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魚の鮮度を変えた氷と発泡スチロール

海外での刺身の認識

日本の刺身が美味い

マグロ刺身美味い刺身を食べた時つくづく日本人に生まれて良かった思う。

最近は日本食ブームで海外でも刺身が人気。

けれど日本で食べる刺身ほど安心して食べられる美味い刺身はない。

もちろん刺身を使う寿司も同じ。

日本が美味い。

ある海外での刺身の感覚

海外でも魚を釣ると新鮮なうちに刺身で食べることがある。

現地の人間はほとんど気持ち悪がって食べない。

魚を生で食べる国は少ない。

生食の習慣のない国で刺身に必要な鮮度保存を知るはずもない。

釣った魚は常温で保存

釣った魚を氷で冷やすことはしない。

漁師は魚を釣るとそのまま船内に放置、そして水揚げされた魚は常温で魚市場へ運ばれる。

そして魚市場でも常温のまま山積みされて売られる。

日本に比べれば魚市場自体が生臭く、不衛生に感じる。

もちろん、火を通して料理するので問題はない。

生食なんか考えもしない。

これではとても魚を刺身で食べることは難しい。

魚を刺身で食べるための日本人の工夫

日本人は魚を新鮮に美味しく刺身で食べれるように大切に扱う。

淡水魚は刺身で食べない

淡水の魚はほとんど刺身では食べない。

渓流の上流の綺麗な水に棲む魚も淡水魚には顎口虫などの寄生虫を宿している可能性がある。

この顎口虫は人間の体内に入ると死なずに皮膚下を動き回り、時として心臓にダメージを与える。

なので淡水魚は過熱して食べる。

淡水魚を刺身で食べるのは寄生虫のほぼいない養殖の魚ぐらい。

刺身で食べるのは海水魚

刺身刺身で食べるのは主に海水魚。

海で捕れた魚は直ぐに氷や海水氷で冷やし鮮度を保つ。

海水魚の寄生虫のひとつアニサキスも冷えた魚の体内では内臓の中で大人しくしている。

このときに内臓を取り除いてしまえばアニサキスの問題はなくなる。

また体内に入ってもアニサキスは7日ほどで死んでしまう。

魚を冷やせぬ時代

昔は氷が自由に使えなかった。

冷蔵技術や冷凍技術がなかった。

発泡スチロールの保温容器も無かった。

ゆえに獲れたての鮮魚しか刺身にできなかった。

隙間だらけの木の箱「とろ箱」で魚を運んでいた時代は水揚げされた場所近くだけが刺身を食べられる。

例えば東京ではサンマやサーモンの刺身は50年前にはなかった。

サンマと言えば焼きサンマ、サーモンと言えば塩鮭で同じく焼いて食べることがあたりまえだった。

氷と発泡スチロールと冷凍庫が魚を変えた

日本中の漁港で氷を準備

今の日本の状況は違う。

南は与那国から北は北海道まで何処の漁港でも氷を使う。

漁師がいつでも使えるように漁協などで作って販売している。

船内にも冷蔵所が設けられる。

漁船はたっぷりの氷を船倉に積んでから漁場へ向かう。

獲った魚は即、船倉の氷で冷やす。

港に水揚げした魚は計量の後、直ぐに氷で冷やされる。

発泡スチロールは鮮度を変えた

発泡スチロール発泡スチロールが出来てからは木のトロ箱を見なくなった。

発泡スチロールは98%が空気。

断熱性に非常に優れている。

耐水性にも優れ軽量。

発泡スチロールで出来た箱は低温の氷を長時間溶かさずに保存できる。

クーラーボックスにも発泡スチロールが使われている。

発泡スチロール箱は魚の鮮度を維持、輸送する冷蔵庫として活躍。

冷蔵状態で長時間の輸送が可能になった。

多くの魚が鮮度の良い状態で運べるようになった。

ゆえに刺身で食べられる魚の種類も増えた。

東京でもサンマの刺身が食べられるようになったのも発泡スチロールの影響が大きい。

現在はサンマの刺身はアニサキスの問題を解決するため、マイナス20℃で24時間以上冷凍したサンマを使用する。

進化したマイナス60℃で急速冷凍

冷凍庫冷凍技術が進化した。

マイナス60℃の冷凍庫。

マイナス60℃に急速冷凍すれば長期間鮮度を落とさずに冷凍ができる。

鮮度を決めるのは冷凍時の魚の鮮度。

釣り上げたその場で血を抜き、エラと内臓を除去、直ぐにマイナス60℃で急速冷凍。

遠洋漁業のマグロ船もこの冷凍技術で魚をマイナス60℃に急速冷凍して保管。

日本に陸揚げしたマグロは大型の冷凍庫に保管され、必要な時に解凍される。

好きな時にマグロの刺身が食べられる。

日本で一番低温の冷凍庫はマイナス70℃の冷凍庫で静岡県にある

刺身氷と発泡スチロール、冷蔵庫と冷凍庫は日本の刺身文化を大きく変えた。

次は魚を大切に扱う。