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水中の重力、光の届く距離、酸素濃度、温度変化が陸上は違う

海の大きさ

海は広いな大きいな

海は大きい。

地球上の表面の70%が海。

一番深い場所はマリアナ海溝のチャレンジャー海淵で水深10,911メートル

水圧は1,091気圧。

冷たい海水はマイナス1.94℃で氷結し、赤道近くで27~30℃まで上がる。

海流もあり、潮の満ち引きもある。

人は皆思う

広い海の向こうへ行って見たい。

人間は水中で呼吸が出来ない、でも魚は鰓で呼吸ができる。

水中を泳ぐ魚を見たい、サンゴ礁を見たい。

深い海を見てみたい。

イルカやクジラを見みたい。

海には魔物がいる?

水中

生物全体で見ると

海中と陸上を比べると生物的に色々違うことがある。

泳ぐこと、育つこと、呼吸すること。

海中と陸上の違いを重力、光、酸素の三つの観点から考える。

重力の影響を受けにくい

水中は軽い

水中は重力の影響を受けにくい。

周りが全て海水。

人間は裸で海へ入れば浮きぎみになる。

海水1リットルは1.03kg

海水の重さは1リットルで1.03kg。

もしあなたの体の体積が1リットルあたり1.03kgの重さなら海中では浮きも沈みもしない。

1.03kgより軽ければ浮き、1.03kgよりも重ければ沈む。

ゆえに人間は水中に入ると体が軽くなる。

これは人間だけでなく他の生物全てが同じ。

陸上生物は浮きやすい

陸上の生物のほとんどが海では浮きやすい要素を持つ。

陸上では体が重ければ重いほど重力に耐えなければならない。

なので重力に耐えらるしっかりした骨や筋肉が必要。

800倍の違い

空気と水では800倍密度が違う。

水中に比べれば陸上では800倍の重さに体が絶えている。

ゆえに陸上の動物は重力に耐えてエネルギーを多く消費するので、しっかりした骨と筋肉を持ち、高タンパク高脂肪の組織を体に有する。

水中では重力に耐える丈夫な骨も筋肉も必要ない。

ゆえに魚は高タンパク、低脂肪の組織で作られ、人間にとって健康的な食物となる。

陸上では植物も重力に耐え、優位な光合成をするために空へ伸びなければならない。

そのため茎や幹がしっかりとした硬い繊維で作られる。

水中では重力が小さいので硬いしっかりした茎や幹は必要ない。

海藻は光が届く浅い場所にのみ存在し、ヒジキやギバサ(アカモク)などのホンダワラの仲間は硬い茎や幹の代りに水面へ立つために空気の入った浮袋を持つ。

光の届き難い水中

地球の表面全体に光は届く

地球上の表面には、ほとんどの場所に光が届く。

そこがトンネルや穴の中でなければ太陽の光は照らされる。

水中は光があまり届かない。

陸上全体植物だらけ

そして土と水があれば草木が育つ。

種をまく必要も無い。

自然に風と雨水・鳥・獣・昆虫によって植物の種は運ばれる。

人間が何もしなくても地球の表面は緑の草木で覆われる。

海では20mまで

水中では深度5m潜ると波長の長い赤色は無くなる。

関東近辺の海では深度20mを越すと光合成出来ないため海藻は育たない。

ゆえに海藻は深度20mより浅い場所にしか存在しない。

海藻が水底に付着して生活出来るのは深度20mより浅い場所ということは海全体で考えれば陸上がある海岸の一部の場所に制限される。

沖合の深い場所に海藻は存在しない。

植物プランクトン(浮遊生物)

けれど海には重力の関係から特別な生物が存在する。

それが表面近くに漂う植物プランクトン(浮遊生物)。

陸上では存在しない、この植物プランクトンが海全体の表層近くで光合成をしている。

海の生物の生命の源がこの植物プランクトン。

食物連鎖の最初のエサ。

この植物プランクトンがいなければ海の生物のほとんどが淘汰されてしまう。

水中

水中は酸素が少ない

肺と鰓

陸上の動物は空気中の酸素を肺で呼吸する。

水中に棲む魚は水中の酸素を鰓で呼吸する。

肺と鰓の違いについてはコチラ ⇒ クリック

陸上では何処でも

陸上では何処に行っても酸素がある。

空気があるところに酸素は存在する。

鍵をかけ窓を閉じた部屋の中でも小さな隙間から新鮮な空気が何処からか入ってくる。

陸上には風があり、空気が動いている。

水に比べれば空気の密度は低いため小さな隙間でも自由に出入りできる。

通常部屋の中にいて酸素切れで窒息するなどいうことは考えられない。

ところが水中ではそうはいかない。

水中の閉塞する場所

もし水中に板で囲う部屋を作ったらどうなるだろうか。

酸素が水に溶け込むのは水面と植物の光合成によるもの。

酸素が溶け込んだ海水は波や海流などで水中に拡散していく。

けれど前後左右上下に板を張り、部屋を作って海流を遮断したらどうなるか?

隙間からの海水の出入りは微量しかない。

もし部屋の中に魚が棲めば部屋の中の酸素を使い果たしてしまう。

港は海流を遮断

海岸に港を作ると同じような現象が起こる。

港の中では今まであった海流が遮断。

もし港の中の水が外海と出入りしなければ海水はそこに溜まり淀む。

酸素が溶け込むのはほぼ水面だけ、そして上下の対流は無い。

水底に棲んでいたアサリなどの生物は酸素を使い果たし、死滅する。

そこには死骸と異臭、ヘドロが溜まっていく。

重力、光、酸素の観点から見てもこれだけ違う。

水中は冷たい

速く寒くなる

水中に手を入れれば冷たく感じる。

暑い夏になれば海水浴に行きたくなる。

気温で上がった表面体温を下げれば気持ちが良い。

それでも水着1枚で海に長く浸っていれば冷えて震えてくる。

熱伝導率25倍

空気に比べ水の伝導率は25倍速い。

空気に比べ25倍速く熱を奪う。

気温27℃は暑く感じるが水温27℃の海へ裸で入っても暑いとは感じない。

また、そのまま動かずにいたら寒くなる。

空気は保温性が高く、水は25倍速く熱を奪う。

魚にとって

人が水を冷たく感じるのと逆に水中で生活している魚が空気に触れれば暑く感じる。

人間の手が触れても魚にとっては熱く感じる。

今まで感じたことも無かったかもしれないが人間が魚に触るだけでも熱い。

魚に優しく触るなら手を水中に長い時間浸け水温と同じ温度になるまで手を冷やす必要がある。

陸上の気温の変化は大きい

気温の変化は太陽の日照に寄って大きく変わる。

陸上では日の出直前が一番気温が低い。

正午過ぎの1時以後が一番気温が高くなる。

その差が1日で10℃以上あることもよくある。

海中の温度変化は少ない

海では気温のような大きな水温の変化はあまりない。

だいたいが日の出直前も正午過ぎも水温は表面以外変わらないことが多い。

1日の温度変化は1~2℃ぐらいが普通。

ただし、暖流や寒流がぶつかる場所や深海の深い冷たい潮が湧き上がる場所では水温の変化が大きい場所もある。

水中生物にとって水温の急激な変化は苦手な生物が多い。

だが栄養豊富な冷水はプランクトンの発生に役に立つ。