Contents

うなぎ屋は凄い、1種類の魚料理だけで客を満足させる

うなぎの秘密

うなぎ1種類だけど人気

たった1種類の魚しか売らない店。

よく1種類だけの魚で商いが出来るものだと感心してしまう。

そして料理のメニューも少ない。

日本独特の食べ物屋。

寿司屋のメニュー

例えば寿司屋ならマグロの赤身、中トロ、大トロ、中落ち、ブリ、アジ、〆サバ、イワシ、コハダ、マダイ、ヒラメ、カレイ、カツオ、アナゴ、タコ、イカ、アカガイ、ミルガイ、ホタテガイ、ホッキガイ、アオヤギ、イシガキガイ、ウニ、イクラ、タラコ、とびこ、ボタンエビ、アマエビ、茹でエビ、タマゴ、カッパ巻、かんぴょう巻など色々な握りずしのメニューがあり、その他に焼き魚、焼き貝、煮魚も提供する。

すし

ここに上げただけで30種類のメニュー、店によっては平貝、穴子の白焼き、アジのたたき、などまだまだメニューは増える。

飲み屋なら

魚の食べられる飲み屋に入ったらどんなメニューがあるだろう。

アジの刺身があればアジの敲きも出来るし、房総半島名物のなめろうやアジフライも出来る。

サバがあれば塩焼きや味噌煮も出来るし、〆サバも作れる。

他にもマグロやタコ、イカの刺身は簡単に準備でき人気の定番メニュー。

これでも5種類の肴を使い、10種類のメニューになる。

ではたった1種類の魚だけで勝負する店とは?

うなぎ屋は1種類だけ

それはうなぎ屋。

うなぎ屋で準備しているメニューは蒲焼か白焼き。

 

それに肝吸いが付くかどうか。

つまみにうなぎの骨せんべいや枝豆などを用意している店もある。

重箱のご飯の上に蒲焼を乗せたものがうな重。

器が重箱でなく丼ぶりなら、うな丼。

ごはんが無くうなぎだけなら蒲焼。

白焼きは甘辛いタレをつけずに素焼き、そのまま焼き魚風にいただく。

料理法は二つ

売る魚は1種類、料理のメニューは蒲焼と白焼きの2つだけ。

しいて言えば、うなぎの量や産地で上と特上の2種類または3種類の値段を分けている。

普通うなぎ屋へ行くときは、蒲焼が乗ったうな重を食べに行くのが一般的。

うな重のサイドオーダーに白焼きを頼む人もいる。

凄い店

うなぎ屋は以前から凄い料理屋だと思う。

1種類の魚、2メニューで商売できる店を他に知らない。

そしてとても高い。

うな重1人前の値段は4000~5000円代、今年まだ値段は上がりそうな気配。

なのにうなぎ屋のうな重は人気がある。

1年に数回は食べたくなる。

0.3gの仔魚は1匹300円以上

今年もシラスウナギの不漁がニュースで流れている。

河口で捕れる透明のシラスウナギの赤ちゃんの重さは0.3g、1匹の値段は300~400円。

それを6ヶ月~1年半の間、餌を与えて育てて出荷する。

うなぎが高いのも仕方ない部分がある。

うなぎ重の不思議

背開き、腹開き

関東のうなぎは背開きで関西は腹開きにする。

江戸時代、武士の多く棲んでいた江戸では切腹になる腹開きを嫌った、商人の町関西では腹を割って話すと腹開きを好んだ。

といっても背開きにするのは関東でもうなぎだけ。

アジの開きなどの干物を作る時も背開きにするがこれは焼いたときに焦げないようにするため。

それ以外、他の魚全て割くときは腹を開いて内臓を取りだす、だが切腹で縁起が悪いとは聞かない。

関東でうなぎを背開きにするのは切腹で縁起が悪いからというのは後からのこじつけだろう。

背開きにする理由はうなぎが割ばきやすく、料理がしやすいから。

うなぎの蒲焼 東西の違い

関東の蒲焼は背開きに割いたうなぎの内臓と中骨を取り、尻ビレと背ビレを取り除く。

そして半分に切り、竹串を通して筏状にし、表面を軽く焼き、柔らかくする目的で蒸らしてから仕上げ焼きをする。

焼いて、タレをつけてまた焼く、これを繰り返す。

蒸しておけば鮮度が落ちないので短時間なら保存が出来、事前の下ごしらえができる。

うまぎ料理は注文してから出てくるまで40分ぐらいかかる。

下ごしらえまでしておけば、焼く時間も短縮できるので注文を受けてから比較的早めに出すことが出来る。

関西風の蒲焼は頭をつけた1匹の腹開きのうなぎを4~5匹を金串を通し、焼いてタレをつけてまた焼く、これを繰り返す。

関西では蒸さない。

生から焼くのと頭を付けた状態で1匹を焼くのが特徴。

味と食感

関東の蒲焼は脂は乗るが身も柔らかい、店によっては歯で噛み切る必要がないほど柔らかい。

関西の蒲焼は脂がさらに乗り、やや身が縮み弾力性のある噛みごたえ。

川で捕ったうなぎを自分で焼くと関西風の蒲焼の味になる。

個人的に言えば蒸して柔らかいうなぎよりも、弾力性のある食感のある蒲焼が好き。

かと言って私は関西出身ではない。

東京出身だが関東のうな重の蒲焼は身が柔らかすぎるように感じる。

自分で捕ったうなぎを自分で料理して食べたことが何回かあるからなのかもしれない。

昔は丸焼き

さらにその昔、うなぎの蒲焼という料理方法がまだ無かった時代、うなぎは人気がなかった。

川、小川、池、田んぼなど何処でもうなぎは沢山捕れた時代。

1匹のうなぎを串に通して焼いて塩で食べた。

脂は乗るが骨も硬く、食べづらいうなぎは人気の魚ではなかった。

昔はそんな人気のなかった魚が今では高級で美味い魚となったのは今の筏形の蒲焼という料理法が出来てから。

硬い骨は無く、柔らかく食べやすい。

タレとうなぎの脂が混ざった香りと甘辛い味が五臓六腑をつかむ。

うなぎの蒲焼という料理が無かったら今でもうなぎは高級にはなっていない。

グアム島近くで産まれるうなぎの生活史も凄いが今の筏形のうなぎの蒲焼を考えた人も凄い。

うなぎ屋、たった1種類で営業ができる店。

うなぎ屋は凄いといつも感心する。