この時期になると思い出す女戦士、名はマリア 332

女戦士マリア

この季節

彼女は産まれた

この時期になると思い出す。

彼女の名はマリア

短い人生を終わる最後は天に飛んでいった。

戦士になるために

彼女が生まれたのは狭い繊維質の部屋だった。

生まれた後は産んでくれた母親と何人かのおばさんたちが生きるための食事を運んでくれた。

彼女が部屋を出る頃には大人の体になり、おばさんたちと同じように空を飛ぶ戦士となった。

出会い

彼女に出会ったのは「風の中のマリア」

そういう名の小説だった。

彼女はスズメバチだった。

宿命

生まれたときから女性として戦士として働きバチの宿命をおっていた。

スズメバチは受精した卵はすべてメスになる。

受精しない無精卵はオスとして育つ。

メスは働き蜂となってエサを狩に行く、捕った獲物は子供たちに与える。

また巣を増築する仕事を任される。

マリアは性活動はしない

産卵行動は女王蜂に任せ、一切交尾活動はしない。

女王蜂が死ぬとマリアも産卵するようになるが交尾しないのでオスになる無精卵しか産めない。

マリアたちが産むオスのハチは何もしない。

狩りも、子育ても、巣作りも、何もしない。

結果、巣には働き蜂がいなくなり損壊する。

女王蜂は女王であり王様だ。

マリアたちがすべて

スズメバチの生活はマリアたち女戦士にかかっている。

マリアは巣を飛び出し、獲物を狩る。

狩りの獲物はイモムシや蝶、バッタ、ハエ、アブなど食べられる昆虫ならなんでも捕らえる。

捕らえた獲物をマリアたちは食べない。

強い歯で噛み砕いて唾液と混ぜて肉団子をつくり巣に帰り幼虫のエサとして与える。

彼女たちの細い胴を肉団子は通過できない。

マリアの食料は幼虫の出す蜜

彼女たちが食するものは幼虫が出す液、甘い蜜だ。

肉団子を与え甘い蜜をもらう。

マリアも幼き時代にはこのように生活していた。

夏は良い。

獲物も沢山あるからだ。

巣から遠く離れずとも獲物を狩ることができた。

大きくなる巣

9月

9月末、セミの声が遠ざかる。

飛び交う蝶やトンボも少なくなる。

そして10月さらに獲物が減る。

巣は大きくなり、子供たちも多くなり、働かないオスも増える。

食料がさらに大量に必要だ。

少なくなるエサ

そんなとき彼女らは気が荒くなる。

エサが少なくなった分、遠出も必要になる。

日帰りができないことも覚悟で遠方へ狩りに出る。

当然、腹が減る。

マリアは巣に戻れないため幼虫の蜜をもらえない。

マリアの非常食は木の樹液だ。

カブトムシやクワガタ、カナブンが好む樹液がマリアの非常食になる。

ハチの巣を狙う

今まで相手としなかった他のハチの巣を狙うことも

ミツバチの巣を仕留めれば大量の食料が手に入る。

マリアからしてみればミツバチは簡単に倒せる相手だ。

首を頑丈な歯で噛み切れば良い

ミツバチの毒針もマリアの硬い体には刺さらない

ただ沢山のミツバチに囲まれ体温が高くなれば蒸されて死に至ることもある。

だがマリアは勝った。

数々の戦いでマリアの体は傷ついていた。

羽もだいぶ痛めた。

最後の戦い

それでも腹を減らした子供たちのためマリアは狩りに出る。

日の時間も夏に比べると短くなってきた。

朝方は寒い、陽が暮れれば気温が下がり体の動きも鈍くなる。

巣の近くには獲物が見つからない。

今日も遠出は仕方ないだろう。

山を二つ超えたが思うように獲物は見つからない。

切れた羽が痛々しい。

そこにヤツがいた。

オオカマキリだ。

今までは相手にしなかったヤツだ。

あのオオカマで挟まれたら命取りだ。

けれど今は、やるしかない。

そしてヤツも同じだ。

エサとご無沙汰でだいぶ気が立っている。

ふふふ

面白いじゃないか

2本のオオカマをふりかざすオオカマキリ・・・・・

この戦いにもマリアは勝った。

羽の一部を引き換えに・・・

 

この時期になると思い出す。

スズメバチの気持ちを初めて知った「風のなかのマリア」

また読んでみたい。

 

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