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ネンブツダイとクロホシイシモチの産卵と口内保育

アディダスと麻呂

江之浦に夏が来て水中が賑やかになる。

ネンブツダイは3本線

浅い所から16mの深度まで何処にでもいるネンブツダイ。

10cmぐらいの大きさでクリームからピンク色っぽい体色で尾の付け根に黒点がひとつ。

顔の片側には目を通る線を含め3本の黒線がある。

アディダスの3本線。

3本線のネンブツダイ
3本線のネンブツダイ

このネンブツダイに形も色も良く似た魚が群れに混ざっている。

クロホシイシモチは公家顔

その魚はクロホシイシモチ。

体はネンブツダイより少し大きい。

体色も似ていて尾の付け根の黒点まで同じ。

おまけに目を通る黒線まである。

ただし顔の3本の黒線ではなく、目を通る太い線と直ぐ上に目立たない細い線の2本線。

クロホシイシモチには目の上に公家のような黒点がある。

麻呂と呼んでいる。

麻呂眉のクロホシイシモチ
麻呂眉のクロホシイシモチ

初めて見る人には顔に3本線のアディダスがネンブツダイ、麻呂の眉がクロホシイシモチと教えている。

群れの中はペアでいっぱい

岩の上に群れているネンブツダイをよく見るとただの群れではなく、2匹づつがペアになっていることがわかる。

2匹が寄り添いながら群れを構成。

ネンブツダイもクロホシイシモチも口の中で卵を孵化させる魚。

口内保育(マウスブリーダー)と呼ばれる。

ネンブツダイとクロホシイシモチの産卵から孵化まで

子作り準備スタート

水温が21℃になるとカップルも子作りの準備を始める。

カップルのうち最初に言い寄るのはどっち?

積極的にアピールするのはメス。

メスが発情するとオスのそばで体を数秒ブルブルブルと振るわせ、何回もオスを誘惑する。

そのうちオスのお腹にブルブルブル震わせながらお腹を押し付けてくる。

アクビでアゴを大きくする

オスも子育て準備のためにアクビのような行動を繰り返す。

そのたびにアゴが大きくなっていく。

卵を銜えるためのアゴの整形。

メスもなぜかアクビのような行動をする。

産卵直前になるとオスも体をブルブル振るわせる。

そして2秒後、中層でメスが赤い卵を産卵、と同時にオスが放精して精子をかける。

産卵後すぐに卵を口に入れる

オスはすぐに卵を銜えメスから離れる。

これはメスが卵を食べてしまうのでオスがすぐに口の中に卵を入れて保護する。

けれどオスが卵を保護せず、オスとメスで仲良く卵を食べてしまうこともある。

また大き過ぎて口に入らない卵は一部をオスが食べてしまい、それから口の中に入れて保護することもある。

出産後メスはすぐに次の出産の準備

オスは卵を口の中に保護した直後はひんぱんに卵を銜えなおす。

メスは口元に近寄り卵のおこぼれを狙う。

メスは出産後すぐに次の出産のために栄養をとるためエサを食べる。

オスは飲まず食わず

安定するとオスは口内で卵を保護したまま1週間、飲まず食わずで卵を保護し続ける。

卵は赤から黒に色を変え、卵の中では目が出来てくる。

育った卵はオス親の口の隙間から、目の形を確認できる。

孵化が終わるとオスの口の中は空になる。

そして孵化後に栄養を補給するためエサをとる。

時期になると卵を口に入れていないオスはメスにモテルらしい。

ちなみに産卵はネンブツダイは夕方から夜、クロホシイシモチは日中に行われる。