚を獲れれば良いのだが・・・

水もなくなった

10月5日、ついに水も無くなった。

喉が渇きどうしようもなくなると少しだけ海水を口に入れた。

一気に沢山の海水を飲まないように気をつける。

食料は既にない。

10月6日、沖をタンカーのような商船が通る、大きく手を振るが気がつかない。

大きな船は去って行った。

期待をしたぶん落胆も大きかった。

できるだけ動かないように努力した。

喉が渇いてどうしようもない時だけわずかな海水を口に入れた。

10月7日、漂流は続く。

腹も減るが喉の渇きも酷い。

助かる希望は捨てない。

ついに救助

10月8日、ついに念願の救助船が来た。

米海軍が見つけ、5人全員救助した。

救助された船長は何日か休養して新しい船が見つかったらまた直ぐ漁に出ると言う。

なんというタフガイか。

船長は「これがわれわれの仕事だから」と。

生活をするために怖くても海に出る。

凄い

海水を飲んで渇きを癒す

カジキがエサを追いかけて船に穴を開けるというのも凄い話なら海水を飲んで喉の渇きを癒すというのも凄い。

一般には喉が渇いても海水を飲んではいけないとされる。

理由は海水の塩分濃度が人間の体液よりも2.6%高いため、海水を飲むと脱水症状を起こし、さらに喉が渇く、それを続けると尿毒症や腎不全になってしまう。

けれど人間はまったく水分を取らなければ3日で死に至り、1日の水分補給量は通常で2リットルが必要だ。

飲まぬが良いか?飲むが良いか?

漂流などで真水が1滴もなくなり、喉がくっつくような状態ではわずかな海水を口に含むのも有効だと思う。

サバイバルWikipediaでは「水分を摂取しなければ必ず死に至るという極限状況ならば、1日500ミリリットル以下に限って海水を飲むことは止むを得ない」と表記している。

海水をガブガブと一気に飲むのは危険だ。

飲む時は口を湿らす程度に少しづつ時間かけて飲む。

海水を飲むことに体を慣らす必要があるからだ。

5日以内

6日以上海水を飲むと腎臓に負担がかかる。

5日間以内に救助されたい。

今回のフィリピンの漂流はギリギリだ。

最初に真水があるなら水2:海水1の割合で海水を薄めて飲む方法もある。