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子持ち昆布はニシンの卵(カズノコ) 偽物と本物

子持ち昆布はニシンの卵

珍味

子持ち昆布は旨い。

1年に何度も食べられない珍味。

子持ち昆布は昆布の子供が付着しているのではない。

魚が産卵のために昆布に卵を産みつけたもの。

特にニシンの卵、つまりカズノコを昆布に着床したもの。

ワカメに着床したものは子持ちワカメと呼ばれる。

ニシンの産卵

産卵のため日本では春に北海道の深度1mほどの浅場にニシンが集まる。

メスは昆布などの海藻に1mmほどの粘着性の卵を産みつけ、オスは放精する。

これが本当の天然の子持ち昆布。

ゆえに現在市販されている子持ち昆布のように厚い卵の層は出来ない。

昆布の表面にまばらに多くの卵が着床する程度。

量も少なく市場に出回ることはほとんどない。

市販されている2種類の子持ち昆布

偽物と本物

一般に市場に出回っている子持ち昆布は人間の手が加わっている。

そのなかでも天然と言われる子持ち昆布と偽物と言われる2種類の子持ち昆布が存在する。

天然と言われる子持ち昆布

多く出回っている子持ち昆布の主産地はカナダ東海岸とアラスカ沿岸。

毎年春4~5月、大量のニシンが産卵のために接岸して昆布に卵を産みつける。

これを利用して市場に出る子持ち昆布を作っている。

ニシン自身が昆布に卵を産みつけるように上手に誘導して作る。

その方法が面白い

産卵のために浅場にやってくるニシンの通り道に人の手で昆布を並べて吊して置く。

通り道へ巻き網などを使って抱卵したニシンを追い込む。

ニシンが昆布にぶつかると産卵する習性を利用。

狭い場所に追い込められたニシンは同じ昆布に何度も産卵し、幾重もの卵の層ができる。

出来るだけ両面とも均等に、厚さも同じになるように、昆布の向きを変え、場所を変えるのは熟練漁師の腕。

2~3日で、たっぷり厚く卵の着床した昆布は引き上げられる。

水揚げされた子持ち昆布を塩漬けにして15kg毎にパッキングして日本へ輸出。

米国やカナダでは資源保護のため子持ち昆布漁のライセンスや場所、数量などが厳しく管理されている。

これが一般に市場に出回っている子持ち昆布。

偽の子持ち昆布

そして偽物の子持ち昆布とは、簡単に言うと安い子持ち昆布。

カラフトシシャモ(カペリン)の卵やホキというタラに似た魚の卵をバラバラにほぐし、着色して昆布に吹き付け、食品添加物の粘着剤で圧縮して固めた偽の子持ち昆布。

ニシンの卵ではなく、偽物シシャモのカラフトシシャモやホキの卵をほぐしてニシンの卵に見せるために黄色く着色している。

さらに人工的に粘着剤を使い、分厚く昆布に結着させたまがい物。

当然、味もニシンの卵より劣る。

3種類の子持ち昆布

自然の子持ち昆布

自然にできた子持ち昆布は卵の数が少ない。

食材になりにくい。

採れるのも微量なので市場には出回わらない。

一般的な子持ち昆布

カナダやアラスカから輸入される子持ち昆布。

ニシンの産卵を昆布にさせたもの。

卵を厚く幾重にも産卵させるのは人為的。

これを一般には天然物の子持ち昆布と呼ぶ。

偽の子持ち昆布

人工的に作られる。

ニシンの卵ではなくカラフトシシャモやホキの卵。

卵をほぐし、着色、粘着剤で固めたもの。

味も劣る。

子持ち昆布を見かけたら表記を確かめる。